『特定技能』ってどんなビザ?ややこしい要件を分かりやすく解説!

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『特定技能』は2019年5月に新設された比較的新しい在留資格(ビザ)です。この在留資格(ビザ)は、日本で特に人手不足の著しい産業において一定水準以上の技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れて、人手不足を解消するために作られたものです。『特定技能』の大きな特徴として、雇用できる業種(12の限定された業種)、従事できる活動内容が細かく決められており、この業務に従事する外国人はその分野の試験を合格していることが求められます。要件が他の在留資格と比較して多く分かりにくいのも特徴です。本編では『特定技能』について在留資格の手続きや他の就労ビザとの比較も交えながら解説をしていきたく思います。

在留資格とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2022年1月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理人になった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、「永住者」ビザを取得することもできます。

在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

在留資格の一覧

在留資格は、大きく3つのポイントから構成されています。

就労ビザのポイント
  1. 誰が
  2. どこで
  3. どのような業務内容を行うのか

では、『特定技能』がどのような在留資格であるかをこの3つのポイントから説明していきます。

在留資格『特定技能』とは

特定技能は、在留資格『特定技能1号』と『特定技能2号』の2種類があります。2022年1月現在、主に在留しているのは『特定技能1号』で、特定技能=特定技能1号を指すことが多くなっています。本編でも『特定技能1号』を中心に説明します。

在留資格『特定技能1号・2号』について

特定技能は、特に人手不足の著しい産業において、一定水準以上の技能や知識を持ち、最低限生活や業務に必要な日本語能力を持った外国人を対象に、決められた産業で限定された業務内容を行うことができる在留資格です。

特定技能とは
  • 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
  • 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定産業分野(12分野):介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可

特定技能は、冒頭にも説明したように一定水準以上の技能や知識を持ち、最低限生活や業務に必要な日本語能力を持った外国人を対象に、決められた産業で限定された業務内容を行うことができる在留資格です。

よく比較をされる在留資格『技能実習』での実績や反省をもとに、様々な工夫がされた制度になっています。そのため、他の在留資格よりも求められる要件は細かく設定されており、すべてを満たす必要があります。
他の在留資格と特に異なるポイントとしては、『特定技能』では受入前に特定技能人材の公私の生活を支える「支援計画」を作成し、それをもとにサポートを行うことが挙げられます。「支援計画」では、具体的には入国から就業までの私生活のサポートや、また日本語学習の機会や日本文化になじむための補助、定期的な面談や相談・苦情の対応などを行います。このため、自社でできないと判断した場合は「支援計画」を行うための別機関である「登録支援機関」(全国にある民間企業)に実行を委託することもできます。

「特定技能」が複雑と言われる理由に「支援計画」以外の部分では、入管に関する法令(出入国管理及び難民認定法)以外にも、労働関係法令、租税関係の法令など遵守できているか確認すべき法令の範囲が広く、そのため申請時の提出書類が多いことも挙げられます。

具体的には、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。「どこでも」「誰でも」「どのような」業務でも特定技能人材として雇用・就労できるわけでは無く、細かく決められた全ての要件・基準を満たしていなければなりません。

特定技能人材を雇用するために満たすべき基準
  • 特定技能外国人が満たすべき基準
  • 受入機関自体が満たすべき基準
  • 特定技能雇用契約が満たすべき基準
  • 支援計画が満たすべき基準

在留期間は、『特定技能1号』の場合は「4か月」「6ヶ月」「1年」で通算で上限5年の在留、『特定技能2号』は「6ヶ月」「1年」「3年」が与えられ、更新をし続ければ「永住者」ビザの申請も将来的には可能です。

また、家族の帯同は『特定技能2号』の場合は認められます。『特定技能1号』はもともと『家族滞在』ビザなどで在留していたご家族がいるような場合を除き、基本的には認められません。

※本記事では、基本的には在留資格『特定技能1号』について説明をします。特定技能2号については、最後の方で触れます。

「誰が」:どのような人が申請できるのか

特定技能人材になるためには10の要件・基準を満たしていなければなりません。「特定技能1号」人材が満たす必要のある基準について、特定技能外国人受入に関する運用要領において下記の通り書かれています。

