外国人雇用のポイント ~就労ビザについて~

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初めての外国人雇用を行う場合、やはり外国人のみに適用される法律についてが気になるのではないでしょうか。特に気になるのは「在留資格(ビザ)」の問題かと思います。本編では、外国人雇用に関するビザの手続きについて、また雇用後の手続きに関する注意点などを解説していきたいと思います。

就労ビザのポイント

求人を出していたら、突然、外国人から応募があった!」
外国籍の人数は年々増えていて、外国籍の方からの応募は当たり前になりつつあります。でも、焦る必要はありません。抑えるポイントさえしっかり押さえれば、判断を間違うことはありません。

就労ビザのポイント
  • 誰が
  • どこで
  • どのような業務内容をおこなうのか

上記の内容は、求人票に全て盛り込まれている内容です。ですので、すでにある求人票と求人に応募した外国籍の方の「在留資格(ビザ)」を照らし合わせて、採用しても各在留資格の要件を満たしているかを確認すればよいだけになります。
もし、その外国籍の方をどうしても採用したい場合で、上記の3つのポイントがどうも法律に適していないと感じた場合は、問題の部分を修正して採用すればよいのです。(修正するのは表面的な求人票ではなく、実態のほうです。)

外国籍の方の雇用の管理は、基本的には『日本人の雇用』+『在留資格』です。つまり、日本人の方が適法に働けているような職場であれば、あとは正しく在留資格を取得できれば特に恐れるような問題はありません。

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ここまででは、「いったい何のことやら」と思われる方も多いと思います。就労ビザについてより深く理解をしていただくために、在留資格について解説致します。

外国人雇用の基礎 ~在留資格の面から~

在留資格とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年6月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理人になった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、「永住者」ビザを取得することもできます。

在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

在留資格の一覧

在留カードとは

では、面接に来た外国籍の方の在留資格を知るためにはどうしたらよいのかというと、「在留カード」を確認することになります。

在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍、地域、住居地、在留資格、在留期間といった基本情報が記載されています。在留カードは、基本的に3か月を超えて日本に滞在することが許された外国人に対して、法務省出入国在留管理庁により発行されされるものになります。

在留カードの主な記載内容

在留カードにはホログラム加工がされており、カードを傾けるとホログラムが3D的に動いたり、「MOJ」の色が変化します。また、暗い場所で強い光をあてると透かし文字が見えます。最近では、出入国在留管理庁公式アプリが発表され、『在留カード等読取りアプリケーション』を使用すれば偽装カードの判別が容易につくようになりました。

偽装カードの見分け方の詳しくはこちらを参照ください。(「在留カード」及び 「特別永住者証明書」の見方)

就労ビザの種類は?

ここまでで、外国籍の方が活動内容に合った在留資格を持っている必要があることを説明しました。とはいえ、29種類も在留資格が列挙されていてどのように判断すればよいか、なかなか分かりにくいと思います。
ここでは、代表的な就労ビザについての説明と、その在留資格で就業可能な業務内容について触れたいと思います。

代表的な就労ビザの例
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 高度専門職
  • 特定活動(46号)
  • 特定技能

これらの在留資格は、一般的な「サラリーマン」に与えられる在留資格になります。これらの在留資格で可能な業務内容は以下になります。

サラリーマンの方で最も多く取得されている就労ビザは『技術・人文知識・国際業務』になります。この『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では、理系はエンジニアや研究開発、文系ではマーケティングや法人営業、また管理業務全般や翻訳通訳、外国の感性を活かしたデザインの業務内容に就くことができます。
この『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では、オフィスワーカーやホワイトカラーの方を想定しており、繰り返す訓練することで習得できる技能や単純労働は一般的にはできません。
基本的に『技術・人文知識・国際業務』の在留資格でできる業務内容の範囲は、「学術的な素養を背景とする業務」と考えられています。よく当在留資格と混乱しやすい業務内容として、「精密機器の保守メンテナンス」や「自動車の整備」が挙げられますが、一見技術力が必要な業務に見えても「マニュアル等を見ながら繰り返し訓練することで習得できる業務」は『技術・人文知識・国際業務』で行うことはできません。これらの業務内容もレベルやその企業での役職や立場によっては該当する場合も十分にありますが、当然には認められないので注意が必要です。

