【質問②】雇用している外国人のビザの更新が遅れました。申請中に在留期限を迎えますが、大丈夫でしょうか。

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雇用している外国人従業員がいます。先日、在留期間の更新手続きを行いましたが、ぎりぎりに申請してしまったため、結果が出る前に在留期間が来てしまいます。在留期間が満了してしまった場合、不法滞在になってしまうのでしょうか?
在留期間の満了日までに、「在留期間更新許可申請」や「在留資格変更許可申請」の申請が行われている場合は、在留期間満了後は、自動的に「特例期間」に入りますので、問題無く在留を継続することができます。この際に、何か手続き等は必要ありません。

上記の質問について詳しく解説します。

在留期限到来後の在留について

在留期間内に申請をしていれば、審査期間中に在留期限が来てしまっても、問題無く在留を継続することができます。この場合「特例期間」に自動的に入ります。この特例期間は、在留期間満了する日から2か月が経過する日もしくは、在留申請の結果が出る日までのどちらか早い日まで続きます。

特例期間とは

在留資格に関する申請は、在留期限到来日までに行えば問題ありません。その後、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の審査期間に在留期限が来た場合、在留期間満了の日から2か月が経過する日の終了日まで、もしくは在留申請の結果が出る日までは適法に滞在することができます。この期間を「特例期間」と言います。

在留カードを所持している方が,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において,当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは,当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は,引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます。

出入国在留管理庁『特例期間とは?

申請した場合には、在留カードの裏面に在留資格に関する申請の最中であることが分かるようになっています。オンライン申請の場合は、スタンプは押されませんが、申請後に届く申請番号が書かれたメールを一緒に携帯していれば問題ありません。

Q4-38 オンラインで申請を行った後に在留期間が経過したのですが、申請中(特例期間中)であることはどのように証明すればいいですか。

A4-38 オンライン申請を行った場合は、在留カードに加えて受付完了メールを携行してください。
 なお、金融機関における口座開設の手続に必要である等の理由により、在留カード裏面への在留申請中の押印及び申請受付票の交付を希望する場合は、オンライン申請を受理した地方出入国在留管理官署へご相談ください。

出入国在留管理庁『オンラインでの申請手続に関するQ&A

ちなみに、在留審査の結果は原則、特例期間内に出ます。もし万が一、在留期間満了までに結果が出ない場合は、ご自身でで入管の窓口に問合せましょう。

特例期間中の就労が可能な場合とそうでない場合

特例期間中は在留は問題無く継続できます。就労については注意が必要になり、就労を継続してよい場合とそうでない場合があります。

就労をして問題がない場合

例えば、既に就労ビザ(例えば在留資格『技術・人文知識・国際業務』)で就労を行っていて、在留期間の更新を行って継続して同じ会社で就労する場合などは、特例期間中も就労が可能です。
雇用している外国人従業員の通常の期間更新であれば、基本的には在留も就労も問題が無いと言うことになります。

就労をすると問題がある場合

一方で、在留は問題が無くても、就労は問題になる場合もあります。よく質問をいただく内容を挙げます。

  • 留学生アルバイトを卒業後に社員として雇用する場合に、在留資格変更許可申請を行っている場合
  • 特定技能で他の同分野(同業)で就労していた人を雇用する場合に、在留資格変更許可申請を行っている場合(特定技能の同じ業種間の転職)※異分野でも同様に就労不可
  • 高度専門職1号で就労していた人を雇用する場合に、在留資格変更許可申請を行っている場合(高度専門職の転職)
  • 技能実習生が実習修了後に特定技能に移行する場合に、同じ会社で引き続き雇用する/転職に関わらず在留資格変更許可申請をする場合(技能実習から特定技能への移行)

基本的には、同じ会社で在留資格を変更して就労を継続する場合、違う会社で今までと同様の業務内容・活動内容を行うが在留資格の変更が必要な場合は、在留資格変更許可申請の許可後でなければ就労は継続できません。これらのケースは、在留期間の満了や特例期間に関わらず、従前の活動が終了した時点から、新しい活動(就労)は出来ません。

留学生アルバイトは、「資格外活動許可」を得て行っておりますが、それは学生の間のみ認められることのため、学校の卒業後は認められません(アルバイトをすることはできません)。
特定技能や高度専門職の場合は、パスポートに貼付される「指定書」で就労場所が記載され制限されています。例え同じ業務内容でも、新しい在留カードをもらうまでは次の会社で就労することはできません(変更前に就労することは不法就労になります)。
技能実習については、特定技能に移行する場合、通常は在留期間満了日までに実習計画は終了しているはずですので、特例期間中は在留のみ適法に行えるということになります。