① 18歳以上であること
② 健康状態が良好であること
③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
④ 保証金の徴収等をされていないこと
⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
⑥ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
⑦ 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
⑧ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
⑨必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)
⑩ 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

特定技能外国人受入れに関する運用要領

上記の10の要件のうち、①~⑧については「特定技能1号・2号」共通の要件になります。⑨⑩については「特定技能1号」特有の要件となります。
外国籍人材が満たす必要の多くが、日本で安心して働くことができる環境づくりや契約内容にかかる要件についてになります。また、求める人材像が“即戦力”であることから、試験によって技能レベルが認められた人材でなければなりません。

上記の内容について「申請人の状態について」「渡航まで/滞在期間中の契約内容について」「技能・日本語レベルについて」に分けて説明をします。

申請人の状態について

特定技能人材として就労するためには、健康な18歳以上の人材でなければなりません。また、在留資格『特定技能1号』については、日本でこれまでに『特定技能1号』として在留していた期間が通算で5年以上の場合は就労ができません(『特定技能1号』は最長で5年間就労が可能な在留資格になります)。

申請人の国籍が、「退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域」に該当する場合も特定技能人材になることはできません。2021年2月19日時点で、特定技能として雇用することができない国・地域は、以下の通りです。

  • イラン・イスラム共和国

渡航まで/滞在期間中の契約内容について

日本で就労するために、社会通念上合理的ではない手数料を支払ったり、日本で就労するために「保証金」の徴収や財産の管理、違約金の契約をさせられることはあってはなりません。
また、渡航費用や日本に滞在中に給料から天引きされたり徴収される費用の金額についても、内訳や理由について合意が必要です。金額は適正なものでなければなりません。

送出し国と二国間の取り決めがされて「遵守すべき手続き」に決まりがある場合には、その手続きを行う必要があります。国によって手続きをするタイミングは異なりますが、2022年1月現在で事前に手続きを行い、申請書類の一部として提出が求められる国籍は「ベトナム」「タイ」「カンボジア」の3か国になります。

▶国別の情報についてはこちらで確認することができます。

技能・日本語レベルについて

特定技能で求められる技能レベルは「相当程度の知識又は経験を必要とする技術」を有していることになります。このことを証明する方法は以下の2点です。

  1. 各分野で定められている「特定技能1号評価試験」そのほかの評価方法により証明されていること
  2. 技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合
    ※技能実習法施行前の技能実習2号修了者や在留資格『特定活動」(技能実習)をもって在留していた技能実習生(「研修」及び「特定活動」で在留した期間が2年10ヵ月以上の者)も含みます。

▶参考:特定技能1号評価試験の全分野のスケジュールについてはこちらで確認できます。

「どこで」:どのような場所で働くのか

特定技能人材の雇用が可能な企業・事業者には、主に「産業分類」・「欠格要件・法令遵守」の2つの側面から要件・基準を満たさなければなりません。まずは産業分類上受入可能な事業所であるかの確認をし、企業や事業者が特定技能人材を雇用するために満たしていなければならない基準や欠格要件に該当していないかを確認します。

