勉強内容の関連性はどこまで問われる!?~在留資格『技術・人文知識・国際業務』について~

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在留資格『技術・人文知識・国際業務』では業務内容と学校で学んできたことの関連性が求められます。では、どの程度関連性が必要なのかというと、学歴によっても審査の具合は変わってきます。本編では、『技術・人文知識・国際業務』の業務内容と学校等での専攻内容との関連性について解説していきます。

在留資格『技術・人文知識・国際業務』とは

『技術・人文知識・国際業務』という少し長い在留資格名ですが、もともとは『技術』と『人文知識・国際業務』と分かれていました。日本の企業では部門をまたぐ配置転換も多々想定されることもあり、今では『技術・人文知識・国際業務』とひとつの在留資格になっています。(例えば、研究者→マーケティング部への異動や、エンジニア→セールスエンジニア(法人営業)などの異動です。)

『技術・人文知識・国際業務』の在留期間は5年、3年、1年、3か月で、更新が認められれば継続して日本に在留することができます。

また、要件を満たせば家族の帯同も認められる在留資格です。

そもそも在留資格とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年6月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

在留資格『技術・人文知識・国際業務』は、29種類の在留資格のうちの1つです。以下のように、在留資格は「活動に係るもの(就労が認められるものとそうでないものがあります)」、「身分や地位に基づくもの」に大別できます。『技術・人文知識・国際業務』は就労が認められる活動内容に係る在留資格になります。そして、これらの在留資格はどれでも自由に選ぶことはできず、要件を満たしていなければ申請することはできません。
特に活動にかかる在留資格の場合、この要件は「誰が」「どこで」「どのような活動をするのか」の3つの要素に分解されます。

「誰が」:どのような人が申請できるのか

『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を申請できる人は、以下の人になります。

<「技術」・「人文知識」の業務を行う場合>
  • 従事しようとする業務について次のいずれかに該当し、必要な知識を修得していること
    • 当該知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
    • 当該知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該終了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと
    • 10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
<「国際業務」の業務を行う場合>
  • 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は、感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれかに該当していること
    • 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。
    • 翻訳、通訳又は語学の指導にかかる業務に従事する場合は、大学を卒業しているもの

翻訳通訳業務の場合は、3年の実務経験もしくは大学卒業者になります通訳技法を専攻していない専門卒による未経験の翻訳通訳業務は原則NGです。

上記を見ていただければ分かるように、申請できる人は「大学を卒業している」・「日本の専門学校を卒業している」・「10年の実務経験がある」方になります。翻訳通訳業務の場合は、その実務経験が「3年以上」もしくは「大学卒業」以上になります。
そして、勉強したことと業務内容がリンクしている必要があります。大卒以上の場合は比較的緩やかに見られますが、専門学校卒業の場合は厳しく関連性を審査されることになります。そして、専門卒の方を「うっかり」翻訳通訳業務で申請することはよくあることなので注意が必要です。
この勉強したことと業務内容がどこまで厳密に審査されるかについては詳しく後述します。

「どこで」:どのような場所で働くのか

『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では、働ける場所を「本邦の公私の機関」と示しています。さらに、この「本邦の公私の機関」と「契約」を結んでいる必要があります。
「本邦の公私の機関」には、一般の法人のほか、国、地方公共団体、独立行政法人、会社公益法人、任意の団体も含まれます。また、日本に事務所、事業所等を有する外国の国、地方公共団体(地方政府を含む)、外国の法人等も含まれます(出所:新日本法規『入管法の実務』山脇康嗣)
また、個人事業主に雇われることも含みます。

「契約」には、雇用契約のほか、業務委託、委任、属託等が含まれます。複数の機関との契約でもよいですが、いずれの場合も「継続的な契約」であることが必要です。つまり、複数社と契約をするフリーランスであっても、契約内容が継続的なものであれば許可され得るということです。また、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先で勤務することも可能です。

『技術・人文知識・国際業務』は、企業との継続的安定的な契約に基づき労働することが前提のため、雇用する企業は必要なライセンスを取得して合法的に営んでいる必要があり、またビジネスが安定していることが求められます。業績が不振の場合、申請時に審査の過程で業績が改善する見込みを問われることもあります。

「何をするのか」:どのような業務ができるのか

『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で最も判断が難しいのはこの部分になります。この在留資格で可能な活動は『学術的素養を背景にした、一定水準以上の専門的知識を要する活動』とされていますが、非常に抽象的な表現をしています。
分かりやすく表現すると「単純作業」であったり、「マニュアルを読み訓練をすれば習得できる業務」はできません。例えば、工場で生産ラインに入って行うような単純作業、飲食店での配膳・接客・調理の業務、伝票整理などの事務作業や農作業はできません。また、一見すると高度な業務内容に見えるものでも技能的な業務(訓練によって習得できる業務)で、例えば自動車整備(自動車整備士3級レベル)や、フライス盤の操作による金属加工、精密機器の保守メンテナンスも該当しない場合があります。(※ただし、業務の本質によっては一概に技能とみなされるわけではありません)

できる業務としては、以下のようなものが代表的な例になります。

<技術>
  • システムエンジニア
  • 航空宇宙工学等の技術・知識を必要とする航空機の整備
  • 精密機械器具や土木・建設機械等の設計・開発
  • 生産管理
  • CADオペレーター
  • 研究者
<人文知識>
  • 法人営業
  • マーケティング
  • 企画・広報
  • 経理や金融、会計などの紺たる譚と業務
  • 組織のマネージャー
これはボックスのタイトルです。
  • 翻訳通訳
  • 語学の指導
  • 海外取引業務
  • 海外の感性を活かしたデザイン
  • 商品開発

