【就労ビザ】外国人の転職時・転職後の更新時の注意点は?

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外国籍人材が転職する場合、在留資格変更許可申請が必要な場合とそうでない場合があります。在留資格(ビザ)の申請が必要な場合もそうでない場合も、業務内容が認められた活動の範囲内であるかどうかの確認をする必要があります。外国人は、在留資格(ビザ)の手続きが無い場合でも、「 契約機関に関する届出手続 」をしなくてはなりません。

転職時に在留資格の手続きは必要?

転職時の在留資格の手続きが必要かどうかは、現在持っている就労ビザと転職後の仕事内容に関わってきます。まずは、在留資格とは何かと就労ビザについて基本的なことを確認しましょう。

そもそも在留資格とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2022年5月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格は下記の一覧表にもあるように、就労ビザだけでも19種類あります。活動内容が変わる場合は、在留資格の変更が必要になります。言い換えると以下に当てはまらない職業には日本では働けないということになります。(※身分系の在留資格があれば在留は可能です)

代表的な就労ビザとは

ここまでで、外国籍の方が活動内容に合った在留資格を持っている必要があることを説明しました。とはいえ、29種類も在留資格が列挙されていてどのように判断すればよいか、なかなか分かりにくいと思います。

就労ビザの大事なポイントは「誰が」「どこで」「どんな業務内容をするか」の3点が揃っていることになります。これは、ひとつの在留資格の要件を満たしている(在留カードを持っている)からと言って、どんな活動でもできるという意味ではありません。

ここでは、特に、混乱しがちな代表的な就労ビザについての説明と、その在留資格で就業可能な業務内容について触れたいと思います。

代表的な就労ビザの例
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 高度専門職
  • 特定活動(46号・本邦大学卒業者)
  • 特定技能

この他にも「技能」「介護」「興行」といった専門的な在留資格もありますが、ここでは特に似ていて判別の難しい在留資格について説明します。これらの在留資格は、一般的な「サラリーマン」に与えられる在留資格になります。これらの在留資格で可能な業務内容は以下になります。

これらの在留資格の場合、転職した場合に在留資格が変更が必要なケースとそうでないケースがあります。同じ就労ビザでも活動内容や外国人に係る要件をよく確認する必要があります。

転職時に「在留資格変更許可申請」が必要な2つのケース

転職時に「在留資格変更許可申請」が必要かどうかは、「活動内容が大きく変わるか」と「そもそも在留資格の特性」によって変わってきます。

転職前と転職後で活動内容が大きく変わることで在留資格がそもそも変更になる場合

活動内容が変わる場合でも、変更が必要な場合と不要の場合があります。在留資格で認められた活動の範囲内の業務内容の変更であれば手続きは不要ですが、在留資格の範囲外での変更の場合は手続きが必要になります。

在留資格の変更が必要の場合

在留資格変更許可申請が必要な例を一つ挙げます。


【転職前】インド料理店でコック
【転職後】ITエンジニア
コックは「技能」ビザ、ITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」ビザになります。このため、転職後は在留資格変更許可申請が必要になります。

上記はかなり極端な例ですが、活動内容が在留資格毎に定められた範囲を超える場合は「在留資格変更許可申請」が必要になります。

在留資格の変更が不要の場合

一方で、以下の場合は在留資格の変更は不要になります。


【転職前】通訳翻訳
【転職後】ITエンジニア
通訳翻訳は「技術・人文知識・国際業務」ビザ、ITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」ビザになります。同じ、「技術・人文知識・国際業務」で認められる活動範囲内の変更となるため転職後は在留資格変更許可申請は不要です。

上記のように、在留資格で定められた活動の範囲内での転職となる場合は変更許可申請は不要です。

ただし、在留資格の中には在留資格の特性上、同じ業務内容を行う場合でも転職の都度「在留資格変更許可申請」を行わなければならないものもあります。この判別の仕方は次の通りです。

在留資格の特性で転職の都度、「在留資格変更許可申請」をしなければならない場合

日本に3ヶ月以上滞在している外国人は、「在留カード」を持っています。既に持っている在留資格の特性上、転職の都度「在留資格変更許可申請」が必要かどうかは、「在留カード」と「指定書」を見ることで判別できることができます。