特定産業区分に該当するかについて

『特定技能』で雇入れることができるのは、12分野の業種と決められております。まずは、これらの業種に当てはまる必要があります。

『特定技能』で受入可能な12分野
特定産業分野(12分野):介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械製造・電気電子情報関連産業、建設造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可
特定
産業分野
従事可能な事業所の要件について
介護・介護福祉国家試験の受験資格の認定において実務経験として認められる事業所
・訪問系サービスを行う事業所は受入不可
・人数制限:事業所当たりで「特定技能1号」人材は「日本人等」の常勤介護職員の総数を超えないこと
ビルクリーニング建築物清掃業又は建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所において受け入れること
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業事業所で下記の日本標準産業分類に該当する製品の製造を扱っていること
2194 鋳型製造業(中子を含む)、225 鉄素形材製造業、235 非鉄金属素形材製造業、
2424 作業工具製造業、2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)、
245金属素形材製品製造業、2465 金属熱処理業、2534 工業窯炉製造業、
2592 弁・同附属品製造業、2651 鋳造装置製造業、
2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業、2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業、
2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)、3295 工業用模型製造業
2422 機械刃物製造業、248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業、
25 はん用機械器具製造業(ただし、2534工業窯戸製造業、2591消火器具・消火装置製造業及び
2592弁・同附属品製造業を除く)、26 生産用機械器具製造業(ただし、
2651鋳造装置製造業、2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業及び
2692非金属用金型・同部分品・附属品製造業を除く)、
270 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)、
271 事務用機械器具製造業、272 サービス用・娯楽用機械器具製造業、
273 計量器・測定器・分析機器・試験
機・測量機械器具・理化学機械器具製造業、275 光学機械器具・レンズ製造業
28 電子部品・デバイス・電子回路製造業、29 電気機械器具製造業(ただし、2922内燃機関
電装品製造業及び2929その他の産業用電気機械器具製造業
(車両用、船舶用を含む)を除く)、30 情報通信機械器具製造業
建設特定技能受入計画の認定を受けた事業所であること
(「建設法3条の許可取得済」「建設キャリアアップシステムの登録」「JAC加入」「適切な労働環境の維持・遂行が可能」等)
造船・舶用工業造船・舶用工業を営むことを国土交通省より確認された事業所 において受け入れること
自動車整備道路運送車両法に基づき地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること
航空承認や営業を認められて、空港グランドハンドリングを営む者 において受け入れること
宿泊旅館・ホテル営業の形態かつ以下の条件を満たすこと
・ 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること
・ 風俗営業法に規定する「施設」(ラブホテル等)に該当しないこと
・ 特定技能外国人に対して風俗営業法に規定する「接待」を行わせな
いこと
農業過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6ヶ月以上継続して雇用した経験があること
漁業漁業・養殖業の業務を扱っている事業所
飲食料品製造業下記のいずれかの分類を主たる業務として行っている事業所であること
・中分類09 食料品製造業
・小分類101 清涼飲料製造業
・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
・小分類104 製氷業
・細分類5861 菓子小売業(製造小売)
・細分類5863 パン小売業(製造小売)
・細分類5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る)
外食業下記のいずれかの飲食サービスを提供している事業所であり、保健所長の営業許可を受けているか、営業許可が必要ない場合は届出を行っている。
・客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業
・飲食することを目的とした設備を事業所内を有さず、客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業
・客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業
・客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業

これらの業種であるかどうかは、「事業者」単位で判断されることになります。各分野ごとで、どの「特定産業分野」に該当している必要があるのかを確認します。また、各分野ごとの要領には、「特定産業分野」の該当だけでなく、許認可の有無や従業員数に占める特定技能人材の割合などの決まりがある場合もあります。
まずは、指定のある「特定産業分野」に該当するかの確認を行い、各分野要領から細かい諸条件を確認しましょう。

受入機関自体が満たす必要のある基準について

受入機関自体が満たす基準・「受入機関適合性」について、特定技能外国人受入に関する運用要領において下記の通り書かれています。

① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

特定技能外国人受入れに関する運用要領

上記のうち、どれか一つでも満たさない基準がある場合には、特定技能人材を雇用することはできません。一つ一つ項目の内容を確認してみましょう。

※上記は「支援体制関係」以外の部分の解説になります。支援体制が整っていない場合には、登録支援機関に支援計画の実行を全部委託することで、特定技能人材の雇用が可能になります。詳しくは後述します。

まず、労働関係法や社会保険に関する法律、租税法など、一般的な法令遵守がなされているかというポイントがあります。加えて『特定技能』は人手不足を補う在留資格であることから、リストラや理由のない解雇を直近1年以内に行っている場合(非自発的な離職者を出している場合)は、その事業所は特定技能人材の採用はできません。また、過去に特定技能や技能実習生を雇用している場合(もしくは現段階で雇用している最中に)、会社に非があって行方不明者・失踪者が直近1年以内に発生している場合も雇用はできません。

また、企業や役員が「欠格要因」に該当している場合は欠格事由が解消された日から5年間雇用ができません。記の4つのうち1つでも該当する場合は、欠格要件に該当し5年が経過するまでは受入れができません。

① 禁錮以上の刑に処せられた者
② 出入国又は労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者
③ 暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
④ 社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者

