食品製造業で外国人材を採用する場合の在留資格について

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在留資格『特定技能』が2019年5月に始まってから、食品製造業における外国人材の採用はますます増えています。もともと技能実習生を労働力としてとらえ活用していた事例が多かったこともあり、比較的受け入れ準備も進んでいる業種です。また、工場の海外進出や海外からの原料買い付けなどの業務が想定される食品製造業において、外国人材の活躍できるフィールドは多岐にわたります。本編では、食品製造業で外国人材を採用する場合の在留資格について解説致します。

※『技能実習』は母国に日本の技術を持ち帰るための研修を目的とした在留資格であり、本来は「就労ビザ」ではないため本編では説明を省略します。

外国籍の人材を社員として採用する際の流れ

食品製造業で外国人の社員として採用する場合、人材の採用目的に合わせて在留資格を選択してから採用をする必要があります。そのためには、外国人材を採用することの意味をしっかりと考え、きちんと在留資格を見極めそれに合う人材を採用し、必ず出入国在留管理庁に届け出を出す必要があります。そのため、内定を出す前にしっかりと在留資格に問題がないかを見極めておかなければなりません。

よく「製造業の場合、ビザの許可が下りにくいと聞いたけど本当?」という質問をいただきます。これは、在留資格をきっちり選んだうえで人選を行えれば問題はありません。

人手不足の著しい食品製造業にとっては、外国人材を受け入れる体制を正しく構築することができれば、大きな戦力となることに違いありません。

まず大前提として、外国籍の方の雇用の管理は、基本的には『日本人の雇用』+『在留資格』です。つまり、日本人の方が適法に働けているような職場であれば、あとは正しく在留資格を取得できれば特に恐れるような問題はありません。

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では、食品製造業で外国人材を採用するためのポイントと流れを確認してみましょう。

在留資格について ~食品製造業で採用できる在留資格とは~

在留資格の基礎知識

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年6月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理しになった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、「永住者」ビザを取得することもできます。
つまり、”就労が認められている在留資格”毎に行ってよい業務内容が決まっています。業務内容が多岐にわたる宿泊業の場合、業務内容に合わせた在留資格を取得することになります。

在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

在留資格の一覧

今回の採用活動の”本当の目的”は何ですか?

食品製造業において、外国人材を採用したいと考える理由はおおよそ以下ではないでしょうか。

  1. 工場での人手不足の解消をしたい
  2. 工場の海外進出に向けて通訳翻訳を採用したい
  3. 海外から原料を輸入したり、商品を輸出するため翻訳通訳を採用したい
  4. 技能実習生や特定技能人材への翻訳通訳を含めた管理スタッフを採用したい
  5. 工場における品質管理のための優秀な戦力を採用したい
  6. 本部スタッフ(広報、マーケティング、法人営業等)として採用したい

製造業の場合、①のように純粋に労働力が欲しいというニーズ、②③④のように翻訳通訳業務に対応するためのニーズ、⑤⑥のように日本人・外国人問わずスペシャリストを採用したい場合の3パターンに分類できると思います。

食品製造業で注意が必要なのが、現場研修を経てから本配属をする場合や、そもそも本配属後も現場で働くために単純労働と専門職として働く境界線があいまいになるために、在留資格の選択や申請が難しくなることです。特に、目的を人手不足と専門職の採用難は混同しがちですが、”在留資格”によって活動内容が制限される外国人材の場合は、採用の”本当の目的”を抽出し、御社に本当に欲しい人材が外国人ならではの戦力なのか、単に人手不足の解消であるのかの見極めをはじめに行いましょう。

食品製造業で雇用可能な在留資格について

在留資格毎の特徴

ここまでで、外国籍の方が活動内容に合った在留資格を持っている必要があることを説明しました。とはいえ、29種類も在留資格が列挙されていてどのように判断すればよいか、なかなか分かりにくいと思います。
ここでは、食品製造業で就労可能な代表的な就労ビザについての説明と、その在留資格で就業可能な業務内容について触れたいと思います。