『高度専門職』は、2012年5月より始まった在留資格で高度外国人材の受入れを促進するために、ポイント制を活用した優遇措置です。在留期限が5年を与えられるだけでなく、家族のビザについても様々な優遇措置があります。一般的なサラリーマンの場合は『高度専門職1号(ロ)』が該当する場合が多く、業務内容としては『技術・人文知識・国際業務』でいうところの「技術」「人文知識」の業務が該当します。

一方、『特定活動(46号)』は日本の大学を卒業して高い日本語能力を持っている(日本語能力検定1級)を人材が取得が可能な在留資格になりますが、『技術・人文知識・国際業務』では当然に認められなかった現業にも従事することができます。これによって、タクシードライバーでの観光案内や、飲食店・小売店での接客販売、ホテルでのベルボーイやベッドメイク等の付随業務として行うことができます。ただし、現業のみ従事することは認められず、『技術・人文知識・国際業務』の業務に+αで行うというイメージになります。

『特定技能1号・2号』は2019年5月に新設された比較的新しい在留資格です。日本において特に人手不足の著しい業種・業界の12分野において今まで就業が認められなかった現業の業務に従事することができるようになりました。12分野には、介護業、ビルクリーニング業、素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業、建設業、造船・舶用業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業があります。

では、上記の在留資格に当てはまらない業務内容は、外国籍は従事できないのかというとそんなことはありません。活動内容に制限のない身分系の在留資格を持つ外国籍の方であれば従事できます。身分系の在留資格は次の4つです。『永住者』『日本人の配偶者』『永住者の配偶者等』『定住者』です。また、通常は就業は認められていなくても「資格外活動許可」を取得することで就業ができる場合があります。「資格外活動許可」を取得できる主な在留資格として「留学」「家族滞在」等があり、この場合は風営法で制限されている業務以外の業務に従事可能です(ただし、時間の制限があります。)

上記から外国籍の方が従事できる業務内容と在留資格の関係がなんとなく理解いただけたのではないでしょうか。
業務内容(=在留資格)が決まれば、次に在留資格ごとの人にかかる要件を確認します。

上記のように、在留資格は業務内容だけではなく、「人」の要件を満たす必要があります。例えば、学歴や日本語レベルがあります。高度専門職はポイント制で客観的に判断されますし、特定技能に関しては日本語能力検定だけでなく、試験の合格といった条件もあります。
面接の際に、外国籍の方が上記の要件を満たしていない場合は、内定までに取得を促すか残念ながら不採用の通知をすることになります。

『出入国在留管理及び難民認定法』違反について

上記の『在留資格⇔業務内容』の関連性を守らないとどうなるか。
当然に犯罪に該当します。違法な業務内容を行うこと自体もNGですが、虚偽の申請を行って実際と異なる業務内容を申請して許可を得て働かせることもよくありません。
この様なケースの場合、以下の罪名に該当します。そして、これらの違反は外国人が罰せられるだけでなく、事業主も罰せられることになります。

『出入国管理及び難民認定法』の違反について

【虚偽申請に対する罪名】
不利益な事実を隠したり、嘘の内容の申請をすることは虚偽申請になります。
この場合「在留資格等不正取得罪(入管法70条1項)」「営利目的在留資格等不正取得助長罪(入管法第74条の6)」という刑罰が課され、3年以下の懲役・禁固若しくは3百万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