特定技能外国人受入れに関する運用要領

また、役員が破産手続き開始の決定を受けていて復権していない場合や、精神機能の障害等により契約履行に必要な認知等を行うことができない場合、過去に技能実習生を受け入れていて法令違反等により実習認定の取り消しを受けた場合も欠格事由に該当します。
これは注意が必要なことになりますが、出入国管理及び難民認定法、労働関係法令に違反している場合は、現時点で行政処分を受けていない場合でも現状が「法令違反」に該当している場合も欠格事由に該当してしまいます。

これは労働基準法でも禁止されていることになりますが、雇用にあたり「保証金」や「違約金」など名目は何であれ財産を管理するような契約は契約の相手が誰であっても禁止されています。また、「支援計画」の実行にかかる費用を特定技能人材に直接・間接的に負担させることはできません(義務的支援の場合。任意的支援の場合は合意があれば本人負担も可)。

特定技能人材を雇用する場合には、就労環境を総点検されることをお勧め致します。

「支援体制」が整っているか

『特定技能1号』人材を雇用する際には、特定技能人材の日本での公私の生活をサポートするために法令で定められた支援を行わなければなりません。これを「1号特定技能外国人支援計画」といい、特定技能人材が活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上、社会生活上においてサポートをするものです。この「支援計画」の実行は、「支援責任者」「支援担当者」によって行います。(詳しくは後述します。)

出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』より抜粋

「支援計画」を実行できるかどうかは、事業者ごとに判断が必要です。能力的に難しい場合や、要件的に自社で支援計画の実行ができる状態でない場合は「登録支援機関」に支援を委託することになります。自社で実行できる場合でも、支援計画の一部だけ他社に移行することも可能です。
「支援計画」を自社で実行できる場合には、ある程度大きな組織であるということや、過去に外国籍の人材の生活サポートを行った経験があることなどが必要になります。
「登録支援機関」は要件を満たした民間企業が登録して行うことができ、多くの企業が月額1人当たりで管理料を設定している場合が多いです。実際に担当者と会って話を聞き、また、相見積もりを取ってトラブルが無いように契約を行ってください。

「何をするのか」:どのような雇用契約でどのような業務ができるのか

特定技能では、それぞれの産業分野ごとに従事可能な業務内容に決まりがあります。また、その業務をさせるためには適切な雇用契約を締結していなければなりません。

従事可能な業務内容について

『特定技能』では、どんな仕事でも自由にさせることができるわけではありません。それぞれの分野で従事可能な業務内容は細かく決まっております。そして、前述の通り、特定技能人材はその従事する業務に関する試験に合格しているか、移行対象職種に当てはまる場合は『技能実習2号』を良好に修了している必要があります。

以下は、各分野で従事が能な業務内容になります。

特定
産業分野
従事する業務
介護・身体介護(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、
これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) 【1試験区分】
ビルクリーニング・建物内部の清掃 【1試験区分】
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業・機械金属加工
・電気電子組立て
・金属表面処理 【3 試験区分】
建設・型枠施工  ・土工   ・内装仕上げ/表装 ・保温保冷 ・左官 ・屋根ふき ・とび
・吹付ウレタン断熱 ・コンクリート圧送  ・電気通信  ・建築大工 ・海洋土木工
・トンネル推進工 ・鉄筋施工 ・配管 ・建設機械施工 ・鉄筋継手
・建築板金 【18試験区分】
造船・舶用工業・溶接 ・仕上げ ・塗装 ・機械加工 ・鉄工 ・電気機器組立て 【6試験区分】
自動車整備・自動車の日常点検整備
・自動車の定期点検整備(道路運送車両法に基づく法定点検整備)
・特定整備 【1試験区分】
航空・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等)
・航空機整備(機体,装備品等の整備業務等) 【2試験区分】
宿泊・フロント,企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供【1試験区分】
農業・耕種農業全般(栽培管理,農産物の集出荷・選別等)
・畜産農業全般(飼養管理,畜産物の集出荷・選別等)【2試験区分】
漁業・ 漁業(漁具の製作・補修,水産動植物の探索,漁具・漁労機械の操作,水産動植物の採捕,漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)
・ 養殖業(養殖資材の製作・補修・管理,養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理,安全衛生の確保等) 【2試験区分】
飲食料品製造業・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)【1試験区分】
外食業・外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理) 【1試験区分】

