【ビザの要件解説】食料品製造業で特定技能人材を雇用するための手続きと流れについて

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食料製造業では人手不足が著しい業種でもあります。人材確保のために外国人の採用を考えている企業も多いのではないでしょうか。一方で、外国人雇用の方法や在留資格(ビザ)の手続きについて難しくて着手できていないという声もよく聞きます。本編では、食料品製造業での特定技能人材雇用方法とビザ申請について解説します。

食料品製造業で特定技能人材を雇用する

まずは、在留資格や特定技能について、また採用活動~就業開始までの流れを確認してみましょう。

在留資格『特定技能1号』とは

特定技能とは
  • 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けと在留資格
  • 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定産業分野(14分野):介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可

特定技能は、冒頭にも説明したように一定水準以上の技能や知識を持ち、最低限生活や業務に必要な日本語能力を持った外国人を対象に、決められた産業で限定された業務内容を行うことができる在留資格です。

よく比較をされる在留資格『技能実習』での実績や反省をもとに、様々な工夫がされた制度になっています。そのため、他の在留資格よりも求められる要件は細かく、当然、すべてを満たさなければなりません。
特に他の在留資格と異なる部分として、『特定技能』では受入前に特定技能人材の公私の生活を支える「支援計画」を作成し、それをもとにサポートを行うことが挙げられます。「支援計画」では、具体的には入国から就業までの私生活のサポートや、また日本語学習の機会や日本文化になじむための補助、定期的な面談や相談・苦情の対応などを行います。このため、自社でできないと判断した場合は「支援計画」を行うための別機関である「登録支援機関」(全国にある民間企業)に実行を委託することもできます。

「特定技能」が複雑と言われる理由で「支援計画」以外の部分としては、入管に関する法令(出入国管理及び難民認定法)以外にも、労働関係法令、租税関係の法令など遵守できているか確認すべき法令の範囲が広く、そのため申請時の提出書類が多いことも挙げられます。
具体的には、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。

特定技能人材を雇用するために満たすべき基準
  • 特定技能外国人が満たすべき基準
  • 受入機関自体が満たすべき基準
  • 特定技能雇用契約が満たすべき基準
  • 支援計画が満たすべき基準

在留期間は、『特定技能1号』の場合は「4か月」「6ヶ月」「1年」で通算で上限5年の在留となります。一方、『特定技能2号』は「6ヶ月」「1年」「3年」が与えられ、更新をし続ければ「永住者」ビザの申請も将来的には可能です。

また、家族の帯同は『特定技能2号』の場合は認められます。『特定技能1号』はもともと『家族滞在』ビザなどで在留していたご家族がいるような場合を除き、基本的には認められません。

在留資格『特定技能1号』を申請するまでの流れ

『特定技能』人材を雇用するまでの流れ、また雇用後の流れは下記の通りになります。他の在留資格と異なり『特定技能』特有のステップもあります。

やること説明
①業務内容の要件確認「特定技能」で認められる業務内容であるかを確認
②事業所の要件確認就業場所が①で確認した業務内容を行うことができることを確認
③人材の要件確認「特定技能」人材に必要になる資格などを確認
④求人票の作成①~③で確認した要件を満たすように求人票を作成
⑤内定内定出し・内定承諾を行い、雇入れる人材を確定
⑥支援計画書の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑦事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑧ビザ申請必要書類を収集、申請書の作成、入管へ申請
⑨雇用後の届け出日本人と同様に、雇用保険・社会保険等の手続き
⑩協議会入会雇入後4か月以内に分野別に設けられた協議会に入会
⑪四半期毎の報告入管に対し、四半期ごとに特定技能人材に関する報告
⑫ビザの更新在留期限前にビザの更新手続き
⑬支援計画の実施
※随時
「支援計画」に則って、特定技能人材をサポートを行う

