【高度専門職で優遇が受けられる可能性あり】外国人IT人材の就労ビザについて

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外国人ITエンジニアが日本で働く場合に取得可能な在留資格(ビザ)は、『技術・人文知識・国際業務』のほかに『高度専門職』というものがあります。『高度専門職』は高度人材の中でも特に優秀な方が取得できる在留資格でポイント制によって評価・審査されるもになりますが、外国人ITエンジニアは『高度専門職』に該当する方が多いのが特徴です。本編では、どのような方が高度専門職に該当する可能性が高いのかも含め、在留資格『高度専門職』について解説をします。

外国人ITエンジニアが取得可能な在留資格について

外国人ITエンジニアは、活動制限のない身分系の在留資格を除いて、『技術・人文知識・国際業務』た『高度専門職』という在留資格で就労ができます。まずは、在留資格やそれぞれの在留資格の特徴について解説をします。

そもそも在留資格とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2022年1月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理しになった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、永住許可を得ることもできます。

在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

上記の中で、外国人ITエンジニアが取得できる可能性のある就労ビザは在留資格『技術・人文知識・国際業務』、『高度専門職』になります。

外国人ITエンジニアが取得可能な在留資格について

外国人ITエンジニアとして就労が可能な在留資格は以下の通りです。

ITエンジニアとして就労可能な在留資格
  • 高度専門職
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 身分系ビザ(永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者)

※特定活動(46号)でも実質的に就労可能ですが、特殊な事情がない限りはメリットがないためここでは挙げません。

それぞれの在留資格の特徴を確認してみましょう。

在留資格『技術・人文知識・国際業務』について

『技術・人文知識・国際業務』で認められる活動範囲は下記のように定められております。

本邦の講師の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、その他の人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務部又は外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動

もっとざっくりに説明をすると、『技術・人文知識・国際業務』はこのような在留資格になります。

会社等において 学校等で学んだこと/実務経験を活かした 知識や国際的な背景(言語や外国の感性等)を要する(「単純作業」、「訓練で習得する業務」、「マニュアルがあれば遂行可能務」等を除く)仕事をすることを目的とした在留資格(ビザ)

この在留資格『技術・人文知識・国際業務』では、ITエンジニアとして就労することは技術の分野に該当し問題なく就労することが可能です。在留資格『技術・人文知識・国際業務』を取得するための要件は下記の通りです。

在留資格『技術・人文知識・国際業務』の要件

下記の【いずれか】を満たす必要があります。

  • 学歴要件
    大学(短大含む。国内外問わず)、又は同等以上の教育を受けている、又は所定の要件を満たす専修学校(日本国内)の専門課程を修了している
    ※大学・専修学校において専攻した科目と日本において従事しようとする業務が関連していることが必要です。なお、大学における専攻科目との関連については緩やかに判断されます。
  • 職歴要件
    10年以上の実務経験(大学等で関連科目を専攻した期間を含む)
  • 日本の情報処理技術者試験及び相互認証を受けた試験
    ※詳細は下記のリンクへ
    ・『技術・人文知識・国際業務係る基準の特例を定める件』http://www.moj.go.jp/isa/laws/nyukan_hourei_h09.html
    ・『情報処理技術者試験の海外との相互認証について』https://www.ipa.go.jp/jinzai/asia/kaigai/001.html

在留資格『高度専門職』について

在留資格『高度専門職1号(ロ)』・『高度専門職2号』でも、ITエンジニアとして就労することができます。この在留資格は、日本に優秀な人材を招聘するために創設された在留資格で、ポイント制により審査されます。『高度専門職』で在留する外国人は、その他の就労系の在留資格と比較して優遇される内容が多くあります。例えば、永住許可の緩和や帯同する家族の就労などが挙げられます。

ITエンジニアが『高度専門職』を検討する場合、在留資格『技術・人文知識・国際業務』の要件を満たし、かつ、ポイント評価で70点以上を満たしているかを確認していきます。
※ポイント制については後述します。

身分系の在留資格について

ここで挙げる「身分系の在留資格」とは、「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」が該当します。これら4つの在留資格には、活動制限がないためどのような職業に就いても問題ありません。このため、ITエンジニアとして問題なく就労が可能です。

在留資格『高度専門職1号』とは

在留資格『高度専門職1号』について詳しく解説をします。ITエンジニアの場合は、『技術・人文知識・国際業務』の要件を満たしたうえで、ポイント制の評価の結果70点以上の場合、『高度専門職1号』を検討することが可能です。

在留資格『高度専門職1号』とは

『高度専門職』は、2012年5月より始まった在留資格で高度外国人材の受入れを促進するために、ポイント制を活用した優遇措置です。日本で積極的に受け入れるべき「高度外国人材」とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することができない良質な人材」と位置付けられています。こういった優秀な人材に日本で働いてもらうために、優遇措置が設けられています。これについては後述します。