食品製造業施就労可能なビザ
  • 技術・人文知識・国際業務 :②③④翻訳通訳業務、⑤品質管理、⑥本部スタッフ
  • 特定活動(46号) :①工場のライン作業員+②④翻訳通訳業務、③翻訳通訳業務、⑤品質管理、⑥本部スタッフ
  • 特定技能 :①工場のライン作業員
  • 高度専門職1号(ロ):⑤品質管理、⑥本部スタッフ
     ※ただし、翻訳通訳業務をメイン業務とすることはできないため注意してください。
  • 身分系の就労制限のない在留資格(『永住者』『永住者の配偶者等』『日本人の配偶者等』『定住者』):①~⑥(どのような業種でも問題ありません)
    ※アルバイトの場合は『留学』や『家族滞在』ビザで『資格外活動許可』を取得していれば週28時間以内で就労可能です

食品製造業で雇用可能な就労ビザは『技術・人文知識・国際業務』・『特定活動(46号)』・『特定技能』・『高度専門職』になります。それぞれの在留資格と可能な業務の範囲のイメージは下記になります。

『高度専門職』『技術・人文知識・国際業務』は基本的は学術的素養を背景とする業務を行うことになります。これがマニュアルや訓練によって習得できる業務は該当しません。『特定技能(46号)』は『技術・人文知識・国際業務』に加えて単純労働や技能に該当する業務が可能です。『特定技能』は人手不足が著しい特定の業種で単純労働や技能に該当する業務を行うことができる在留資格で、宿泊業は指定されている分野になります

在留資格『技術・人文知識・国際業務』の場合、②③④翻訳通訳業務、⑤品質管理、⑥本部スタッフとして採用することが想定されます。研修期間として、工場や配送センターでの現場業務は一時的に行うことは認められます。また、本配属後も日本人が同様のタイムスケジュールで業務を行っている場合にも、付随業務として現場でライン作業を行うことはガイドラインでも発表されています(詳しくは後述します)。
また、製造業の場合、人事異動で理系・文系の職をまたぐことも想定されます。例えば、研究開発視点での新商品開発を行っていた人材が、マーケティング部への異動や、開発知識を活かした営業の従事も想定されます。この場合、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格ですべて内包しているため、問題なく従事できます。次回の在留期限の更新時には業務内容はその時従事している業務内容で申請すれば問題ありません。(もちろん、その業務内容が『技術・人文知識・国際業務』の範囲内であることが前提です)

在留資格『特定活動(46号)』は、『技術・人文知識・国際業務』の業務内容に加えて、本配属後においてもライン作業に従事することは可能です。ただし、イメージとして『技術・人文知識・国際業務』の業務も行いながらになるため、専ら日本人の指示通りに工場のライン作業のみを行うことは認められません。これによって、『技術・人文知識・国際業務』では認められなかった、例えば技能実習生やアルバイトへの教育・通訳をしながらのライン作業も下記のガイドラインの通り、認められることになります。

食品製造会社において,他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ,自らも商品製造ラインに入って作業を行うもの。
※ 単に商品製造ラインに入り,日本語による作業指示を受け,指示された作業にのみ従事することは認められません。

留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン

在留資格『特定技能』は、工場でのライン作業が可能です。最大で5年間の在留にはなりますが、『技術・人文知識・国際業務』とは異なり、国籍(その人の母国語や公用語)を気にしたり学歴要件が課されません。もし根本的に、現場での人員不足を解消したいのであれば、『特定技能』人材の雇用を検討されることをお勧めします。
また、食品製造業における『特定技能1号』は『技能実習2号』からの移行が認められており、本来実習が修了したら帰国をしなくてはならない場合でも在留資格を変更することで、引き続き就業することが可能です。

在留資格『高度専門職』の場合は、基本的には『技術・人文知識・国際業務』の業務内容を行う場合で、高度人材としてのポイント制の基準を満たしていれば取得が可能です。ただし、『高度専門職』は通訳翻訳を主たる業務とすることはできないため注意が必要です。そのため、品質管理やマーケティングや人事、営業等の専門職等の業務内容に従事することができます。
もちろん、『高度専門職』の在留資格を得るために業務内容を捏造することは禁止されています。翻訳通訳業務がメインとなる場合には『技術・人文知識・国際業務』もしくは『特定活動(46号)』で申請することを検討してください。