特定技能の場合、他の在留資格(特に就労ビザ)と異なる点としては、「業務内容」「働く場所」「人材」の要件をきちんと満たしていることが確認するだけでなく、「支援計画書の作成」・「事前ガイダンス」を行いこれから特定技能人材として日本で生活するためのフォローを含めた準備を行います。ビザ申請後も、協議会の入会や定期・随時報告を行わなければならないのも特徴です。食品製造業の場合、「②事業所の要件確認」が特に重要なポイントになります。

食料品製造業で特定技能人材を雇用するためのポイント

特定技能人材を雇用するためには、様々な要件を満たす必要があります。特定技能の場合、満たすべき要件は「受入企業」「業務内容」「人材」「雇用契約」などでそれぞれ定められています。ここでは、大きなポイントについて説明します。

受入企業側のポイント

食品製造業の一番のポイントは、受入を検討している事業所において最も大きな割合を占めるのが食品製造を行っている事業所でなければならない点があります。また、その食品製造はどのような分野でもよいものではありません。また、雇用契約の内容法令順守の体制が整っていること、特定技能人材の私生活を含めたサポート体制(支援計画の遂行)なども求められます。

特に特定技能で特徴的なものに、過去1年以内に非自発的離職者(解雇やリストラ等)を行っていないことや、特定技能人材・技能実習生の行方不明者を会社の責任で発生させている場合は受け入れることができません。
さらに、食品製造業に限っては直雇用に限定されます。

項目ポイント
業種下記のいずれかの分類を主たる業務として行っている事業所であること
・中分類09 食料品製造業
・小分類101 清涼飲料製造業
・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
・小分類104 製氷業
・細分類5861 菓子小売業(製造小売)
・細分類5863 パン小売業(製造小売)
・細分類5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る)
※詳細については後で解説
待遇・日本人と同等以上の給与
・希望があった場合の休暇取得許可
・雇用契約終了時の帰国費用の支弁(特定技能外国人が負担できない場合) 等
法令順守・労働、社保、租税ほか関係法令順守
・非自発的離職や行方不明者を発生させていないこと
・支援体制の整備(登録支援機関へ委託も可)等
協議会農林水産省が組織する「協議・連絡会」への加入
※詳細については後で解説
雇用形態直接雇用のみ
※受入れ上限人数 34,000人

外国人側のポイント

特定技能人材になるためには、技能水準は日本語レベル及び定められた技能試験に合格するなど技能レベルが一定以上である必要があります。また、食品製造業で決められた範囲内の業務を行う必要があります。

項目ポイント
業務・試験により確認された技能を要する業務
・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
・当該業務に従事する日本人が通常従事している関連業務に付随的に従事することは差し支えない
技能水準・日本語試験及び当該業務区分の技能試験の合格者であること
(技能実習2号修了者は、その修得した技能と関連性が認められる業務区分の試験及び日本語試験が免除)

業務内容について

特定技能は試験に合格し技能を有することが確認され人材が取得できる在留資格です。その際に試験で確認された技能や知識を要する業務に従事することになります。

<知識や技能を要する業務のイメージ>
・主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能
・食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能
・施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能

また、食料品製造業全般の業務というのは下記の工程が該当します。

原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等
※単なる選別、包装(梱包)の作業は製造・加工にはあたりません

同様の業務内容に従事する日本人が従事する関連業務に付随的に従事することも認められます。

<関連業務にあたりえる業務の例>
・原料の調達、受入
・製品の納品
・清掃
・事務所の管理の作業

▶参考:農林水産省『食料品製造業分野における外国人の受入れ拡大について

技能水準について

●技能レベルについて

食料品製造業で必要な技能レベルは「相当程度の知識又は経験を必要とする技術」を有していることになります。
このことを証明する方法は以下の2点です。

  1. 食料品製造業分野の「特定技能1号技能測定試験」に合格していること(国内試験は年に2~3回実施されています。)
  2. 技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合
    ※技能実習法施行前の技能実習2号修了者や在留資格『特定活動」(技能実習)をもって在留していた技能実習生(「研修」及び「特定活動」で在留した期間が2年10ヵ月以上の者)も含みます。
    ※詳しくは後述します

