【1号から変更】特定技能2号と技術・人文知識・国際業務のその違いは何?

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「特定技能1号」で経験を積んできたスタッフをキャリアアップさせたい、という企業様からのお声はたくさん聞きます。「特定技能1号」では最大5年間の在留しか認められておりませんので、優秀なスタッフを長く雇用したい場合には「特定技能2号」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格へ変更する必要があります。本記事が、次の在留資格を検討する際のお役にたてば幸いです。

「特定技能1号」では最大5年間しか日本にいられない

在留資格「特定技能1号」で働く外国人は、在留できる期間は通算して5年間という決まりがあります。
5年以上、「特定技能1号」外国人として在留することはできません。これは、「1社あたり5年」や「1分野あたり5年」という意味ではなく、転職をした場合なども含めて最長5年というルールになります。

「通算」とは、特定産業分野を問わず、在留資格「特定技能1号」で実際に本邦に在留した期間を言います。また、過去に在留資格「特定技能1号」で在留していた経歴を有する場合は、過去の在留期間も含みます。連続した期間に限らず、出入国を繰り返した場合でも、通算在留期間が5年に達するまでは、再度新規入国として在留することは可能です。

また、働き始めた日ではなく「在留カードを受け取った日」=「入国した日」・「通知が届いて入管で受け取った日」が起点になります。

また、その他に「通算期間」には下記の期間も含みます。

下記の期間は、通算在留期間に含まれます。

・失業中や育児休暇及び産前産後休暇等による休暇期間
・労災による休暇期間
・再入国許可による出国(みなし再入国期間による出入国を含む。)による出国期間
・「特定技能1号」を有する者が行った在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請中(転職を行うためのものに限る。)の特例期間
・平成31年4月の施行時の特例期間として「特定技能1号」への移行準備のために就労活動を認める「特定活動」で在留していた期間

特定技能運用要領

「特定技能1号」から在留資格を変更して就労を継続したい

在留資格にもよりますが、基本的には、変更後の在留資格に必要な要件を満たしていれば、在留資格を変更することができます(この手続きを「在留資格変更許可申請」と言います)。今回のケースでいうと、「特定技能1号」から「特定技能2号」や「技術・人文知識・国際業務」へは要件を満たしていれば変更できる可能性があるということになります。

“就労ビザ”の基本的な考え方

就労ビザの大事なポイントは「誰が」「どこで」「どんな業務内容をするか」の3点が揃っていなければなりません。そして、これらのポイントは「同じレベル」で審査結果に影響してくると言えます。つまり、当然ですがどれか一つの要素でも欠けると不許可となります。

これは『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を持つ人材が『特定技能』の業務は行えず、また逆も然りです。システム開発は『技術・人文知識・国際業務』で認められている業務内容ですが、これを『特定技能』の在留資格でつくことはできませんし、『技能・人文知識・国際業務』の在留資格で在留資格『技能』で認められる調理や、在留資格『特定技能』で認められる接客を行うことはできません。在留資格毎に決められた業務内容を要件を満たしている人材が、要件を満たしている就業場所で行うことになります。

変更候補:「特定技能2号」と「技術・人文知識・国際業務」の違いについて

「特定技能1号」・「特定技能2号」・「技術・人文知識・国際業務」の違いは以下の通りです。「特定技能2号」では、チームメンバーの指示・指導・管理を行いながら、自らも作業に従事することができるのが特徴になり、「技術・人文知識・国際業務」では、現場統括を行う管理職は該当範囲になりますが、自らも作業ができるかというと、作業については原則認められていないという違いがあります。

また、「特定技能2号」と「技術・人文知識・国際業務」の違いには、取得するために満たしていなければならない要件もあります。ざっくり言うと「技術・人文知識・国際業務」に必要なのは学歴(※)で、「特定技能2号」につ必要なのは実務経験と試験合格の要件です。
※「技術・人文知識・国際業務」の場合でも、10年以上の実務経験(職歴の要件)があれば認められる場合もあります。