適切な雇用契約とは

特定技能に限らず人材を雇用する際には雇用契約を結びます。これは、特定技能人材も同じです。そして、“外国人だから”・“特定技能人材だから”といった不当な理由で差別をすることは許されません。下記は、雇用契約に記載する内容になります。

① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること(※前項で説明した内容)
② 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
④ 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
⑧ 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
⑨ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』

そもそも「外国人であれば最低賃金で雇用できる!?」というのは誤りです。そしてこれは、入管法で定められている以前に、労働基準法で定められています。

また、国籍問わず説明をすると、労働条件を決めるにあたって法律度外視の「会社独自のルール」は認められません。労働条件を決める際には、様々は労働に関連する法令を全て満たす必要があります。代表的な法律は「労働基準法」「労働契約法」「最低賃金法」などが挙げられます(これら以外でもすべて満たす必要があります)。
まずはこれらの法律をもとに「労働協約」や「就業規則」を決定します。例えば、最低賃金を下回る就業規則(給与規程)をきめたところでその部分は無効となります。実際に支払われた賃金が最低賃金以上でない場合は罰則の対象です。

「労働契約」は、「労働協約」や「就業規則」を基準に作成します。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり無効となった部分は就業規則で定める基準が使用されます(労働基準法第93条、労働契約法第12条)。

以上から、労働契約を決める際にはまずは「法律」を遵守し、次に労働協約や就業規則などの「会社共通のルール」をもとに作成していくことになります。基本的には、普段から就業規則(給与規程)に則て給料を決められている会社に関しては深く考える必要はなく、普段通りで問題はありません。

もし、賃金規定がない場合には、比較対象となる日本人労働者の役職、職務内容、責任の程度等が特定技能外国人と比較します。同等以上であれば問題ありません。「比較対象」となる日本人労働者がいない場合、最も近い職務を担う日本人労働者の役職、職務内容、責任の程度について申請人との差が合理的に説明されていることを確認します。職場に技能実習生が既にいる場合には、少なくとも技能実習2号修了者よりも給料が上回っていなければなりません。これは経験年数の比較だけではなく、制度上の人材像の技能レベルと比較してもこのようなルールとなっています。

⑦の帰国の旅費負担については強制貯蓄は労働基準法で禁止されているため、会社が強制的に本人の給与から積み立てる等の行為はできないため注意してください。

『特定技能』ならではの特徴

特定技能は他の就労ビザにはない独特の仕組みがあります。その典型例である「支援計画」「登録支援機関」「二国間協定」「協議会」について簡単に解説します。

『登録支援機関』・『支援計画』について

受入機関は、1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための支援を行わなければなります。これは仕事上だけのサポートだけではなく、プライベートでも日本の生活にスムーズになじめるために行うものになります。このサポートの計画を『支援計画』と言います。そして、このサポートは、外国人の受入れ経験がなければ対応が難しいこと、またプライベートな支援も含むことから自社で対応できない場合に委託することができます。この委託先を『登録支援機関』と言います。

『支援計画』については、最低限、公私の生活をサポートをする下記の要素を実行しなければなりません。

<strong>支援計画の主な内容</strong>
  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 生活確保・生活に必要や契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報
<strong>支援計画が満たすべき基準</strong>

① 支援計画にア~オを記載すること
ア 支援の内容
・ 本邦入国前に,本邦で留意すべき事項に関する情報の提供を実施すること
・ 出入国しようとする飛行場等において外国人の送迎をすること
・ 賃貸借契約の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援,預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること
・ 本邦入国後に,本邦での生活一般に関する事項等に関する情報の提供を実施すること
・ 外国人が届出等の手続を履行するに当たり,同行等をすること
・ 生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
・ 相談・苦情対応,助言,指導等を講じること
・ 外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること
・ 外国人の責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合において,新しい就職先で活動を行うことができるようにするための支援をすること
・ 支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し,労働関係法令違反等の問題の発生を知ったときは,その旨を関係行政機関に通報すること
イ 登録支援機関に支援を全部委託する場合は,委託契約の内容等
ウ 登録支援機関以外に委託する場合は,委託先や委託契約の内容
エ 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
オ 分野に特有の事項

