【質問⑥】初めて外国人を社員として雇用しました。既にビザは持っているようですが、何か気を付けることはありますか?

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初めて外国人を社員として雇用しました。既に在留資格(ビザ)を持っているようですが、何か手続きややっておいたことがよいことはありますか?
すでに在留資格(ビザ)を持っていたとしても、新しい転職先で働いても問題無いかを確認する必要があります。また、最低限、在留資格と在留期間はリストを作って管理するようにして下さい。

上記の質問について詳しく解説します。

【これだけはやってほしい】外国籍従業員の在留資格の管理の基礎

外国籍の方を雇用する場合、必ず「在留カード」を目視確認し、従事予定の業務内容が在留資格で認められている範囲内の業務内容であるか確認を行います。また、在留期間が切れていないかも確認をします。そして、必ず記録や控えを取って社内管理することをお勧めします。

①在留カードの確認

在留カードは、基本的に3か月を超えて日本に滞在することが許された外国人に対して、法務省出入国在留管理庁により発行されされるものになります。在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍、地域、住居地、在留資格、在留期間といった基本情報が記載されています。

「3月」未満の在留期間が交付された人や「短期滞在」の在留資格が交付された人、そもそも在留資格を有していない人も交付されません。
また、特別永住者の方には「特別永住者証明書」が交付されます。

在留カードは、16歳未満の子どもや特別永住者を除き携帯義務があり、大前提、在留カードを所持していない人を働かすわけにはいきません。

在留カードの主な記載内容

在留カードを見て、必ず確認するべきポイントは①本人であるかどうか②在留期限③在留資格・就労制限の有無になります。

1.本人であるかどうか

16歳以上の方の在留カードには「顔写真」があります。
まずはその在留カードの持ち主であるかを確認しましょう。在留カードを貸し借りして「不法就労」をすることは起こり得ますし、実際にそれが原因で雇い主が「不法就労助長罪」に問われるケースも発生しています。

2.在留期限

在留期限は1日でも超えてはいけません。また、永住者の場合でも在留カードには有効期限があります。必ず確認するようにしましょう。もし在留期限当日に、在留期限に気がついたらとにかく手ぶらでも入管に行って相談・申請をしなくてはなりません。

在留期限の更新は、在留期限当日までに行います(実際は前もって申請するようにしましょう)。
申請日から翌日以降どうなるのかというと2か月間の「特例期間」に入ります。特例期間中は、引き続き申請前の在留資格の活動を行うことができます。

在留資格の申請を行ったかどうかは、在留カードの裏面を見ればわかります。右下に「在留資格変更許可申請中」や「在留期間更新許可申請中」の記載があれば、表面の在留期限が到来していても、特例期間に入っているためオーバーステイではありません。

3.在留資格

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2023年3月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。そのなかでも、就労が可能な在留資格は複数あり、それぞれに従事可能な業務内容の範囲が決まっています。就労ビザをお持ちの方の場合には、従事させたい業務内容が持っている在留資格の活動可能な範囲内であるかどうかの確認をすることになります。

ここで挙げる「身分系の在留資格」とは、「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」が該当します。これら4つの在留資格には、活動制限がないためどのような職業に就いても問題ありません。

②在留資格的に就労しても問題無いかの確認

表面の就労制限の有無は必ず確認します。
「就労制限の有無」の項目には、下記のような文言の記載があります。

  1. 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
  2. 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
  3. 「指定書により指定された就労活動のみ可」
  4. 「就労制限なし」
  5. 「就労不可」

1-3の場合は、「在留資格」で定められた範囲内で報酬を得る活動が可能です。また、4の場合は就労制限は無いため仕事は自由にできます。

③社内で在留資格・期間を管理する仕組みづくり

在留カードを確認し、就労させて問題無いことが確認できれば、日本人と同様に社会保険・労働保険などの手続きを行って雇用をすることになります。
雇用している以上、在留期間などの管理は会社と本人が一緒になって行うべきものになります。何故ならば、本人の確認ミスで在留期間を満了してしまい、オーバーステイの状態になってしまった場合、その状態で就労することは本人は不法就労となり、雇用者は不法就労助長罪に該当します。これは、「知らなかった」では済まされませんので、会社も従業員の在留資格や期間の管理をすることが理想的です。

方法としては、まずは(複数人いる場合には)リスト化し、併せて最新の在留カードの写しデータを保管する程度で問題無いと思います。人数が多くなったり、在留資格が増えれば専門家の意見を伺いながら管理されて下さい。

在留資格の「変更」手続きが必要な場合

雇用時にに「在留資格変更許可申請」が必要かどうかは、「活動内容が大きく変わるか」と「そもそも在留資格の特性」によって変わってきます。

転職前と転職後で活動内容が大きく変わることで在留資格がそもそも変更になる場合

活動内容が変わる場合でも、変更が必要な場合と不要の場合があります。在留資格で認められた活動の範囲内の業務内容の変更であれば手続きは不要ですが、在留資格の範囲外での変更の場合は手続きが必要になります。