●日本語能力について

日本語能力は日常生活レベル以上を持っている必要があり、それを判断するための方法は以下の3点です

  1. 日本語能力試験のN4以上に合格
  2. 国際交流基金日本語基礎テスト A2以上
  3. 技能実習2号を良好に修了している場合(職種・作業の種類に問わず)

▶参考:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構『特定技能1号技能測定試験 食品製造業国内試験

事業所要件の確認の仕方について

特定技能では「どこで働くのか」=「事業所の要件」が明確なルールがあります。食品製造業では、特にこのポイントをおさえる必要があります。

飲食料品製造業分野の対象となる事業所の範囲

まず、日本標準産業分類を参照し、主たる業務として以下の分類を行っている事業所で、食料品、飲料(酒類)を製造加工し、卸売りする事業所でなければ特定技能人材の受入れはできません。

食品製造業具体例
畜産食料品製造業部分肉・冷凍肉、肉加工品 等
水産食料品製造業水産缶詰・瓶詰、海藻加工 等
野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業野菜漬物 等
調味料製造業味そ、しょう油・食用アミノ酸 等
糖類製造業砂糖、ぶどう糖・水あめ・異性化糖 等
精穀・製粉業精米・精麦、小麦粉 等
パン・菓子製造業生菓子、ビスケット類・干菓子 等
動植物油脂製造業
その他の食料品製造業でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調
理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品
清涼飲料製造業
茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
製氷業
菓子小売業(製造小売)
パン小売業(製造小売)
豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

※酒類製造業、飲食料品小売業(細分類5861,5863,5897を除く)、飲食料品卸売業、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は対象外です。

「製造」・「卸売」の説明
・製造業とは、製品の製造加工を行い、卸売りする事業者を言います。
この場合の卸売とは、下記のことをさします。
 (1)卸売業・小売業・産業用事業者に販売すること
 (2)業務用に使用される商品の販売
 (3)同一事業者の他事業所への引き渡し
 ※また、店舗を介さず通信販売等により直接消費者に販売している場合も含みます。

事業所の産業分類の特定方法について

産業分類の特定方法は総務省が発表している「日本標準産業分類一般原則」がもとになっています。

事業所の定義について

総務省発表の「日本標準産業分類一般原則」において事業所の定義は下記の通り定められています。

本分類における事業所とは,経済活動の場所的単位であって原則として次の要件を備えているものをいう。
(1) 経済活動が単一の経営主体の下において一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
(2) 財又はサービスの生産と供給が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。
すなわち、事業所とは、一般に工場、製作所、事務所、営業所、商店、飲食店、旅館、娯楽場、学校、病院、役所、駅、鉱業所、農家等と呼ばれるものである。
この場合、一構内における経済活動が、単一の経営主体によるものであれば原則として一事業所とし、一構内であっても経営主体が異なれば経営主体ごとに別の区画としてそれぞれを一事業所とする。
なお、一区画であるかどうかが明らかでない場合は、売上台帳、賃金台帳等経営諸帳簿が同一である範囲を一区画とし、一事業所とする。
また、近接した二つ以上の場所で経済活動が行われている場合は、それぞれ別の事業所とするのが原則であるが、それらの経営諸帳簿が同一で、分離できない場合には、一区画とみなして一事業所とすることがある。

日本標準産業分類一般原則

▶参考:総務省『日本標準産業分類一般原則

産業の決定方法について

また、産業の決定方法については、事業所で行われている主な経済活動によって決まります。

産業の決定においては、一事業所内で単一の分類項目に該当する経済活動が行われている場合は、その経済活動によって決定するが、複数の分類項目に該当する経済活動が行われている場合は、主要な経済活動によって決定する。