高度専門職には1号・2号とあり、1号はさらにイ・ロ・ハと分かれます。

『高度専門職1号』について

高度専門職1号
  • 高度専門職1号(イ):本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動
    →主に「教授」「研究」又は「教育」の在留資格に相当する活動と重複する
  • 高度専門職1号(ロ):本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技実を要する業務に従事する活動
    →主に「技術・人文知識・国際業務(※国際業務は除く)」「企業内転勤」「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」「法律・会計」「医療」「研究」「教育」「介護」「興行」の在留資格に対応する活動を行う場合も重複し得る。
  • 高度専門職1号(ハ):本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
    →主に「経営・管理」に相当する活動

『高度専門職1号』は在留期間が5年が付与されることに加え、活動内容や家族の在留、家事使用人の雇用、永住申請に必要な居住年数などで優遇されます

高度人材ポイント制について

『高度専門職1号』は、ポイント制の評価項目から採点され70点以上と認められた場合に許可されます。
ポイント制は「学歴」「職歴」「年収」「年齢」と「ボーナス」部分から構成されています。「ボーナス」部分には「実績」「資格」「学歴」「政策」などの要素で構成されております。
(ロ)と(ハ)に該当する人共通のポイントとして、年収300万円以上でなければなりません。

在留資格の申請の際には、上記のポイント表を満たしていることを示す証拠書類を添付して申請することになります。

外国人ITエンジニアが高度専門職1号を取得する場合、在留資格『技術・人文知識・国際業務』の要件を満たしたうえで、ポイント制が70点以上となることが条件となります。

IT人材が高度専門職を取得できる場合のイメージを満たせば、どんな活動や業務内容でも認められるものではありません。
「技術・人文知識・国際業務の要件を満たす」+「ポイント評価で70点以上」ということになります。

高度人材の優遇措置について

『高度専門職』は積極的に日本に呼びたい人材であるため、他の在留資格と比較しても優遇されます。主な優遇ポイントは、付与される在留期間、永住許可申請の要件緩和、家族や家事使用人の在留資格についてなどがあります。

『高度専門職1号(ロ)』の優遇ポイント
  1. 複合的な在留活動の許容
    ⇒通常は許可された1つの在留資格で認められている活動しかできませんが、高度外国人材は例えば大学での研究活動と併せて関連する事業を経営する活動を行うなど複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができます。
  2. 在留期間「5年」の付与
    ⇒一律「5年」が付与され、更新も可能です
  3. 在留歴に係る永住要件の緩和
    ⇒70点以上の方:高度人材として引き続き3年以上の場合に永住許可の対象となる
    ⇒80点以上の方:高度人材として引き続き1年以上の場合に永住許可の対象となる
  4. 配偶者の就労
    ⇒在留資格「教育」、「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行う場合でも学歴職歴要件を満たさなくても取得可能
  5. 一定の条件の下での親の帯同許容
  6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同許容
  7. 入国・在留手続きの優先処理
    ⇒認定申請の場合は10日以内
    ⇒変更・更新の場合は5日以内

最も魅力的なのは、在留歴に係る永住要件の緩和ではないでしょうか。また、意外に着目すべきは入国・在留手続きの優先処理ではないでしょうか。『技術・人文知識・国際業務』の場合、審査機関は2週間から長い場合6ヶ月程度までかかることを考えると、標準審査期間が10日以内というのは魅力的です。

『高度専門職1号』の要件を満たす例

若手でも平均年収が比較的高い業種であるITエンジニアの場合、在留資格『高度専門職1号』に該当しやすい場合が多くみられます。入管が発表しているガイドラインから、許可事例・不許可事例を確認してみましょう。

許可になる例 ~こんな人材が高度専門職を狙える~

ITエンジニアの場合、在留資格『高度専門職1号(ロ)』に該当します。この場合で評価ポイントが70点に到達する例を挙げます。

▶引用:『外国人IT人材の在留資格と高度人材ポイント制について』p.3,4

・外国の大学で修士号(経営管理に関する専門職学位(MBA))を取得(25点)し、IT関連で7年の職歴(15点)がある30歳(10点)の者が、年収600万円(20点)で、経営支援ソフトの開発業務に従事する場合
・日本のトップ大学(10点+10点)を卒業して学士を取得(10点)し、日本語能力試験でN1を取得(15点)している23歳(15点)の者が、年収400万円(10点)でIT業務に従事する場合
・IT告示で定められている試験の二つに合格(10点)し、日本語能力試験でN2を取得(10点)し、IT関連で10年の職歴(20点)がある36歳(5点)の者が、年収700万円(25点)でITシステムの運用管理に従事している場合
・外国の大学を卒業して学士を取得(10点)し、IT関連で11年の職歴(20点)がある39歳(5点)の者が、年収900万円(35点)で情報処理技術部門のマネジメントに従事する場合

