ビザってそもそも何!? ~日本に滞在するための基礎知識~

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外国籍の方の日本の在留には「ビザ」が必要ですが、そもそも「ビザ」って何なのでしょうか。日本で適切に在留するためには「査証」と「在留資格」が必要で、これらを合わせて「ビザ」と呼ばれることが多くなっています。
本編では日本の在留で必要な「ビザ」についての基礎知識を解説したく思います。

査証と在留資格について

まず、日本に適法に在留するためには2つの許可が必要です。

  • 日本に入国をさせてもよいかの許可(上陸許可)
  • 上陸後の活動内容や身分が適法であるかのステータス(在留資格)の許可

ここまで聞いてもどういうこと?という感じかもしれませんが、よくテレビなんかでみる「スーツケースの中に持ち込み禁止物(例えば麻薬や税関申告していないたばこなど)が入っていて、入国審査で入国できずにそのまま飛行機で折り返す」ようなシーンなどは「そもそも入国が許可されない」ということに該当している事例になるものです。そして、日本の場合、入国ができればどんな活動をしてもよいわけではなく、すでに認められている29の在留資格(ステータス)に当てはまる場合にのみ在留ができるということになります。

「ビザ」とは「査証」のことですが、よく「ビザ」の話をする場合は「在留資格」のことを指すことがほとんどです。本サイトでも基本的には、注釈無しで「ビザ」と書いている場合はは在留資格を指しています。

査証とは

日本に上陸するための条件

日本に上陸しようとする外国人は、原則として有効な旅券を必要としていなければなりません。これに加えて、所持する旅券に査証を受けていなければなりません。査証は日本国領事館等で受けるものになりますが、日本へ入国することは問題ないという「お墨付き」のようなものになります。
在留資格「短期滞在」(観光などが目的)については、査証免除国・地域の外国人であれば査証は不要になりますが、これ以外の理由であれば「査証」が必要になります。

上陸するためには、①有効な旅券(パスポート)に「査証」を受けている必要があります。そして、②入国後の活動内容に虚偽性はなく在留資格(この後説明するステータス・活動内容について)が、入管法に定めるいずれかに該当していること、また③在留資格には期限がありそれが認められた期間内であること、これらの要素を満たす必要があります。

さらに、④上陸拒否事由に該当していないことというのがあります(これについては後述)。①~④についての条件を満たしたときに、日本に入国することができます。

日本に上陸できない場合とは

上陸拒否事由(日本に上陸できない)に該当する者は下記があたります。

  1. 保険・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
  2. 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
  3. 日本国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
  4. 日本国の履歴または公安を害するおそれがあるとして上陸を認めることが好ましくない者
  5. 相互主義に基づき上陸を認めない者

1は伝染病などに感染していないことなどが該当します。最近では新型コロナウィルスが流行した際に、特定の国からの上陸が拒否されたりそもそも査証の発給が止められたりもしました。
2については、詳しくは入管法に以下のように規定されています。

第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。

 4 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役もしくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられたものは、この限りでない。
 5 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締に関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
 6 麻薬及び向精神薬取締役に定める麻薬もしくは向精神薬、大麻取締法に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚醒剤取締法に定める覚醒剤もしくは覚醒剤原料またはあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者
 7 売春又はその周旋、勧誘、その場所のその提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者

引用『出入国管理及び難民認定法 第五条』

1年以上の禁錮刑になった場合や、麻薬などのドラッグで逮捕された人や持ち込もうとしている人、売春のあっせんなどを行ったような人が該当します。
場合によっては母国では合法であっても、日本に入国後に犯罪と知らずに犯したものであっても、以後、上陸拒否に該当します。

③は過去に日本に在留していた人で退去強制処分を受けた人が該当します。④については、日本国内でいわゆる暴力主義的破壊活動者(テロリスト)として退去強制をされた人やそういう思想の団体に加入していることです。⑤については、日本人の入国が認められない国の国民については入国が認められないということになります。

ここまでが日本に上陸するための条件となります。

在留資格とは

在留資格には29種類ある

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年6月現在29種類の在留資格があります。
よく「ビザ」と呼ばれるものは「査証」のことではなく、「在留資格」を指すことが多いです。

在留資格の一覧は下記になります。言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。
在留資格は大きく分けると『活動内容に基づくもの』『身分に基づくもの』に分けられます。そしてさらに分類すると以下の4つにわけることができます。

  1. 就労活動が認められる在留資格(活動制限有)
  2. 身分地位に基づく在留資格(活動制限なし)
  3. 就労の可否はしていされる活動によるもの
  4. 就労が認められない在留資格

就労が可能な在留資格であっても、それぞれ細かく何の活動をして収入を得るのかまで細かく分かれることになります。また、身分・地位に基づく在留資格の場合は就業制限はありませんが、その状態が続いている必要があります。例えば、日本人との婚姻関係が続いている限り『日本人の配偶者等』の在留資格が与えられるということになります。

この在留資格制度の最大の特徴は、取得のためには「今後の希望」では不十分で「日本で行うことが確定している」予定のものに対して与えられ、その活動は在留資格の許可を得てからでないと行うことはできません。つまり、「日本で就職したいから」という理由で「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を取得する」ことはできず、「日本で特定の企業から内定をもらって承諾したため」という理由であれば「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を取得する」ことができるということにいなります。

在留資格一覧

在留資格の原則は”一在留一在留資格”

ここまでをまとめると、在留資格は活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。日本の在留資格制度は”一在留一在留資格”が基本となっていて、複数の在留資格を持つことはできません。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理人になった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、「永住者」ビザを取得することもできます。

在留カードとは

在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍、地域、住居地、在留資格、在留期間といった基本情報が記載されています。在留カードは、基本的に3か月を超えて日本に滞在することが許された外国人に対して、法務省出入国在留管理庁により発行されされるものになります。

在留カード表
在留カード裏

外国籍の方には、在留カードの携帯義務があります(16歳以上から)。携帯義務に違反すると20万円以下の罰金を科される場合があります。
もし紛失している場合は、早急に再発行の手配をしなければならないものです。また、在留カードを携帯していない場合は就業することはできません。もし、面接に来た外国籍の方に在留カードの提示を求めて拒否をされた場合は、適正に在留をしていない可能性があるため注意が必要です。

まとめ

以上、査証と在留資格について説明致しました。
よく「ビザ」と呼んでいるのは「在留資格」の事ですが、実際は入国するための「査証」が「ビザ」になります。日本で”在留”するためには入国の許可を得ることと、入国後のステータス(在留資格)の許可を得ることが必要です。日本で認められている在留資格は29種類あり、これのいずれかに該当する活動・身分に基づいて在留することになります。

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