日本標準産業分類一般原則

複数ある場合の「主要な経済活動」に該当するかどうかの指標は、生産される材の産出額、取り扱われる商品の販売額など、最も大きな割合を占める活動によって決めるとされています。

特定技能人材が就業できる事業所の例

前項から分かるように特定技能外国人が働く事業所は「一事業所内で主たる業務が食品製造を行っている」ことが条件となります。このため、受入が可能な業種はいわゆる「食品メーカー」に限られません。

受入れが可能なケース

・小売業が一事業所として構える「プロセスセンター」において、精肉加工、水産物加工、総菜の製造に従事させる場合
・外食業が一事業所として構える「セントラルキッチン」において店舗での調理に代わり、料理品及び原材料の製造・加工に従事させる場合
・飲食料品製造の製造請負

受入れができないケース
・小売業の店舗のバックヤードでの食品製造
→一事業所内の主要な経済活動が食品製造と言えないため
 ※1店舗当たりの売上がバックヤードで製造・加工した飲食料品である場合は、飲食料品製造業で受入れ可能
 ※バックヤードの運営が別組織、経理面で独立してれば受入れ可能

『技能実習』からの移行について

在留資格『技能実習2号』を良好に修了した人材は、試験は免除となり在留資格『特定技能』に移行可能です。
ただし、どんな職種でも対象になるわけではありません。以下の職種・作業名の場合は特定技能の食品製造業へ移行可能です。

No職種名作業名
1缶詰巻締缶詰巻締
2食鳥処理加工業 食鳥処理加工
3加熱性水産加工食品製造業節類製造、加熱乾燥製品製造、調味加工品製造、くん製品製造
4非加熱性水産加工食品製造業塩蔵品製造、官製品製造、発酵食品製造
5水産練り製品製造かまぼこ製品製造
6牛豚食肉処理加工業牛豚部分肉製造
7ハム・ソーセージ・ベーコン製造 ハム・ソーセージ・ベーコン製造
8パン製造 パン製造
9そう菜製造業 そう菜製造
10農産物漬物製造業 農産物漬物製造

上記以外にも、技能実習1号までしか認められない職種・作業もあると思います。この場合は、移行はできません。もし特定技能へ変更をしたい場合は、定技能1号技能測定試験と日本語検定4級・国際交流基金日本語基礎テスト の基準を満たす必要があります。

▶出所:農林水産省『飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度について

「技能実習2号を良好に修了した」の良好の判断方法について

「技能実習2号を良好に修了したか」どうかの判断については下記の通りです。

「技能実習2号を良好に修了している者」とは、技能実習を2年10か月1以上終了した者であって、技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格者又は実習実施者等が作成した技能実習実施中の出勤状況や技能の習得状況等を総合的に考慮し、欠勤がないなど、良好に実習を終了した者をいう

特定技能審査要領より

もし、技能実習評価試験の実技試験に不合格であった場合でも、評価調書の記載から勤務状況などが良好であった場合には、良好に技能実習を修了したものとされます。

※技能実習法施行前の技能実習2号修了者や在留資格『特定活動」(技能実習)をもって在留していた技能実習生(「研修」及び「特定活動」で在留した期間が2年10ヵ月以上の者)も含みます。
技能実習3号の実習中の特定技能への変更は原則として認められません。

『特定技能1号』ビザの申請準備 ~支援体制を整える~

在留資格『特定技能1号』が他の就労ビザと異なる特徴の一つに、特定技能外国人の日本での生活をサポートをする必要があることが挙げられます。これを『支援計画』と呼びます、

『支援計画』とは

『特定技能』人材を雇用する際には、特定技能人材の日本での生活をサポートするために法令で定められた支援を行わなければなりません。これを「1号特定技能外国人支援計画」といい、特定技能人材が活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上、社会生活上においてサポートをするものです。この「支援計画」の実行は、「支援責任者」「支援担当者」によって行います。

出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』より抜粋

支援計画で策定することは以下の10項目です。これらの内容を決め「支援計画書」を作成します。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

