【どのような人材が取得可能?】特定技能1号ビザ取得のために人材に必要な要件について

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在留資格『特定技能1号』は“誰でも”取得ができる在留資格(ビザ)ではありません。取得できる人材は、技能や過去の在留期間、在留状況、来日前後の契約内容など細かく定められたルールがあり、全て満たした外国人でなければなりません。特に注意が必要なのは、従事する予定の業務内容に技能レベルが達していなければなりません。これらの技能レベルは「特定技能1号評価試験」等で測られます。
本編では、特定技能人材に求められる要件・基準について解説をします。

※特定技能には「1号」・「2号」とありますが、本編では「特定技能1号」を中心に解説をします。

特定技能とは

『特定技能』は2019年5月に新設された比較的新しい在留資格です。この在留資格は、日本で特に人手不足の著しい産業において一定水準以上の技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れて、人手不足を解消するためにつくられたものです。特定技能制度の創設目的について、運用要領では下記の通り書かれています。

中・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているものです。

特定技能外国人の受入れに関する運用要領

『特定技能』の大きな特徴として、雇用できる業種(12の限定された業種)、従事できる活動内容が細かく決められており、この業務に従事する外国人はその分野の試験を合格していることが求められます。特定技能1号・2号の違い、分野については下記の通りです。

  • 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
  • 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定産業分野(12分野):介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可

在留期間は、『特定技能1号』の場合は「4か月」「6ヶ月」「1年」で通算で上限5年の在留となります。一方、『特定技能2号』は「6ヶ月」「1年」「3年」が与えられ、更新をし続ければ「永住者」ビザの申請も将来的には可能です。 また、家族の帯同は『特定技能2号』の場合は認められます。『特定技能1号』はもともと『家族滞在』ビザなどで在留していたご家族がいるような場合を除き、基本的には認められません。

特定技能は日本人の労働人口減少に伴う労働力不足を補うため、特に人手不足の著しい産業において外国籍人材に活躍してもらうためにできた在留資格です。特定技能の人材像は、即戦力になり得る人材となるため、技能評価試験に合格(もしくは免除の条件を満たした)人材となります。また、技能能力以外にも一定レベル以上の日本語能力、適切な雇用環境を守るための条件などを満たしていることが必要です。

特定技能人材にかかる要件・基準について

在留資格『特定技能1号』を取得するためには、外国人・雇用主・契約内容等それぞれが満たさなければならない要件・基準があります。具体的にどのような要件・基準を満たさなければならないのかを確認してみましょう。

特定技能人材を雇用するために満たす必要のある基準について

特定技能人材を雇用するためには、「人材」「雇用主・受入機関」「業務内容」「雇用契約内容」など、それぞれに満たすべき基準があります。どれか一つでも満たしていない内容があると許可はありません。

具体的には、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。

特定技能人材を雇用するために満たすべき基準
  • 特定技能外国人が満たすべき基準
  • 受入機関自体が満たすべき基準
  • 特定技能雇用契約が満たすべき基準
  • 支援計画が満たすべき基準

特定技能は、「誰」でも「どの事業所」でも雇用することができる在留資格ではありません。外国人・受入企業ともに満たす基準があり、特定技能人材だけでも10の要件があります。

▶参考:出入国在留管理庁『特定技能運用要領

「特定技能1号」人材が満たす必要のある基準について

「特定技能1号」人材が満たす必要のある基準について、特定技能外国人受入に関する運用要領において下記の通り書かれています。

① 18歳以上であること
② 健康状態が良好であること
③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
④ 保証金の徴収等をされていないこと
⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
⑥ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
⑦ 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
⑧ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
⑨必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)
⑩ 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

特定技能外国人受入れに関する運用要領

上記の10の要件のうち、①~⑧については「特定技能1号・2号」共通の要件になります。⑨⑩については「特定技能1号」特有の要件となります。
外国籍人材が満たす必要の多くが、日本で安心して働くことができる環境づくりや契約内容にかかる要件についてになります。また、求める人材像が“即戦力”であることから、試験によって技能レベルが認められた人材でなければなりません。