在留カードの表面の「就労制限の有無」の欄を見ます。ここには以下の2種類の記載がされます。

  • 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
  • 「指定書により指定された就労活動のみ可」

※身分系の在留資格の場合は「就労制限なし」の記載があり、この場合も変更申請の必要はありません。

指定書には、活動内容が書かれます。
『特定技能』の場合は、就職先・分野・業務内容が記載されます。
『高度専門職1号』や『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』の場合も、就職先(会社名・所在地)などが記載された記載されます。

在留資格別に解説

転職して新しい会社に入社した際に、在留資格の手続き(在留資格変更許可申請)が必要か否かは、「在留資格」によります。

在留資格別まとめ(代表的な就労ビザのみ)

在留資格名転職時の変更申請が必要かどうか
技術・人文知識・国際業務在留資格の範囲内の転職であれば不要
高度専門職1号転職の度に必要
特定活動(46号・ 本邦大学卒業者 ) 転職の度に必要
特定技能 転職の度に必要
技能 在留資格の範囲内の転職であれば不要
介護 在留資格の範囲内の転職であれば不要
【参考】身分系(永住者、日本人の配偶者等、
永住者の配偶者等、定住者)
不要

在留資格『高度専門職1号』・『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』・『特定技能』は、例え転職先で同じ業務を行う場合でも、在留資格の変更許可申請の許可後でなければ、就労することはできません。これは「指定書」において、就労先を指定されることになるからです。

在留資格別の解説

各在留資格別の転職時の注意点について説明します。

在留資格『技術・人文知識・国際業務』

在留資格『技術・人文知識・国際業務』の場合、転職後の活動内容が『技術・人文知識・国際業務』の範囲内であれば、在留資格変更許可申請をする必要はありません。次の在留期限更新許可申請時に、新しい就職先と活動内容で申請を行えば問題ありません。

※在留資格『技能」・『介護』の場合も同様の考えとなります。

在留資格『高度専門職1号』

在留資格『高度専門職1号』の場合は、転職時に必ず在留資格変更許可申請を行わなければなりません。転職前後で活動内容に変更がない場合にも手続きは必要です。
高度専門職ではポイント制によって年収が決まります。ポイントは、学歴、職歴、転職後の年収、日本語能力などから計算されます。
また、業務内容にも注意が必要になります。『技術・人文知識・国際業務』の「技術・人文知識」に該当する業務は高度専門職で認められますが、「国際業務」に該当する業務(翻訳通訳など)の場合は認められません。
さらに、高度専門職1号(ロ・技術分野)の場合で転職後に年収が300万円を下回ってしまう場合は、例えポイント制で必要な70点に達していた場合でも、『高度専門職1号』は許可されません。

もし、転職後に『高度専門職1号』の要件を満たさなくなった場合は、『技術・人文知識・国際業務』や『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』に該当するかどうかを確認し、そちらの在留資格で申請をすることになります。

在留資格『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』

在留資格『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』の場合も、転職時に必ず在留資格変更許可申請を行わなければなりません。『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』は、就業場所が指定書にて記載されているため、その企業でしか働けません。

『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』はメリットもデメリットも多いのが特徴です。転職後もこの在留資格のままでいるのか『技術・人文知識・国際業務』や『高度専門職1号』に変更するかは慎重に判断をしたほうがよいでしょう。

特定活動(46号・本邦大学卒業者)の特徴

・『技術・人文知識・国際業務』よりも幅広い業務内容での就労が可能
・新卒の場合、在留期間「1年」の決定が2回続く
・転職時にはその都度「在留資格変更許可申請」が必要
・派遣企業で派遣社員としての就業は不可

在留資格『特定技能』

在留資格『特定技能』についても、転職時には在留資格変更許可申請が必要です。特に、特定技能の場合は就業先だけでなく、どのような業務を行うのかまで書きます。
『特定技能』は最大5年間の在留しか許可されませんが、転職をして例えば『技術・人文知識・国際業務』の業務に就くことも可能です。もちろん、転職後の業務内容が『技術・人文知識・国際業務』で認められている活動の範囲内であることが前提です。

よく「『特定技能』として就職しましたが、在留資格を『技術・人文知識・国際業務』に変更することはできますか?」と聞かれますが、業務内容が変わらない限り変更することはできません。『特定技能』から他の在留資格への変更の可能性については以下の記事を参考にして下さい。

在留資格の変更が必要な場合の手続きについて

在留資格変更許可申請が必要なタイミングについて説明します。

いつ申請をするか?

