外国人労働者が失踪したら特定技能人材は雇用できない!?

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特定技能人材を雇用するための条件に、「事業者の責任で失踪者・行方不明者を出していない」ということがあります。これは受入前1年間、受入中も継続する条件・満たし続けなければならない条件となります。ニュースでも多くみられるような、不適切な労働環境が原因で外国人が失踪・行方不明者を出さないようにしなければなりません。本編では、特定技能人材を雇用する受入企業における「失踪・行方不明者の発生」について解説します。

特定技能とは

『特定技能』は2019年5月に新設された比較的新しい在留資格です。この在留資格は、日本で特に人手不足の著しい産業において一定水準以上の技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れて、人手不足を解消するためにつくられたものです。特定技能制度の創設目的について、運用要領では下記の通り書かれています。

中・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているものです。

特定技能外国人の受入れに関する運用要領

『特定技能』の大きな特徴として、雇用できる業種(14の限定された業種)、従事できる活動内容が細かく決められており、この業務に従事する外国人はその分野の試験を合格していることが求められます。特定技能1号・2号の違い、分野については下記の通りです。特定技能とは

  • 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
  • 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定産業分野(14分野):介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可

在留期間は、『特定技能1号』の場合は「4か月」「6ヶ月」「1年」で通算で上限5年の在留となります。一方、『特定技能2号』は「6ヶ月」「1年」「3年」が与えられ、更新をし続ければ「永住者」ビザの申請も将来的には可能です。 また、家族の帯同は『特定技能2号』の場合は認められます。『特定技能1号』はもともと『家族滞在』ビザなどで在留していたご家族がいるような場合を除き、基本的には認められません。

特定技能は日本人の労働人口減少に伴う労働力不足を補うため、特に人手不足の著しい産業において外国籍人材に活躍してもらうためにできた在留資格です。このため、「安い労働力の確保」のようなことにつながることが無いよう、特定技能人材の受入1年前~受け入れ期間中に失踪者・行方不明者が出た場合で、事業者に責任がある場合には特定技能人材を雇用することはできません。 国籍問わず安定的な就業が確保されるためのルールがあります。

特定技能人材を受け入れるための要件について

特定技能人材を雇用する受入機関では、様々な要件を満たす必要があります。その中には、労働関係法や社会保険関係法、租税法などの法律の遵守のほかにも、「行方不明者」に関しての規定もあります。

特定技能人材を雇用するために満たす必要のある基準について

特定技能人材を雇用するためには、人材だけでなく受入企業や契約内容など満たさなければならない基準が多くあります。また実際に、入管に関する法令(出入国管理及び難民認定法)以外にも、労働関係法令、租税関係の法令など遵守できているか確認すべき法令の範囲が広く、そのため申請時の提出書類が多くなっています。

具体的には、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。

特定技能人材を雇用するために満たすべき基準
  • 特定技能外国人が満たすべき基準
  • 受入機関自体が満たすべき基準
  • 特定技能雇用契約が満たすべき基準
  • 支援計画が満たすべき基準

上記の中でも失踪・行方不明者の発生が特定技能人材受入の要件に関わってくるのは「受入機関自体が満たすべき基基準」の部分になります。

受入機関自体が満たす必要のある基準について

受入機関自体が満たす基準について、特定技能外国人受入に関する運用要領において下記の通り書かれています。

① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

特定技能外国人受入れに関する運用要領

上記の通り、「1年以内に受入機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させてはいないこと」は特定技能を受入れる機関の要件の一つになります。もし万が一、事業者の責任で行方不明者が発生している場合には、受入前1年間と行方不明者発生後1年間は、新たに特定技能人材を雇用できないだけでなく、雇用中の特定技能人材においても退職させなければならなくなります。

失踪・行方不明者が発生すると特定技能人材は雇用できない!?

どのような「人材」が、どのような「場合」に失踪・行方不明となると問題になるのか細かく確認をします。

どのような「人材」が失踪・行方不明になると受入ができなくなるのか

ここで該当する「人材」は下記の人材になります。事業者の責任によって、下記の人材で失踪・行方不明者が出ている場合には、特定技能人材の受入が難しくなる場合があります。

  • 特定技能人材
  • 技能実習生

技能実習生で、特定技能人材受入の過去1年間に失踪・行方不明者が出ている場合や、特定技能人材受入後に技能実習生・特定技能人材が失踪・行方不明になっている場合は、注意が必要です。