次項より詳しく要件を確認していきましょう。

① 18歳以上であること

入国予定日を基準に18歳以上でなければなりません。申請日は18歳未満でも問題ありませんが、申請書から入国予定日が18歳未満となることが読み取れる場合は不許可になる可能性があるため注意が必要です。

② 健康状態が良好であること

申請日の3ヵ月前に遡って健康診断を受診します。日本で問題なく就労ができることの診断書を申請時に提出することになります。結核が流行っている地域から入国する場合には、健康診断のほかに結核スクリーニング検査が必要になる場合もあるので、最新の情報を確認するようにして下さい。

健康診断で診断しなくてはならない項目は「参考様式1-3 健康診断個人票」(ダウンロードはこちら)の全てになります。フォーマットはこれでなくても問題ありませんが、全ての項目の診断がされていなければなりません。

③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

「退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域」は告示で定められています。2021年2月19日時点で、特定技能として雇用することができない国・地域は、以下の通りです。

  • イラン・イスラム共和国

④ 保証金の徴収等をされていないこと

日本で特定技能人材として就労するために、外国人本人やその親族が「保証金」の徴収や財産の管理、違約金の契約をさせられることはあってはなりません。これは、雇用主となる受入機関だけでなく、登録支援機関、人材紹介会社、その他仲介事業者・ブローカー等を含め、母国・日本どちらも問わずに禁止されています。
また、「保証金」や「違約金」というった名目でなくても、財産を管理するような行為全般が禁止されています。

⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること

特定技能人材が入国前や在留中に負担する費用がある場合には、十分に内訳を理解して合意をしていなければなりません。母国の取次ぎ機関等に不当に高額な費用を払い、借金を抱えてまで来日をすることが無いようにしなければなりません。もし、必要な費用を事前に取次ぎ機関等に支払った場合は、その金額を申告をすることになりますが合理的な内容であれば認められます。
例えば旅券購入代金場合、費用負担金額が「実費」であれば問題ありませんが、そこに手数料(利益)が加算される場合などには、審査に影響があります。

⑥ 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること

また、在留中に給料から「家賃」や「水道光熱費」等、特定技能人材が負担すべき内容を天引きする場合には、本人の分かる言語で説明し理解・合意を得たうえで、労働基準法に則って対応する必要があります。
これらの費用負担については、社会通念上合理的な金額であれば問題ありませんが、不当に儲けが出る場合などは認められません。基本的に、実費や社内規則に則った金額である場合には問題ありません。
※天引きする金額が社会通念上合理的であることの説明は、申請時に申請書類内で説明をする項目になってきます。

⑦ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

悪質な仲介事業者・ブローカーの排除を目的として、外国政府との情報共有の枠組みの構築を目的に、二国間の取り決めを送出し国政府との間で「遵守すべき手続き」があります。

国によって手続きをするタイミングは異なりますが、2022年1月現在で事前に手続きを行い、申請書類の一部として提出が求められる国籍は「ベトナム」「タイ」「カンボジア」の3か国になります。

▶国別の情報についてはこちらで確認することができます。

⑧必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること

特定技能で求められる人材像は、“即戦力”になります。そのため、従事する業務に関連する技能評価試験に合格するか、もしくは「技能実習2号」修了者の場合のように試験免除者である必要があります。
試験については、次章にて詳しく説明します。

⑨特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

在留資格『特定技能1号』では在留できる期間は通算して5年間という決まりがあります。5年以上、「特定技能1号」人材として在留することはできません。

「通算在留期間」とは、特定産業分野を問わず、在留資格「特定技能1号」で実際に本邦に在留した期間を言います。また、過去に在留資格「特定技能1号」で在留していた経歴を有する場合は、過去の在留期間も含みます。連続した期間に限らず、出入国を繰り返した場合でも、通算在留期間が5年に達するまでは、再度新規入国として在留することは可能です。また、働き始めた日ではなく「在留カードを受け取った日」=「入国した日」・「通知が届いて入管で受け取った日」が起点になります。下記の期間は、通算在留期間に含まれます。