ただし、上記の業務を修得する場合に研修期間に現場で労働を行うことは十分に想定されます。その場合は、法務省においてもガイドライン「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で許容される実務研修について」として、同期となる日本人も同様にキャリアステップの一環として研修に入る場合は、一時的な実務研修を行うことを認めると発表しています。
当然ですが期間限定である必要があるということと、(実務上)どの程度まで研修期間として認められるかは、業種・企業規模によってまちまちですので一概には言えません。実際に1年を超える実務研修の内容で申請した場合でも許可は出ていますが、長期にわたる研修期間の場合、立証が不十分な場合は不許可になりやすいのも事実ですので、企業として対応をが必要な場合は申請前に専門家に相談されることをお勧めいたします。

そして、最も大事なこととしてはこれらの業務内容を『日本人と同等の報酬で行うこと』です。これは労働基準法に定められています。

勉強内容や実務経験の関係性は?

留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン
ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について

学校での勉強内容について

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、従事しようとする業務内容と大学等または専修学校において専攻した科目とが関連している必要があります。ただし、専攻科目と従事しようとする業務内容が一致していることまでは必要ではなく、関連していればよいとされています。

大学(短大・院)の場合

大学(短大・院)卒業の場合、勉強内容と業務内容については比較的緩やかに審査をされます。出入国在留管理庁の「入国・在留審査要領」に記載がされていますが、「大学を卒業した者については、大学が学術の中心として広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、またその目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与されていることを踏まえると(学校教育法第83条第1項、第2項)、大学における専攻科目と従事しようとする業務の関係性については、比較的緩やかに判断されることとなる。」と記載されています。
また、翻訳通訳業務がメインの場合は大学(短大・院)卒業の場合はそれ自体で要件を満たすことになるため、理系・文系関係ありません。

ただし、全く気にする必要がないわけでもないため注意が必要です。緩やかとは言え、個別審査の上、関連性が求められます。

専門学校の場合

専門学校卒業の場合は、厳密に確認がされます。
専門学校で学んだ科目で業務内容のうち関連する科目数が1,2科目では「専攻科目と従事しようとする業務内容が関連している」とはみなしてもらえません。具体的な割合までは公表されていませんがそれなりの割合の科目が関連している必要があります。

専門学校で翻訳通訳技法を中心に学んだ場合は、専門学校卒業であっても翻訳通訳業務に従事することができます。しかし、例えば国際ビジネス専門学科で学んだ科目に「日本語」とあってもその内容が日本語の会話、読解、聴解、漢字等、日本語の基礎能力を向上させるレベルにとどまるものである場合は、通訳翻訳業務に必要な日本語を専攻した者と言えないため注意が必要です。

母国の大学を卒業後、日本で専門学校を卒業した場合は、「大卒」とみなされるため専門学校で学んだ内容と業務内容の関連性についてはそこまで重要視されません。同様に翻訳通訳業務でも問題はありません。

以下はガイドラインから抜粋した「専攻科目と業務内容に関連性が認められずに不許可になった例」になります。ここからも、「文系」「理系」の枠だけでは足りず、かなり厳密に審査されることが分かります。

国際ビジネス学科において、英語科目を中心に,パソコン演習,簿記,通関業務,貿易実務,国際物流,経営基礎等を履修した者が,不動産業(アパート賃貸等)を営む企業において,営業部に配属され,販売営業業務に従事するとして申請があったが,専攻した中心科目は英語であり,不動産及び販売営業の知識に係る履修はごくわずかであり,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

国際コミュニケーション学科において,接遇,外国語学習,異文化コミュニケーション,観光サービス論等を履修した者が,飲食店を運営する企業において,店舗管理,商品開発,店舗開発,販促企画,フランチャイズ開発等を行うとして申請があったが,当該業務は経営理論,マーケティング等の知識を要するものであるとして,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

国際コミュニケーション学科において,接遇,外国語学習,異文化コミュニケーション,観光サービス論等を履修した者が,飲食店を運営する企業において,店舗管理,商品開発,店舗開発,販促企画,フランチャイズ開発等を行うとして申請があったが,当該業務は経営理論,マーケティング等の知識を要するものであるとして,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン

専門学校の卒業生の申請の場合は、卒業証明書や成績証明書の提出だけでは足りず、業務内容との関連を証明するためにシラバス等の一歩踏み込んだ書類の提出したほうがよい場合もあります。

実務経験について

大卒でない場合の【翻訳通訳業務】(3年)と、大卒・日本の専門学校卒業でない場合の【該当業務】(10年)の要件証明の際の「実務経験」は、単なる社会人経験ではなく、当該業務を実務で行った場合の経験年数になります。
実務経験に関しては、母国の会社に入管の審査官より架電調査がはいり在籍確認や業務内容の確認が行われる場合もありますので母国であっても手を抜くことはできません。また、1か月でも年数を満たしていない場合に「おまけ」はなく、必ず不許可になります。

10年の実務経験には、大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該知識に関連する科目を専攻した期間が含まれます。

まとめ

以上、在留資格『技術・人文知識・国際業務』における業務内容と学校で学んだことの関連性についてご説明致しました。
大学の場合は比較的緩やかに審査されますが、専門学校の場合は厳密に審査されます。また、この場合数科目のだけが業務内容に関連していたのではよいものではなく、それなりの割合の科目との関連性が審査されます。
また、実務経験についてもこれから従事する内容と今までの経験がリンクしている必要があります。こちらも場合によっては母国の会社にまで架電調査が及ぶ場合があり厳密に審査されます。

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