在留資格と活動内容は常に紐づいていなければなりません。
そのため、転職前の活動をする限り、現在持っている在留資格である必要がありますし、転職後の活動を始める際には変更申請の手続きが完了している必要があります

このため、基本的には「退職」→「在留資格変更許可申請」→「許可」→「転職先へ入社」の流れとなります。

在留資格変更許可申請には審査期間があります。『高度専門職1号』で2週間~1か月、『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』で約1か月、『特定技能』で約1か月~1か月半かかります。変更後の在留資格が『技術・人文知識・国際業務』の場合は、2週間~6ヶ月かかる場合もあります。

基本的には「退職」してから変更申請をすることになりますが、転職のスケジュール次第では入管の指示を受けながら調整されるのがよいと思います。

申請をしなかったらどうなってしまうのか

申請をしないで今持っている在留資格のまま滞在し続ける場合、これは「不法就労」に該当します。

不法就労とは
「不法就労」とは以下のようなケースを指します。

  1. 不法滞在者や被退去強制者が働くケース
  2. 出入国在留管理局から働く許可を受けていないのに働くケース
  3. 出入国在留管理局から認めたられた範囲を超えて働くケース

在留資格変更許可申請を行わない場合に該当するのが「 3.出入国在留管理局から認めたられた範囲を超えて働くケース 」です。これは、例えば、語学指導のビザをとって料理人をするなど、在留資格で定められた範囲を超えて活動することを意味しています。指定書で勤務先や業務内容が指定される在留資格の場合は、これらを全て含めているため、転職後も在留資格変更許可申請をしない場合は、不法就労に該当してしまいます。

思っている以上に重大な違反となりかねないため、転職者を受け入れる場合であっても在留資格の確認をしっかりと行わなければなりません。

変更手続き不要な場合は何もしなくてもよい?

在留資格の変更が必要なケースについて解説をしましたが、そうでないケースについても解説をします。在留資格の変更許可申請をしない場合でも、転職時には注意と簡単な手続きが必要になります。

「就労資格証明書」で活動内容に問題ないかを確認することができる

在留資格『技術・人文知識・国際業務』の場合、転職時に在留資格変更許可申請を行う必要はありません。これはスムーズな転職ができるというメリットではありますが、逆に新しい活動内容については「審査」をされないために、実は“在留資格で認められた範囲外の活動を行っている”というリスクもあります。

転職後の活動内容について問題ないことを確認をするツールとしてあるものが、「就労資格証明書」です。「就労資格証明書」は、外国人が就労(業務内容)が違法でないかを証明する書類になります。就労系の在留資格を持っている場合でも、どんな業務内容でも就労が可能という訳ではないため、業務内容などに問題が無いかを確認したい場合などに申請をします。転職時などの、就労資格証明書の取得は義務ではありません。

これを予め取得し業務内容が問題ないことを確認できていれば、転職後初めての在留期間更新許可申請時には不安も少なく申請を行うことができます。
※在留期間更新許可申請は在留期限の3ヵ月前より申請できます。在留期限が近い場合は在留期間更新許可申請を行い、更新がまだまだ先の場合であっても、業務内容に変化があって内容に不安がある場合には「就労資格証明書」を取得することを推奨します。

転職後初めての在留期間更新許可申請の際には、業務内容についてしっかりと審査を受けることになります。「理由書」などを添付せずに申請した場合には、申請中に追加で説明を求められる場合もあります。
転職後初めての申請は特に慎重に行わなければならないため、注意をして下さい。

入管への届出は忘れずに

『技術・人文知識・国際業務』の方の場合は、転職した後14日以内に「契約機関に関する届出手続」を行わなければなりません。これはインターネット、窓口、郵送の方法で行うことができます。

▶詳細はこちら:出入国在留管理庁『所属機関等に関する届出手続

まとめ

以上、就労ビザを持つ外国人の転職時・転職後の更新時の注意点について説明を致しました。在留資格変更許可申請が必要かどうかは在留資格次第になります。就労ビザを1度許可された場合に、その後はどのような仕事をしてもよいというものではありません。在留資格変更許可申請が不要の場合でも、業務内容に自信がない場合は「就労資格証明書」を取得することで確認することもできます。活動してください。

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