・失業中や育児休暇及び産前産後休暇等による休暇期間
・労災による休暇期間
・再入国許可による出国(みなし再入国期間による出入国を含む。)による出国期間
・「特定技能1号」を有する者が行った在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請中(転職を行うためのものに限る。)の特例期間
・平成31年4月の施行時の特例期間として「特定技能1号」への移行準備のために就労活動を認める「特定活動」で在留していた期間

特定技能運用要領

※特定活動の準備を行うための在留資格『特定活動』は通算期間に含まれますが、在留資格『特定活動』(雇用維持支援)で在留していた期間は通算期間に含まれません。

⑩分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

特定産業分野ごとの特有の事情にかんがみて個別に定める基準に適合していることが求められます。

▶特定産業分野ごとの運用要領はこちらで確認することができます。

他の在留資格からの変更の場合

他の在留資格(例:「留学」「技能実習」「特定活動」「技術・人文知識・国際業務」「技能」等)から変更する場合は、「特定技能1号」としての「これから」の要件を満たしているだけでは足りません。「過去」の在留状況についても確認をされます。

例えば、年金や健康保険の支払い状況、住民税や所得税の納税状況はしっかりと審査されますし、必要書類にも含まれます。過去の在留状況の確認では、そもそも在留資格で認められる範囲内の活動を行ってきたか、オーバーワーク、虚偽申請、申告漏れの有無について確認されます。

在留資格変更許可申請についてはガイドラインが発表されています。こちらも確認するようにしましょう。

技能レベル・日本語レベルをはかる試験について

特定技能外国人は「技能」「日本語」どちらも試験等ではかられる基準に達していなければなりません。

技能レベルについて

特定技能で求められる技能レベルは「相当程度の知識又は経験を必要とする技術」を有していることになります。このことを証明する方法は以下の2点です。

  1. 各分野で定められている「特定技能1号評価試験」そのほかの評価方法により証明されていること
  2. 技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合
    ※技能実習法施行前の技能実習2号修了者や在留資格『特定活動」(技能実習)をもって在留していた技能実習生(「研修」及び「特定活動」で在留した期間が2年10ヵ月以上の者)も含みます。

▶参考:特定技能1号評価試験の全分野のスケジュールについてはこちらで確認できます。

特定技能1号評価試験の受験資格(国内)について

在留資格をもって在留する方
受験を目的とした「短期滞在」での入国が認められます。
また、令和2年3月31日までに認められなかった下記の人も認められます。(出入国在留管理庁HPより)

(1)中長期在留者でなく、かつ、過去に日本に中長期在留者として在留した経験がない方
(2)退学・除籍留学生
(3)失踪した技能実習生
(4)「特定活動(難民申請)」の在留資格を有する方
(5)技能実習等、当該活動を実施するに当たっての計画の作成が求められる在留資格で現に在留中の方

一方で、在留資格を有していない不法残留者等は受験は引き続き認められません。

※海外試験については開催国のルールに従ってください。

日本語能力について

日本語能力は日常生活レベル以上を持っている必要があり、それを判断するための方法は以下の3点です

  1. 日本語能力試験のN4以上に合格
  2. 国際交流基金日本語基礎テスト
  3. 技能実習2号を良好に修了している場合(職種・作業の種類に問わず)

まとめ

以上、在留資格『特定技能1号』を取得するための人材に係る要件・基準について説明しました。
特に重要なのは技能・日本語のレベルを試験等で証明することになります。技能レベルについては、従事する業務に対応した技能レベルに達してなければなりません。その他にも、年齢や過去の特定技能としての在留歴、来日までの経緯、契約内容も確認されます。

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