【在留資格の範囲外の業務に対する罪名】
不法に入国したり、在留期間を超えて不法に在留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人を行う就労のこと。また、正規の在留資格を持っている方でも、許可を受けないで在留資格で認められた活動の範囲を超えて行う就労についても不法就労に該当します。
この場合、「不法就労罪(入管法第73条の2)」「不法就労助長罪(入管法第73条の2)」という刑罰が課され、3年以下の懲役・禁固若しくは3百万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

不法就労についての詳細はこちら→警視庁『外国人の適正雇用について

在留資格の申請手続きについて

在留資格の申請を行うタイミングと必要なケースについて

在留資格の申請を行うタイミングは『内定~入社』になります。在留資格の変更が必要な場合に切替前に入社をさせると資格外活動違反になるため気を付けてください。また、審査期間も3週間~数カ月に及ぶ場合もあるため、申請は計画的に行わなければなりません。

在留資格に関する申請手続きには、以下の4つがあります。

  • 在留資格認定証明書交付申請:海外にいる外国籍の人材を日本に呼ぶための申請
  • 在留資格変更許可申請   :留学ビザなど就労ができない在留資格からの変更の申請
  • 在留期間更新許可申請   :在留期間を延長するための申請
  • 就労資格証明書交付申請  :転職をした場合などに、業務内容が在留資格の範囲内化を確認するための申請

これらは、採用した外国人が申請時点で海外在住か国内在住かによって変わってきます。一般的な就業までのフローは以下のようになります。

中途・転職の場合で在留資格が『技術・人文知識・国際業務』の場合、転職前後で業務内容が大きく変わる際には『就労資格証明書』を取得することを推奨致します。取得することで業務内容が法律の範囲内であるかどうかを確認することができます。

在留資格の申請について

申請書の準備をする前に、基本的なことを確認しましょう。申請場所や申請できる人、必要書類については確認が必須です。

申請場所

  • 海外から呼び寄せる場合:居住予定地、受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
  • 既に日本国内にいる場合:外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
    ⇒(21年6月10日追記)運用変更により、就労ビザの場合は住居地管轄の入管に加えて、就職先の住所を管轄する入管での申請が可能です。※申請取次者による申請に限る

申請できる人

  • 申請人本人
  • 外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める代理人
  • 申請取次者(行政書士等)

申請書類の作成・準備

  1. 必要書類の準備
  2. 申請書の作成(フォーマットは出入国在留管理庁HPでダウンロードできます)

必要書類についても出入国在留管理庁HPにそれぞれの在留資格毎に記載がありますが、必要最低限のものしか記載されておりません。業種・業態・職種・事業規模等によって必要書類が異なる場合や、追加で必要になる場合もあります。

以下は、『技術・人文知識・国際業務』の場合の一例です。

入社後に必要な手続きついて

入社後に必要な手続きは以下の3点です。

  1. 【企業】雇入れた翌月10日まで『雇用保険被保険者資格取得届』を提出
        ※雇用保険の被保険者でない場合:雇入れた日の属する月の翌月末日までに『外国人雇用状況届出書』を提出
  2. 【外国人】転職の場合は入社後14日以内に『所属機関に関する届け出』を提出
  3. 【企業/外国人】在留期限の3か月前から在留期限までの間に、『在留期間更新許可申請』を提出

上記のような在留管理以外は、原則日本人と同じになります。例えば、労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入し、所得税や住民税も課税されます。

まとめ

以上、就労ビザについてのポイントを解説致しました。
外国人の雇用は、日本人の雇用をベースに就労ビザがプラスされるイメージです。在留資格(ビザ)ごとに可能な活動内容が決まっています。そのため、就労ビザを考える際には、まずは在留資格ごとの可能な業務内容の範囲を知ることが必要です。在留資格を特定することができたら、次に在留資格毎の要件を確認し求人に応募をしてきた外国籍の方が要件を満たしているかを確認します。外国籍の方から求人応募があった場合でも、ポイントを抑えてしっかり手続きを行えば難しいことはありません。

就労ビザの申請代行や外国人雇用でお困りの方、ご相談下さい。

当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

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