【質問⑧】外国人社員を取締役に就任させたいです。在留資格(ビザ)はどうしたらよいですか?

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新しく子会社を作るにあたって、親会社で雇用している外国人社員を取締役に就任させたいです。在留資格はどうすればよいでしょうか?
その外国人取締役の活動内容などによって在留資格を変更したほうがよい場合があります。変更する場合は「経営・管理」という在留資格(ビザ)が該当します。ただし、肩書だけで在留資格は決まりませんので注意が必要です。

上記の質問について詳しく解説します。

在留資格「経営・管理」について

在留資格「経営・管理」は会社を経営したり事業の管理をする活動を行う場合に取得する在留資格です。日本で起業をする場合や、既存の起業の経営トップ層のポジションに就任して経営活動に従事する場合などが該当します。

どのような活動が「事業の経営」に該当するのか

上記の表の通り、企業の経営者や管理者が取得する在留資格は在留資格『経営・管理』となります。入管法において、「経営・管理」の在留資格該当性(活動の範囲)について下記の通り定められています。

【経営・管理】の在留資格該当性について
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

入管法別表第1の2

つまり、在留資格『経営・管理』では、下記の活動ができると言えます。

①日本において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
②日本において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
③本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に変わってその経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動

在留資格「経営・管理」を取るための要件について

「事業の経営」に携わる場合で在留資格「経営・管理」を取得する場合は、下記を満たしている必要があります。

一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること
二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
 イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤職員(法別表第1の上覧の在留資格を持って在留する者を除く。=日本人や永住者、永住者の配偶者、定住者等)が従事して営まれるものであること。
 ロ 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること。
 ハ イ又はロに準ずる規模であると認められる者であること。

上陸許可基準

簡単にまとめてしまいますと、日本にある常勤の職員2人以上雇用するか、500万円以上の出資・資本金がある日本の事業所で行う「事業の経営」が該当します。

外国人社員が取締役に就任しました。今すぐビザを変更すべき?

外国人従業員を取締役に就任させる場合、在留資格「経営・管理」に今すぐ変更すべきか悩まれることは多いかと思います。この質問には、ケースバイケースによるところが大きく、少し回答がしにくいところあります。

すぐに変更しなくてもよい場合がある

在留資格の審査に関する「審査要領」には、例えば「技術・人文知識・国際業務」で在留していた外国人が、昇進等によって企業の経営者や管理者になった場合は、今の在留資格の在留期限の満了の際に「経営・管理」に変更をしたのでも問題ない、とされています。「技術・人文知識・国際業務」でできる業務は、「自然科学もしくは人文科学の知識等を要する業務」と決められており、この中には起業の経営活動や管理活動は重複する部分であるからです。
とはいえ、在留資格「経営・管理」は準備にも時間がかかり、難易度の高い申請とも言えるため、早めに準備されるのがよいです。申請の結果、「技術・人文知識・国際業務」のままでよい、という結果になる可能性も無くは無いです。

逆に、「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格の場合で、特に就労不可の在留資格の場合(例えば「留学」や「家族滞在」など)は、経営活動を行う場合にはその活動を始める前に在留資格変更許可申請を行って「経営・管理」に変更をします。

外国人取締役のメインの活動は何なのか?

結論として、外国人が取締役に就任した際には、在留資格の変更についてはよく入管と相談をされることをお勧めします

例えば外国人社長がいて(在留資格は「経営・管理」)、外国人取締役が4人いるような会社の場合、雇用している従業員は0人の場合(取締役以外の構成はいない会社)があるとします。では、この会社に属する外国人取締役4名全員が「経営・管理」を取得できるかというと、取れないとまでは言い切りませんが、かなり難しい申請になると思われます。もちろん、事業内容や事業規模にもよりますが、このような従業員構成の場合には、取締役全員が「経営・管理」での在留を認められないという可能性もあります。
理由としては、先に挙げた「事業の経営」の活動が社長以外にもう1人以上必要なのか、というと説明ができない限り許可はもらえず、多くのケースで説明が困難だからです。というのも、実際に行っている活動内容は、どちらかというと就労ビザの一つである「技術・人文知識・国際業務」に該当する内容の場合も多いからです。

つまり、何が言いたいかというと「取締役」という肩書だけでは「経営・管理」は当然には許可されず、「事業の経営」に関する活動がメインの活動でなければ難しいという話しになります。
しかし、入管で相談をすると「取締役なら経営・管理を申請してください」とアドバイスされることも多く、実際にと当事務よも言われたことがありますが、ではそのアドバイス通りに「経営・管理」を申請したところで許可が出るかというとまた別の話しになります。

よって、「取締役」に外国人が就任する場合、入管とよく相談をした上で在留資格を変更すべきか、またそもそも「取締役に就任すること自体」をよく検討・確認されるのがよいかと思います。

まとめ

以上、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで働く外国人従業員が取締役に就任する場合における、在留資格の考え方について解説しました。
ケースバイケースによるところが大きいので、一概には回答が難しいところはありますが、一つ明確に言えるのは肩書では在留資格は決まらないと言うことです。
よって、「技術・人文知識・国際業務」で在留をしながら「取締役」に就任する場合などには、「就労資格証明書交付申請」を行って、一度入管の判断を仰ぐというのも有効な手段かもしれません。

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