在留資格の変更を検討する際に知ってほしいこと

「特定技能1号」の方が、「特定技能2号」か「技術・人文知識・国際業務」のどちらに変更すべきか、またどのように判断すればよいのか、といったご相談を当事務所ではたくさんいただきます。難しい話ですが、「学歴」があるから「技術・人文知識・国際業務」を選ぶ、ということでは選び方としては不十分で、あくまで複数ある要件をすべて満たしているかという点で検討しなければなりません。

「特定技能2号」に変更するということはどういうことか

「特定技能1号」から「特定技能2号」に変更するためには、「特定技能2号評価試験」(もしくは相当の試験)に合格し、各分野で決められた年数以上の実務経験が必要です。また、分野によっては日本語能力検定の合格が求められてる場合もあります。これらの要件を満たしたうえで行う業務としては、他の従業員やチームメンバーの指示・指導・管理をしながら自らも作業等に従事する場合が該当します。

例えば、外食業で働く特定技能1号外国人の方の場合では、「特定技能1号」で数年働くなかで、副店長やサブマネージャー等のリーダーポジションで2年以上の経験を積むことで実務要件を満たします。さらに、「日本語能力検定3級」と、「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格することで、「特定技能2号」へ変更することができます。この場合は、自らも「接客・調理・店舗管理」を行いつつ、チームメンバーへの指導・管理を行う業務に就くことが見込まれる場合には許可されます。

「技術・人文知識・国際業務」に変更するということはどういうことか

前述の通り、在留資格は「誰が」「どこで」「どんな業務内容をするか」が全てリンクしていなければ許可されません。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では「特定技能」の業務は基本的には行うことが出来ませんので注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」では、外国人の要件として「大卒もしくは日本の専門学校卒業者」といった学歴要件(※)があり、できる業務内容としては「学術的素養を背景とした業務」であり、この仕事には基本的には接客や調理などの業務は含みません。
※「技術・人文知識・国際業務」の場合でも、10年以上の実務経験(職歴の要件)があれば認められる場合もあります。

つまり、「特定技能1号」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合には、基本的には配属変更が大前提になります。

例えば、外食業で働く特定技能1号外国人の方の例を見てみましょう。
特定技能1号外国人として接客・調理・店舗運営を経験し、その能力が認められて数店舗を統括するSV(スーパーバイザー)に昇進する場合が想定されます。「技術・人文知識・国際業務」で外食業の現場で働く場合、数店舗を統括するポジションに昇進する場合など、管理職に登用される場合には変更申請として認められ得る範囲だと思います。

しかし、業務内容に変わりはなく、「学歴要件を満たしているから」といった理由だけで、「技術・人文知識・国際業務」に変更することができるかというと、これはできない可能性が高いと言えます。

このように、就労ビザは「誰が」「どこで」「どんな業務内容をするか」が重要になってきます。制度的に、「特定技能1号」から「技術・人文知識・国際業務」への変更は可能ですが、学歴要件を満たしているからと言っただけでは変更はできず、異動や転職に伴ってポジションが変わる場合には、「技術・人文知識・国際業務」に変更できるか検討できる、ということになります。

元技能実習生は要注意

技能実習生として入国し、在留資格「技能実習」から「特定技能1号」に変更した方の場合、「特定技能2号」に変更することはできますが、「技術・人文知識・国際業務」に変更できるかはケースバイケースになります。理由としては、技能実習生も目標は母国への技能移転になりますが、それをせずして他の在留資格へ変更することは基本的にはできないこととされています。
詳しくはお近くの入管にお問合せ下さい。

まとめ

以上、「特定技能1号」から「特定技能2号」や「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合の要件やできる業務内容について解説しました。
「特定技能2号」に変更する場合は、試験合格や実務経験などの要件があり、「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合には、学歴要件などがありますが、そもそも2つの在留資格で従事できる業務内容には大きな違いがあります。外国人にかかる要件のみで次の在留資格を決めることはできず、就労ビザで重要な要素になる「誰が」「どこで」「どんな業務内容をするか」の3つのポイントが揃って初めて在留資格の変更ができるということになります。

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