不許可になる例

ポイント制で70ポイントがある場合でも、不許可になることはあります。下記は、出入国在留管理庁が発表しているガイドラインに掲載されている、ITエンジニアに関する不許可の事例になります。下記は、在留資格『技術・人文知識・国際業務』の不許可の事例ですが、在留資格『高度専門職1号(ロ)』にも共通する不許可の事例になります。

大学の工学部を卒業後、コンピューター関連サービス企業で月額13万5千円の報酬を受けて、エンジニア業務に従事するとして申請。しかし、申請人と同時に採用、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明した。

⇒不許可のポイント:日本人と待遇面で差別してはならないことは「労働基準法」で定められています。
また、年収300万円以下の場合は『高度専門職1号(ロ)』は許可されません。

在留資格『高度専門職1号』の申請手続きについて

要件やポイントを確認されてみて、いかがだったでしょうか?『高度専門職1号』の要件を満たしている方で申請を検討されている場合は、手続き方法も確認してみてください。

申請の流れ

外国籍人材が日本にいる場合と海外にいる場合で考え方は異なりますが、基本的なルールとして「就業を開始する前」までに在留資格の「取得」が完了していなければなりません。申請から許可まで数か月に審査期間が及ぶ場合もありますが、「許可」を得て新しい在留カードを得るまでは活動はできません。

海外から入国する場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行い、留学や転職の場合には「在留資格変更許可申請」を行います。

※転職前に持っている在留資格が既に『高度専門職1号』であった場合でも、雇用契約を結ぶ企業が変更になる場合には在留資格変更許可申請が必要になります。

必要書類・申請書類について

在留資格の申請では、申請書とそれに添付する必要書類を集めることが基本となります。高度専門職の場合は、ご自身のポイントの取り方によって必要になる書類が変わってきます。

必要書類について

在留資格『高度専門職1号ロ』必要書類
・在留資格変更許可申請書/在留資格認定証明書交付申請
・証明写真(4cm×3cm)
・パスポート
・在留カード(変更申請の場合)
・ポイント計算表
ポイント計算表の各項目に関する疎明資料
→例えば、学歴を証明する卒業証明書及び学位取得の証明書、年収を証する文書、日本語能力検定の合格証、今までの職歴・経歴を示す文書 等
・労働条件通知書
・住民税の課税証明書、納税証明書(転職の場合)
・カテゴリーを証明する書類
 →前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計票等
・履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
・直近年度の決算文書の写し

※必要書類については、在留状況や就職先の状況によっても変わります。

▶参考:出入国在留管理庁『手続きの流れは必要な申請書類は?

申請書類について

申請書類はこちら(認定申請変更申請)からダウンロードできます。
また、ポイント計算表についてもこちらからダウンロードできます。

申請について

在留資格の申請はどこで誰が行うものなのかを説明します。基本的には、本人もしくは依頼を受けた取次行政書士・弁護士や代理人が、最寄りの出入国在留管理局にて行います。

どこで申請するのか

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。

【原則】申請先の決まり
【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰が申請をするのか

基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことができます。
この場合、代理人は申請書に名前を記載する代表取締役などに限らず、受け入れる機関の「職員」であれば問題ありません。また、グループ会社の人事関連業務を行う会社の職員も含みます。

一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。
「取次者」の例として、雇用されている・所属している機関の職員、行政書士、弁護士、 登録支援機関の職員がなることができますが、一定の研修を受けて登録された人のみになります。

【取次の人が申請する場合~ルールが変わりました~】

今までは、原則「申請人の居住地を管轄する住所を管轄する入管」でしか申請は認められていませんでした。
しかし、ルールが変更となり申請人(外国人)が受け入れられている又は受け入れられようとしている機関の所在地を管轄又は分担する出入国在留管理官署においても認められるようになりました。

例えば、福岡に住む留学生が東京の会社に内定をもらった場合、以前は、福岡入管(もしくは管轄する出張所)のみでしか申請できませんでしたが、今後は内定先のある東京出入国在留管理局での申請も認められます。

※このルールは取次者証明書が交付された人(公益法人の職員や弁護士や行政書士等)についても認められます。

まとめ

以上、外国人ITエンジニアが高度専門職を取得できる場合についてとその申請手続きについて解説しました。
外国人ITエンジニアは、活動制限のない身分系の在留資格に加えて『技術・人文知識・国際業務』や『高度専門職』で就労することができます。その中でも『高度専門職』は永住許可の際の居住歴の緩和や家族帯同についての優遇措置がある魅力的な在留資格です。高い要件が求められる在留資格ですがITエンジニアは比較的満たしやすい傾向があります。是非、検討をされてみてください。

【行政書士からのアドバイス】
在留資格の手続きは、申請時と結果受取時の2回入管に行く必要があります(国内在留者の場合)。当事務所では、ビザ申請のサポートを行っております。お忙しい方は是非ご活用ください。

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