これらの支援計画は受入企業が主導で作成し、特定技能外国人毎に調整しすることになります。場合によっては、日本での生活が長く支援は必要ないと感じられる場合もあるかもしれませんが、『特定技能1号』人材を雇用する場合には必ず策定する必要があります。

支援責任者と支援担当者について

『支援計画』は支援責任者支援担当者が中心となって特定技能人材のサポートをすることになります。

支援責任者とは

「支援責任者」とは、受入機関の役員または職員で、『支援計画』の実施に関する責任者著して、支援担当者を監督する立場にある人のことを言います。
常勤である必要はありません。または、支援担当者を兼任しても問題ありません。

支援担当者とは

「支援担当者」とは、受入機関の役員または職員で、『支援計画』に基づく支援を担当する人のことを言います。
常勤であることが求められ、複数人の特定技能人材のサポートをすることができます。
支援担当者は、特定技能人材が就業する事業所ごとに1名以上選任される必要があります。

※支援担当者、支援責任者ともに特定技能基準省令2条1項4号イないしルにある欠格事由に該当しないことが前提です。

支援を行うための体制・要件について

策定した支援計画は自社もしくは登録支援機関が実施をします。実行は要件を満たせば自社で行うことも可能ですし、要件を満たしている場合でも自社で支援することが難しい場合やそもそも要件を満たしていない場合には、「登録支援機関」に支援を委託をすることができます。

自社で支援を行える場合の条件について

前章の内容を読んで、「こんな支援、自社でできるかな?」と不安に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、特定技能外国人の公私をサポートすることになる『支援計画』は当然に誰でもが行えるものではありません。『支援計画』を行うことができる事業所には一定の要件があります。「支援計画」を自社で実施するための条件①中長期在留者の受入実績がある
②十分に理解できる言語による支援体制が可能
③支援の実施状況に係る文書の作成が可能
④支援の中立性等に関するもの
⑤支援実施義務の不履行に関するもの
⑥定期面談の実施に関するもの
⑦分野に特有の事情にかんがみて定められた基準に関するもの

特に自社支援ができない要因となり得るのが「①中長期在留者の受入実績がある」「②十分に理解できる言語による支援体制が可能」「④支援の中立性等に関するもの」ではないでしょうか。『支援計画』は申請時に申告した「支援責任者」「支援担当者」が実施をすることになりますが、誰でもなれるということではなく一定の条件があります。
次章より『支援計画』を実施できる条件について説明をします。
また5年以内に、支援計画の支援を怠ったような場合には支援体制があるとは言えず、要件を満たさないことになります。

※補足
自社で支援ができる体制(要件を満たしている)場合は、支援の一部を外部に委託することも可能です。全部を委託する場合には登録支援機関に委託しますが、一部の場合は登録支援機関でなくてもその専門の業者に委託することができるということになります。

自社での支援が難しい場合 ~登録支援機関とは~

特定技能1号人材に対する義務的支援を受入企業から委託を受けて実施する機関です。技能実習制度の監理団体や、人材紹介会社、行政書士が登録を受けています。2021年10月現在、約6500事業者の登録があります。

▶参考:出入国在留管理庁『登録支援機関登録簿

※繰り返しになりますが、必ず利用をしなければならない機関であるという訳ではありません。

雇用後の手続きの流れ

特定技能人材の雇用後には、「国籍問わず必要な手続き」「外国人従業員特有の手続き」「特定技能・建設業分野特有の手続き」の手続きが発生します。

国籍問わず必要な手続き

特定技能人材は基本的にはフルタイムでの就業になるため、適用事業所である場合は「社会保険」「労働保険」の加入は必須となります。

社会保険(厚生年金・健康保険)について

社会保険(厚生年金・健康保険)は、建設業の場合は1人以上の従業員を使用する法人と、常時5人以上の従業員を雇用する事業主(個人事業主)は加入は必須となります。

労働保険(雇用保険・労災保険)について

労働保険(雇用保険、労災保険)は、食品製造業の場合は1人以上の従業員を使用する場合は加入は必須となります。

外国人従業員特有の手続き

外国人従業員の場合、在留期限が到来する前に「在留期間更新許可申請」を行わなければなりません。
在留カード記載の「在留期限」の日の3ヶ月前から申請することが可能で、在留期限の満了日までに申請を行います。例えば、2021年9月1日在留期限の方の場合、2021年9月1日までに申請を行わなければなりません。