② 支援計画は,日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し,外国人にその写しを交付しなければならないこと
③ 支援の内容が,外国人の適正な在留に資するものであって,かつ,受入れ機関等において適切に実施することができるものであること
④ 本邦入国前の情報の提供の実施は,対面又はテレビ電話装置等により実施されること
⑤ 情報の提供の実施,相談・苦情対応等の支援が,外国人が十分理解できる言語で実施されること
⑥ 支援の一部を他者に委託する場合にあっては,委託の範囲が明示されていること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

『二国間協定』について

二国間協定は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受け入れの確保等のために必要又は有益な情報を速やかに共有し、問題が起きた場合や定期的に協議を行うことで特定技能制度を適正な運用するために設けられた協定になります。
この二国間協定を締結していない国であっても、特定技能人材の受入れはイラン・イスラム共和国を除いて可能です。また、二国間協定を締結している国の場合、母国の労働局などに対して手続きが必要な場合もあるため、事前の確認が必要です。
2021年3月時点で二国間取り決めを行っている国は以下になります。

二国間協定の覚書を交わしている国
フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド

『協議会』について

特定技能制度を適切な運用を図るために、特定産業分野ごとに分野所管省庁が協議会を設置されています。協議会においては、構成員の連携や緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令順守の啓発、地域ごとの人手不足の状況を把握し必要な対応等を行っています。

特定技能外国人を受け入れる全ての受入機関は協議会の構成要員になることが求められています。入会時期は分野によっても異なりますが、「建設業」「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」は在留資格の手続き前に入会が必要で、それ以外は許可後4か月以内の入会が求められます。

在留資格『特定技能2号』について

2022年1月現在、建設分野・造船舶用工業では在留資格『特定技能2号』の取得も可能です。技能レベルは在留資格『特定技能1号』よりも上になります。在留資格『特定技能2号』は建設業分野と造船舶用業分野でしか認められておらず、2021年度以降に試験の実施が始まると言われています。
相違点は下記の通りです。

項目特定技能1号特定技能2号
技能水準の条件特定技能評価試験で確認
(又は)技能実習2号を良好に修了
「建設分野特定技能2号評価試験」(新設、2021年目途実施)、「技能検定1級」
※試験合格に加えて、班長としての実務経験を1~3年以上有することを要件とする
日本語能力水準日本語能力試験等で確認
(又は)技能実習2号を良好に修了
試験では確認されない
在留期限1年、6か月または4か月ごとの更新、通算で上限5年まで3年、1年または6か月毎の更新期限の制限なし
家族帯同不可要件を満たせば可(配偶者、子)
受入機関又は登録支援機関支援の対象となる対象の支援外

特定技能2号の大きな魅力は、在留期限の上限が無い事(将来的に永住申請を行うこともできます。)、また家族の帯同が認められることが挙げられます。技能レベルには実務経験も求められることから、適切な建設キャリアアップシステムの運用・利用が求められます。

在留資格の手続きについて ~採用からビザ申請の流れについて~

在留資格『特定技能1号』を雇用・就労開始するための手続きについて説明します。採用活動から在留資格の申請までにもやらなければならない手続きが多くあります。特に、在留資格の申請手続きについて解説します。

『特定技能』人材を雇用するまでの流れについて

『特定技能』人材を雇用するまでの流れ、また雇用後の流れは下記の通りになります。他の在留資格と異なり『特定技能』特有のステップもあります。
※在留資格の申請前に協議会への入会が必要な「建設業」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」についてはフローが異なるため注意してください。

やること説明
①業務内容の要件確認「特定技能」で認められる業務内容であるかを確認
②事業所の要件確認就業場所が①で確認した業務内容を行うことができることを確認
③人材の要件確認「特定技能」人材に必要になる資格などを確認
④求人票の作成①~③で確認した要件を満たすように求人票を作成
⑤内定内定出し・内定承諾を行い、雇入れる人材を確定
⑥支援計画の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑦事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑧ビザ申請必要書類を収集、申請書の作成、入管へ申請
⑨雇用後の届け出日本人と同様に、雇用保険・社会保険等の手続き
⑩協議会入会雇入後4か月以内に分野別に設けられた協議会に入会
⑪四半期毎の報告入管に対し、四半期ごとに特定技能人材に関する報告
⑫ビザの更新在留期限前にビザの更新手続き
⑬支援計画の実施
※随時
「支援計画」に則って、特定技能人材をサポートを行う