在留資格の変更が必要の場合

在留資格変更許可申請が必要な例を一つ挙げます。


【転職前】インド料理店でコック
【転職後】ITエンジニア
コックは「技能」ビザ、ITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」ビザになります。このため、転職後は在留資格変更許可申請が必要になります。

上記はかなり極端な例ですが、活動内容が在留資格毎に定められた範囲を超える場合は「在留資格変更許可申請」が必要になります。

また、就労が認められていない在留資格(「留学」など)の方を雇用する場合にも、在留資格変更許可申請は必要です。

在留資格の変更が不要の場合

一方で、以下の場合は在留資格の変更は不要になります。


【転職前】通訳翻訳
【転職後】ITエンジニア
通訳翻訳は「技術・人文知識・国際業務」ビザ、ITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」ビザになります。同じ、「技術・人文知識・国際業務」で認められる活動範囲内の変更となるため転職後は在留資格変更許可申請は不要です。

上記のように、在留資格で定められた活動の範囲内での転職となる場合は変更許可申請は不要です。

ただし、在留資格の中には在留資格の特性上、同じ業務内容を行う場合でも転職の都度「在留資格変更許可申請」を行わなければならないものもあります。この判別の仕方は次の通りです。

在留資格の特性で転職の都度、「在留資格変更許可申請」をしなければならない場合

日本に3ヶ月以上滞在している外国人は、「在留カード」を持っています。既に持っている在留資格の特性上、転職の都度「在留資格変更許可申請」が必要かどうかは、「在留カード」と「指定書」を見ることで判別できることができます。

在留カードの表面の「就労制限の有無」の欄を見ます。ここには以下の2種類の記載がされます。

  • 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
  • 「指定書により指定された就労活動のみ可」

※身分系の在留資格の場合は「就労制限なし」の記載があり、この場合も変更申請の必要はありません。

指定書には、活動内容が書かれます。
『特定技能』の場合は、就職先・分野・業務内容が記載されます。
『高度専門職1号』や『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』の場合も、就職先(会社名・所在地)などが記載された記載されます。

在留資格変更許可申請が必要になる在留資格別まとめ(代表的な就労ビザのみ)

在留資格名転職時の変更申請が必要かどうか
留学(資格外活動許可の範囲内で就労可)フルタイム雇用する場合は必要
家族滞在資格外活動許可の範囲内で就労可)フルタイム雇用する場合は必要
技術・人文知識・国際業務在留資格の範囲内の転職であれば不要
高度専門職1号転職の度に必要
特定活動(46号・ 本邦大学卒業者 ) 転職の度に必要
特定技能 転職の度に必要
技能 在留資格の範囲内の転職であれば不要
介護 在留資格の範囲内の転職であれば不要
【参考】身分系(永住者、日本人の配偶者等、
永住者の配偶者等、定住者)
不要

在留資格『高度専門職1号』・『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』・『特定技能』は、例え転職先で同じ業務を行う場合でも、在留資格の変更許可申請の許可後でなければ、就労することはできません。これは「指定書」において、就労先を指定されることになるからです。

業務内容に不安がある場合 ~就労資格証明書交付申請~

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている人を雇用したいけれども、従事させたい業務内容が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内で認められるものなのか分からない、という場合はあると思います。

「就労資格証明書」は、外国人が就労(業務内容)が問題の無い活動なようであるかを確認・証明する書類になります。就労系の在留資格を持っている場合でも、どんな業務内容でも就労が可能という訳ではないため、業務内容などに問題が無いかを確認したい場合などに申請をします。

「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」の申請時には、必ず業務内容について審査をされます。そして、業務内容を含めて問題が無い事が判断された場合に【許可】を得られます。特に、『技術・人文知識・国際業務』の場合は、転職時の度に「在留資格変更許可申請」を行う必要がないため、場合によっては長期間「現在の仕事内容が在留資格の範囲内であるかどうか」が分からないまま働くことになります。
この様な場合に、不安を解消する方法として「就労資格証明書」を申請することで、従事予定の業務が在留資格の範囲内であるかどうか確認することができます。」「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」の申請時には、必ず業務内容について審査をされます。そして、業務内容を含めて問題が無い事が判断された場合に【許可】を得られます。特に、『技術・人文知識・国際業務』の場合は、転職時の度に「在留資格変更許可申請」を行う必要がないため、場合によっては長期間「現在の仕事内容が在留資格の範囲内であるかどうか」が分からないまま働くことになります。この様な場合に、不安を解消する方法として「就労資格証明書」を申請することで、従事予定の業務が在留資格の範囲内であるかどうか確認することができます。

このように、転職活動後の仕事内容が問題ないかを証明受けるのが「就労資格証明書」となります。

まとめ

外国人を雇用する場合には、まずは在留カードを確認し、在留資格や在留期限に問題が無いかを確認します。
業務内容と在留資格の関係性については分からない場合は、まずはご自身で調べ、また入管などに問合せされるのがよいです。それでも分からない場合には、就労資格証明書を交付してもらうことで、問題の無い業務内容であるかを確認することも可能です。
また、従業員の在留資格の管理と言っても、基本は「在留資格」と「在留期間」を会社で把握する仕組みを作ることです。

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