求人票の業務内容から在留資格を特定したら、どのような人材であれば要件を満たしているのかを確認します。それぞれの在留資格に該当する要件は以下の通りです。

どの在留資格も、『学歴要件』『技能試験合格の要件』『日本語能力の要件』のいずれかが課せられます。ここから在留資格的に要件を満たしている(=採用していい人材)かどうかを見極めます。

食品製造業ならではの在留資格のポイント

各在留資格毎の業務内容を見比べても、はっきり言ってどれも同じように感じた方もいらっしゃるかと思います。しかし、見極めのポイントを抑えないと在留資格の許可は得られないため注意が必要です。見極めのポイントについて解説していきます。

<strong>「技術・人文知識・国際業務」へのガイドライン ~許可/不許可のヒント~</strong>

学歴要件

食品製造業の業務においては「翻訳通訳業務」のシーンは多く見られます。翻訳通訳の場合、『技術・人文知識・国際業務』か『特定活動(46号)』で採用することになりますが、特に注意が必要なのが『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で専門学校卒業生を採用する場合です。
最終学歴が専門卒の場合は、3年の実務経験がない場合は翻訳通訳業務はできません。ただし、専門学校で『翻訳通訳』を専攻していた場合は採用が可能です。これは単に「コミュニケーション科目」の中で数単位日本語を修得していたのでは足りず、多くの時間を「通訳翻訳の技法」について学んでいることが前提です。

専門学校の場合は、特に勉強した内容と業務内容の関連性が求められるため丁寧に「採用理由書」で業務内容と勉強した内容の関連性の説明を行う必要があります。

特定活動(46号)の場合は、『技術・人文知識・国際業務』よりも幅広い業務に従事することができますが、一方で「日本の大学を卒業」し、「日本語能力検定1級を取得している」必要があります。

特定技能の場合は、学歴要件はありません。

こんな申請には注意して下さい

食品製造業においては、人ありきで在留資格を後から当てはめてもうまくいかない場合が多いです。必ず、採用目的に合わせた在留資格を選んでから人材の選考・内定出しを行ってください。

ガイドライン『「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について』において、実務研修については触れられていますが、結局のところ申請時に研修プランを提示し個別に審査をされることになります。ただし絶対に言えることとして、実務研修を伏せて申請するよりもきちんと研修プランを添付した申請のほうが、会社のためにも外国人材のためにもよいということです。

『技術・人文知識・国際業務』では、研修期間や付随業務として工場でのライン作業を行うことも可能ですが、これは無条件に認められるものではありません。下記のポイントを守らなければ、不法就労に該当して罰せられる可能性があります。本当によく注意してください。
その場しのぎで研修計画を作成しても、後に困るのは会社と外国人材です。

<strong>ジョブローテーションや研修で現業を行う場合の申請のポイント</strong>
  • 現場作業を行うことを、正直に申請書に記載する
    ⇒その際に、「どのくらいの期間」行うのかを明確に「キャリアアッププラン」等で示す。
     日本人も同様に行う計画であることをきちんと示す
  • どのくらいの期間認められるかは、業種や企業規模によって違う
    ⇒隣の企業で認められても、同じ計画を提出したところで認められない場合もある
  • 実態通りに申請をする
    ⇒実際のところよく考えたら「現場作業員」が欲しいのであれば、「総合職採用」をやめて「特定技能」の人員を採用することも検討しましょう。無理して申請をしたところで、採用側も配属先も本人もよいことはない

外国人社員の採用面接で確認すべきポイント

当然気にするべきことは在留資格だけではありません。ここでは外国籍を採用する際のワンポイント解説をします。

外国籍の採用の場合、確認すべき点は日本人よりも多くなります。
日本人の採用の場合、選考時に確認するポイントは大きく分けて「能力」「スキル」「経験」「社風適合性」「勤務条件」です。プラスして独自の選考基準が各社にあるかと思います。外国籍の場合、加えて特に気を付けるべきは「在留資格」「国籍」「日本語能力」です。
理由は前述した通りの「在留資格」取得のためのポイントでもありますが、採用のマッチングのポイントでもあります。