どのような「場合」に失踪・行方不明になると受入ができなくなるのか

「事業者の責めに帰すべき事由」に該当する場合

失踪・行方不明者が発生した場合に、全てのケースで特定技能人材の受入ができないわけではありません。「事業者の責めに帰すべき事由」の場合に受入ができなくなります。「事業者の責めに帰すべき事由」として、運用要領では下記のように定めています。

  • 特定技能所属機関が雇用条件通りに賃金を適正に支払っていない場合
  • 支援計画を適正に実施していない場合
  • 法令違反や基準に適合しない行為が行われている(た)場合

申請時に提出をした「雇用契約」や「支援計画」に則た就労が実現できている場合や、特定技能受入に際して遵守していなければならないとされている労働関係法令、社会保険法令、租税関係法令の遵守がされていなかったことが判明した場合は、「事業者の責めに帰すべき事由」に該当することになります。

▶参考:出入国在留管理庁『特定技能外国人の受入に関する運用要領

届出を怠った場合

特定技能所属機関は、雇用する特定技能外国人が行方不明となった場合は、理由に関わらず14日以内に「受入困難に係る届出書」を提出しなければなりません。
調査の結果、「事業者の責めに帰すべき事由」に該当しなくても、届け出をしない場合には届け出義務違反に該当するため注意が必要です。届け出義務違反をする場合、過料、刑事罰になるだけでなく、遵守すべき法令を遵守できていないということになり、欠格要件に該当します。こうなると、既に雇用している特定技能人材は受入れ困難となり退職をしてもらうことになり、5年間新規の人材も受入禁止になります。重いペナルティーを受けることになります。

失踪・行方不明者が発生した場合、どうなるのか

ここまでで何度か触れていますが、失踪者・行方不明者を発生させてしまった場合、その背景・理由に関わらず14日以内に「受入困難に係る届出書」を提出しなければなりません。
「事業者の責めに帰すべき事由」で発生している場合には、特定技能人材の受入は失踪・行方不明者発生の時点から1年間は出来なくなります。現在雇用中の特定技能人材は退職をさせ、転職のサポートをすることになります。事業者に責任が無い場合は、その後も問題なく雇用を継続させることができます。

外国人労働者が失踪・行方不明になる背景とは

過去に法務省が行った、技能実習制度の運用に関する調査・検討結果報告で、技能実習生の失踪理由に最も多かったものとして「低賃金」があります。また、失踪をした技能実習生の受入機関の一部では、実際に「最低賃金違反」や「契約賃金違反」「賃金からの不適当な控除」「時間外労働党に対する割増賃金の不払い」「残業時間等不適正」が見られたそうです。

▶参考:法務省『調査・検討結果

技能実習生の失踪は昨年が7089人、今年に入っては6月までで4279人となっている。法務省は16日の衆院法務委員会の理事懇談会で、昨年12月までに失踪し、その後、出入国管理・難民認定法違反などの容疑で摘発された実習生を対象に失踪動機などを聞き取った「聴取票」の結果を公表した。人数は2870人で、国籍別では中国、ベトナム、インドネシアなどの順になっている。
失踪動機(複数回答)は「低賃金」が67.2%で最も多く、以下、「実習後も稼働したい」が17.8%、「指導が厳しい」が12.6%、「労働時間が長い」が7.1%、「暴力を受けた」が4.9%などとなっている。
実習先での月給については「10万円以下」が半数以上の1627人、「10万円超~15万円以下」は1037人で、15万円以下が9割以上を占めた。

日本経済新聞『技能実習生の失踪動機「低賃金」67%』2018.11.18 より一部抜粋

特定技能人材を雇用に際して、外国人の日本での公私の生活をサポートをするために「支援計画」を実行する必要があります。その中には、「事前ガイダンス」という場で雇用条件について本人が理解できる言語での説明をする機会があったり、定期的な面談の実施機会が設けられています。
そもそも、労働基準法や労働安全衛生法、労働契約法、最低賃金法などの法律を遵守できていない企業では受入れはできません。適切な労働環境の整備は国籍問わず必要なものです。適切な運用をしていれば、外国人が理由も無く失踪・行方不明になることはありません。特定技能人材を雇用する前に、今一度、労働環境の見直しをされてみてください。

まとめ

以上、特定技能人材を雇用する受入企業が満たしている必要のある基準の一つ「失踪・行方不明者」の発生について解説しました。
雇用をしている技能実習生や特定技能人材が、企業の責任で失踪・行方不明となった場合には、失踪の日から1年間は特定技能人材を雇用することはできません。特定技能は一般の労働者と同様に転職が可能です。日ごろから特定技能人材とコミュニケーションを取ることで、「退職」ではなく「失踪・行方不明」を選ぶことが無いよう心掛けなければなりません。

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