また、2021年6月15日に申請を行い2021年7月15日に「1年」延長の許可が出て新しい在留カードの交付を受けた場合、在留期限は「2022年9月1日」になります(2022年7月15にではありません)。つまり、早めに申請をして在留期限到来前に許可が出た場合でも、在留期限が短くなって損をするということはありません。余裕を持った対応が可能ですし、損をすることは無いため余裕を持った申請をお勧めします。

なお、申請中に在留期限が到来した場合、自動的に「特例期間」に入ります。特例期間中は今まで通りの在留が可能です。この期間内に審査の結果は出ます。

特定技能特有の手続き

外国人従業員の雇用の中でも、特定技能人材は受入後にも特有の手続きが発生します。

協議会への入会

在留資格の許可が出たら4か月以内に食品産業特定協議会への入会申請を行います。

協議会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行うことが目的です。

入管に対する定期報告・随時報告

特定技能人材を受け入れている場合、支援計画の実行状況の定期報告や雇用契約や支援体制に変更があった場合などに随時報告を行うことが義務付けられています。定期報告は4半期に一度、随時報告はその都度、それぞれ期日から14日以内に入管に対して報告書を提出します。

在留期限までに在留資格の申請手続きが完了しない場合の対応方法

もし、準備を始めたタイミングで内定者・移行予定の技能実習生の在留期限が迫っている場合には、「特定活動(特定技能移行準備)」に変更をするという方法もあります。
この在留資格は4か月与えられ、特定技能人材と同様の業務内容に従事しながら並行して特定技能の移行準備を行うことができます。

この「特定活動(特定技能移行準備)」に変更するための条件は以下の通りです。

・申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
・申請に係る受入れ機関において特定技能外国人として在留資格「特定技能1号」に該当する業務に従事するために同在留資格への在留資格変更許可申請を予定していること
・申請人が特定技能外国人として就労する場合に支払われる予定の報酬と同額であり、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
・申請人が特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること
 ※技能実習2号良好修了者等として試験免除となる場合も含む。
・申請に係る受入れ機関又は支援委託予定先が申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること
・申請に係る受入れ機関が,申請人を適正に受け入れることが見込まれること

出入国在留管理庁『「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について』

在留期間満了日までに入会手続きや在留資格の申請手続きが完了しそうにない場合には、こちらの在留資格「特定活動」に変更した上で、働きながら準備を整えることも検討されてください。
※基本的には在留期限日当日までに特定技能の申請が完了していれば在留状況的には問題ありません。

▶参考:出入国在留管理庁『「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について

まとめ

以上、食料品製造業分野の特定技能人材の在留資格(ビザ)の取得までの流れについて説明しました。食料品製造業は受け入れる事業所で主な経済活動として食品製造を行っている必要がありますが、受け入れ可能な業種は食品メーカーに限られません。
特定技能人材になるための技能試験は年に2~3回開催されています。試験の難易度もそこまで高くはなく、試験に合格した人材は多くいます。また技能実習修了者も多くいるため、比較的雇用のしやすい分野と言えます。

【行政書士からのアドバイス】
食品製造業の場合、事業所要件の見極めが重要になります。
人材の確保はそこまで難しくはない分野と言えるため、要件の確認がしっかりできれば特定技能人材雇用までのハードルはそこまで高くはありません。
当事務所では、御社が受け入れ可能な事業所であるか判断することが可能です。どうぞお気軽にご連絡下さい。

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