社風適合性

外国籍の方はやはりそれぞれに”国民性”ではくくれない個性があります。これ採用において無視できない要素です。
しかし、だからと言ってこれらを丸っきり無視するわけにはいきません。外国人と日本人の考え方で差異が出がちな部分として「日本や自社に対する印象・イメージ」、「キャリアビジョン」が挙げられます。新卒の場合は特に、「日本に何年ぐらいいるつもりなのか」といったことも聞かれるとよいです。
価値観の違いを放置するのは、お互いのためにもよくありません。「お国柄だから」と蔑ろにするのではなく、採用後に予定したチームへ配属したときに、馴染めるイメージを持てる人材を採用することが必要です。

日本語能力

日本語能力の注意すべき点として、「職務遂行」・「社内コミュニケーション」のフェーズに分けて必要なレベルを見極める必要があります。

まず「職務遂行」に関しては、その通りではありますが新入社員の配属先で必要な業務内容を遂行するレベルの日本語能力が備わっているかについてです。
日本語能力はしっかりと必要なレベルを把握する必要があります。日本語と言っても「読み」「書く」「話す」の全ての要素でどの程度必要なのかを予め実際に働く日本人の方含めてすり合わせをしておく必要があります。

次に「社内コミュニケーション」については、日本語能力の認識の違いによるコミュニケーション不足は離職理由の大きな理由のひとつにもなっています。

外国人材で離職してしまう大きな理由の一つで「コミュニケーションがうまく取れない」といったことが挙げられます。仕事を教えようにも言葉の壁でうまく教えられないといったことや、逆に外国人サイドから悩みを打ち明けようにも相談できる相手がいないといったこともあります。

ただし、あまりに高い日本語能力を求めると門戸を狭くしてしまいます。優先すべきなのが「技術や能力」・「人柄」なのか「日本語能力」なのか明確に基準を求めておきましょう。
必ず、チームメンバーや働くシーンを想定しながら日本語レベルを確認するようにしましょう。また、能力や人柄は申し分ないけれども、日本語能力だけが気になる場合、入社後のフォロー体制を事前に構築することで課題をクリアにすることもできます。

参考資料:日本語能力検定の級と読み書きレベルについて

国籍

業務のメインが翻訳通訳の場合は、やはり国籍は重要です。特に、技能実習生や外国人アルバイトへの通訳・指導が伴う業務内容の場合、同国籍のほうがよりスムーズに業務遂行がなされます。管理者ポジションの場合、時には「メンター」的な役割も多いと思います。その場合、悩みを母国語で打ち明けられる環境は従業員の定着率向上につながる場合もあります。
当たり前のことですが「英語話せればだれでもよい」から一歩踏み込んで検討してみてください。

内定後の手続き

外国籍の場合、内定後すぐに就職できるわけではないため注意が必要です。すでに就労可能な在留資格をもっていない場合は、在留資格の取得もしくは変更申請が必要です。この在留資格の手続きには、審査期間があることから数か月かかることがあります。

新卒の場合、内定を例えば卒業前の6月に出していたとしても、在留資格の変更申請は例年12月からしかできません。
※学校卒業前であっても、すでに学歴要件を満たしていて学校を中退する場合はいつでも申請可能です。

また、手続きは「内定後~入社前」と「入社後」に大きく分かれます。

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在留資格取得のための手続き ~在留資格の申請・入社後の手続き~

留学生の場合、在留資格の手続きは基本的に必要になります。また中途採用であっても、内定者が日本にいるか海外にいるかによって提出する申請内容が異なります。

  1. 内定者が海外にいる場合
  2. 国内の留学生の場合(新卒採用)
  3. 中途採用の場合

①の場合は、「在留資格認定書交付申請」を行います。就職先の会社の人が代理人となって申請をします。認定証明書が発行されたら母国にいる本人に郵送し、本人が査証に変えて入国することになります。
②の場合は、「留学」ビザから切り替えを行う場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。注意点としては、申請結果の許可が下りて在留カードの切替が完了してからでないと就労できません。審査期間も半年に及ぶ場合があります。間違っても見切りで入社することが無いようにしてください。また、『高度専門職1号』『特定活動(46号)』『特定技能』の場合は、就業先まで指定される在留資格であることから、転職した際には入社前には「在留資格変更許可申請」が必要になります。
③の場合で、既に持っている在留資格が『技術・人文知識・国際業務』の場合は在留資格の変更手続き等は不要ですが、食品製造業で現場研修がある場合は「就労資格証明書」を取得されることをお勧め致します。「就労資格証明書」があることで、堂々と現場で業務をさせることができ会社や外国人材を守ることができます。