それでは具体的に在留資格の申請の流れについて確認してみましょう。

在留資格の申請の流れ

特定技能の場合、申請準備は主に4つのパート「支援計画書作成・事前ガイダンスの実行」「必要書類の収集」「書類作成」「申請」に分かれます。 「支援計画書作成・事前ガイダンスの実行」 については前章で説明済みですので、 それ以降について説明します。

申請準備が整ったら、いよいよ在留資格(ビザ)の申請の準備を行います。

海外から人材を招聘する場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。一方、留学生からの新卒採用や転職人材の雇用や技能実習生からの切替の場合には「在留資格変更許可申請」を行います。
どちらも就業開示時点には許可を得て、在留カードを受け取った後から就業可能です。

やること説明
⑥ 支援計画の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑦ 事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑧-1 書類収集入管のHPに記載されている必要書類を収取する
⑧-2 申請書類の作成入管のHPからフォーマットをダウンロードして書類を作成する
⑧-3 申請書類への押印対応不備がないか確認し押印対応
⑧-4 入管へ申請管轄の入管へ出向き、申請を行う
⑧-5 結果の受取(国内・変更の場合)在留カードを受け取る
(海外・認定の場合)在留資格認定証明書を受け取る

必要書類・申請書類について

在留資格の申請は、申請書類だけでなく添付する必要書類を集めなければなりません。特定技能では、他の就労ビザと比較して申請書類の数も多いのが特徴です。

必要書類について

必要書類は、特定技能1号共通の書類と12分野それぞれで定められた分野別必要書類があります。
主に、企業に係る書類、申請人本人に係る書類の2種類があります。内容としては、会社の情報、雇用条件について、社会保険や税金の支払いについて、本人が特定技能人材としての要件を満たしていることを示す書類などになります。

分野ごとの必要書類も合わせて、こちらのページから必要書類を確認することができます。

▶海外人材:在留資格認定証明書交付申請「特定技能」(これから日本に入国される外国人の方)
▶国内の留学生・転職人材:在留資格変更許可申請「特定技能」(すでに日本に在留している外国人の方で,特定技能への移行を希望している方)

申請書類について

申請書類についても、特定技能の場合は他の就労ビザと比較してボリュームは多めになっています。
雇用条件についてや、受入企業の状況について、給料から天引きされる内容や雇用の経緯などの書類を作成しなければなりません。特に注意が必要な点、書類によっては申請人が十分で理解できる言語での作成が必要です(ただし、母国語には限られません)。
また、必要書類と同様に分野ごとに別途作成が必要な書類もあります。

入管のHPに外国語のテンプレートもあります。こちらを利用すると便利です。
※外国語のフォーマットは、英語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語、カンボジア語、モンゴル語、ネパール語、中国語があります。

在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

申請について

申請は誰でもどこでもできるわけではなく、一定のルールがあります。

どこで申請するのか

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。


【原則】申請先の決まり

【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署

【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰が申請をするのか

基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことができます。
この場合、代理人は申請書に名前を記載する代表取締役などに限らず、受け入れる機関の「職員」であれば問題ありません。また、グループ会社の人事関連業務を行う会社の職員も含みます。

一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。
「取次者」の例として、雇用されている・所属している機関の職員、行政書士、弁護士がなることができますが、一定の研修を受けて登録された人のみになります。【取次の人が申請する場合~ルールが変わりました~】

今までは、原則「申請人の居住地を管轄する住所を管轄する入管」でしか申請は認められていませんでした。
しかし、ルールが変更となり申請人(外国人)が受け入れられている又は受け入れられようとしている機関の所在地を管轄又は分担する出入国在留管理官署においても認められるようになりました。

例えば、福岡に住む留学生が東京の会社に内定をもらった場合、以前は、福岡入管(もしくは管轄する出張所)のみでしか申請できませんでしたが、今後は内定先のある東京出入国在留管理局での申請も認められます。

※このルールは取次者証明書が交付された人(公益法人の職員や弁護士や行政書士等)についても認められます。

※補足:他の就労ビザとの比較

『特定技能』は今までの在留資格では就業ができなかった業種での就労が可能です。
在留資格『技能実習』は労働者ではなく、本来は研修生・実習生であることを踏まえると、日本で就労可能な在留資格は高度人材向けの学歴を求めれられるものや、高い専門性や技能を求められるもののみでした。所謂、技能の領域で”ブルーワーカー”に該当する職種は、労働者としてはこの『特定技能』の創設によって初めて就業が可能となりました。