※既に身分系の在留資格を持っている場合は特に「在留資格変更許可申請」などの手続きは不要です。

在留資格の申請時の注意点

在留資格の手続きを、絶対に本人や人材会社、行政書士に丸投げにしないでください。
2020年12月の法改正により申請書類の社判が不要になりました。会社の規模によっては在留資格の手続きに必要な書類がほとんど求められないこともあり、また社判押印が不要となたため、極端な話し、外国人留学生や人材会社、行政書士だけで採用担当者が関わることなく申請が可能となりました。
このため、会社で必要な書類を準備したとしても、提出前の確認をしなければ本人がどんな申請をしているか分かりません。

在留資格の手続きにおいて「知らなかった」は通用しません。許可を受けずに在留資格で認められた活動の範囲外を超えて行う就労は「不法就労」に値します。また、在留資格の許可を得るため嘘の内容を申請することは「虚偽申請」です。留学生は、在留資格を取得できなければ日本にいられません。また、日本にいる同じ国籍のネットワークでは様々な情報が錯そうしています。そうでなくても、日本語能力不足・思い込み・勘違い等で誤った内容の申請をする可能性は十分にあります。つまり、悪気もなく虚偽申請を行ってしまうこともあるということです。この場合に企業は「知らなかった」では通用しません。内容を確認してから提出させてください。
残念ながら人材紹介会社、行政書士の中には”許可を得るためだけのテクニック”を駆使して手段を選ばずに許可を得る人もいます。そしてたちが悪いことに悪意もなく「お客様のため」と勘違いをしている人がいるのも事実です。(当然、全員ではないです。)

必ず申請内容は申請前に確認をして下さい。そして実際と違うことが書いてある場合には、疑問に持ち訂正をするように指示しましょう。

<strong>『出入国管理及び難民認定法』の違反について</strong>

【虚偽申請に対する罪名】
不利益な事実を隠したり、嘘の内容の申請をすることは虚偽申請になります。
この場合「在留資格等不正取得罪(入管法70条1項)」「営利目的在留資格等不正取得助長罪(入管法第74条の6)」という刑罰が課され、3年以下の懲役・禁固若しくは3百万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

【在留資格の範囲外の業務に対する罪名】
不法に入国したり、在留期間を超えて不法に在留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人を行う就労のこと。また、正規の在留資格を持っている方でも、許可を受けないで在留資格で認められた活動の範囲を超えて行う就労についても不法就労に該当します。
この場合、「不法就労罪(入管法第73条の2)」「不法就労助長罪(入管法第73条の2)」という刑罰が課され、3年以下の懲役・禁固若しくは3百万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

不法就労についての詳細はこちら→警視庁『外国人の適正雇用について

入社後の手続き

入社後に必要な手続きは以下の3点です。

  1. 【企業】雇入れた翌月10日まで『雇用保険被保険者資格取得届』を提出
        ※雇用保険の被保険者でない場合:雇入れた日の属する月の翌月末日までに『外国人雇用状況届出書』を提出
  2. 【外国人】転職の場合は入社後14日以内に『所属機関に関する届け出』を提出
  3. 【企業/外国人】在留期限の3か月前から在留期限までの間に、『在留期間更新許可申請』を提出

上記のような在留管理以外は、原則日本人と同じになります。例えば、労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入し、所得税や住民税も課税されます。

まとめ

以上、食品製造業において外国籍の人材を社員として採用するためのポイントを解説しました。
食品製造業は、就労ビザでは「技術・人文知識・国際業務」「特定活動(46号)」「特定技能」「高度専門職1号(ロ)」が該当します。それぞれの在留資格の特徴を見極め、たうえで採用活動を行う必要があります。ポイントを抑えて正しく申請をすることで、研修期間や付随業務として現場での業務も可能です。虚偽申請は絶対にダメです。

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当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

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