“技術”と”技能”は混乱を招きやすいところがあり次節では、よく比較をされる『技術・人文知識・国際業務』、『特定活動46号(本邦の大学卒業者)』や『技能実習』と比較をしてみます。

出典:出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』

在留資格『技術・人文知識・国際業務』との比較

在留資格『技術・人文知識・国際業務』で認められる活動範囲は下記のように定められております。

本邦の講師の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、その他の人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務部又は外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動

もっとざっくりに説明をすると、『技術・人文知識・国際業務』はこのような在留資格になります。

会社等において 学校等で学んだこと/実務経験を活かした 知識や国際的な背景(言語や外国の感性等)を要する(「単純作業」、「訓練で習得する業務」、「マニュアルがあれば遂行可能務」等を除く)仕事をすることを目的とした在留資格(ビザ)

『技術・人文知識・国際業務』という少し長い在留資格名ですが、もともとは『技術』と『人文知識・国際業務』と分かれていました。日本の企業では部門をまたぐ配置転換も多々想定されることもあり、今では『技術・人文知識・国際業務』とひとつの在留資格になっています。(例えば、研究者→マーケティング部への異動や、エンジニア→セールスエンジニア(法人営業)などの異動です。)

従事できない典型的な業務内容は、単純労働や繰り返し行うことで習得できる業務、マニュアルがあれば習得できる業務が該当し、「技能」に該当するような「特定技能」や「技能実習」で挙げられている作業の業務を行うことはできません。

在留資格『特定活動(46号・本邦の大学卒業者)』との比較

『特定記活動 (46号・本邦大学卒業者) 』は、ガイドラインの中で下記のように定められています。

本制度は、本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において、本邦の大学等において修得した広い知識、応用的能力等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが、本制度においては、上記諸要件が満たされれば、これらの活動も可能です。ただし、法律上資格を有する方が行うこととされている業務(業務独占資格が必要なもの)及び風俗関係業務に従事することは認められません。

留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン (http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00038.html

特定活動 (46号・本邦大学卒業者) で求められる業務のポイントは以下の2つです。

  • 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」に従事すること
  • 本邦の大学又は大学院において習得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められること
    ⇒商品企画、技術開発、営業、管理、業務、企画業務(広報)、教育等

『特定活動(46号・本邦の大学卒業者)』は『技術・人文知識・国際業務』で従事することができない単純労働をすることも可能ですが、それのみに従事することはできません。あくまで、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、又は今後当該業務に従事することが見込まれれている必要があります。

在留資格『技能実習』との比較

『技能実習』は名前の通り、本来は労働者ではなく研修生・実習生の立場になります。日本での実習後、母国にその知識や技能を持ち帰ることが目的です。そのため『技能実習』には実習の計画と効果を測定するための試験があります。また、在留期限の上限も定められており、基本的には実習後には母国に帰ることが求められます。『特定技能』ができたことによって『技能実習』から『特定技能』に在留変更することも可能になりました。

『特定技能』の場合、『技能実習』と比較して就業開始時点で専門的な知識や技術力を備えていることが前提のため、要件として試験の合格や日本語能力試験の合格などが課せられています。

先に挙げた就労ビザの活動内容と取得のための要件や違いの比較は以下になります。(技能実習は就労ビザではないのでここでは省略)

【従事可能な業務内容との比較】

【就労ビザの特徴・要件・その他の条件の比較】

まとめ

以上、在留資格『特定技能』についてまとめました。『特定技能』は人手不足の著しい産業を対象に、決められた業種のみに採用が可能な在留資格です。要件や提出する書類や、採用後のサポートが複雑な一方で、一度組織の一部となり制度の運用が仕組み化できれば戦力になることには違いありません。

【行政書士からのアドバイス】
特定技能は確認することが多い在留資格です。当事務所では申請サポートを行っております。面談では特定技能について丁寧に説明を行います(初回相談は無料)。お気軽にお問合せ下さい。

就労ビザの申請代行や外国人雇用でお困りの方、ご相談下さい。

当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

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