申請はいつから準備をしたらよいのか

そもそも申請はいつからできて、いつまでにしなければならないのかを確認しましょう。

申請は在留期間満了の3ヵ月前から可能

活動内容に変更がない場合で、在留期間を更新する場合には「在留期間更新許可申請」を行います。在留カード記載の「在留期限」の日の3ヶ月前から申請することが可能です。

例えば、2021年9月1日在留期限の方の場合、2021年6月15日に申請を行い2021年7月15日に「1年」延長の許可が出て新しい在留カードの交付を受けた場合、在留期限は「2022年9月1日」になります(2022年7月15日ではありません)。

つまり、早めに申請をして在留期限到来前に許可が出た場合でも、在留期限が短くなって損をするということはありません。余裕を持った対応が可能ですし、損をすることは無いため余裕を持った申請をお勧めします。

▶出入国在留管理庁『在留期間更新許可申請

申請はいつまでに行わないといけないのか

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請は、在留期間満了日までに行わなければなりません。
1日でも遅れたり、うっかり忘れていたとしても、過ぎてしまうとオーバーステイになります。在留期限の前日に「明日が在留期限」と言うことを思い出した場合でも、準備が間に合わないからと諦めたり開き直ってはダメです。とりあえずは入管に行って相談をしましょう。
ただし、在留期限の末日が休日の場合には例外があります。

在留期限の末日が休日の場合

在留期限が末日の場合の対応について、審査要領「第10編 在留審査」において下記のように定められています。

在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請について
在留期間の満了日が休日に当たる場合で、当該申請が直近の開庁日に提出されたときは、通常の申請受付期間内の申請として受け付けるものとする。

審査要領「第10編 在留審査」

休日法において、行政機関の休日は下記のとおり定められています。ここに定められた休日の翌日であれば在留期間内として受理されるということになります。

第一条(行政機関の休日)
1 次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わない者とする。
一 日曜日及び土曜日
二 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
三 12月29日から翌年の1月3日までの日(前号に掲げる日を除く)
(2~3省略)

新しい在留資格に変更している場合は、変更が完了してからでなければ新しい仕事はできない

新しい活動を行う場合には在留資格変更許可申請が必要な場合があります。その時点で在留資格の手続きが完了(許可が出て、新しい在留カードを持っている)している必要があります。

在留資格変更許可申請は、新しい活動をすることが確定した後~新しい活動を始める前に行い、新しい活動は「許可」が出てから始めることになります。
例えば『技術・人文知識・国際業務』や『高度専門職1号』『特定活動46号』などの場合、大学生や専門学校生の場合、「卒業」することで要件を満たす場合があります。この場合は、内定先が決まっている場合は「卒業見込み」で申請をすることができます。
すでに学校を卒業している場合は、入社日に間に合うように速やかに手続きを行いましょう。

現在の在留資格から変更をしなければならないケースでは、基本的には「退職」→「在留資格変更許可申請」→「許可」→「転職先へ入社」の流れとなります。在留資格変更許可申請には審査期間があります。『高度専門職1号』で2週間~1か月、『特定活動(46号・本邦大学卒業者)』で約1か月、『特定技能』で約1か月~1か月半かかります。変更後の在留資格が『技術・人文知識・国際業務』の場合は、2週間~6ヶ月かかる場合もあります。

基本的には「退職」してから変更申請をすることになりますが、転職のスケジュール次第では入管の指示を受けながら調整されるのがよいと思います。

申請の準備が間に合わない、そんなときはどうする!?

外国人には「在留期間」があり、さらに、活動内容を変更する場合には「在留資格」を変えなければなりません。「早く準備をしましょう」と言われても、様々な事情で申請準備が間に合わないことはあると思います。そんな時にとれる手段がある場合もあります。

なるべく無職期間を短くしたい場合

在留資格や状況によっては“つなぎ”の在留資格を活用できる場合があります。

留学や技能実習から特定技能への移行の場合

「特定技能1号」の在留資格に変更を希望をされる方で、在留期間の満了日までに申請に必要な書類を揃えることができないなど、移行のための準備に時間を要する場合には「特定活動(4か月・就労可)」への在留資格変更許可申請を行うことができます。 この在留資格では、就労を予定している受入れ機関で就労しながら移行のための準備を行うことができます。(特定技能人材と同様の時間職種で勤務することが可能です。)
※この在留資格で在留した期間は、在留資格「特定技能1号」の通算在留期間(上限5年)に含まれます。
技能実習生の移行や、留学生の新卒採用の際などで活用できます。

留学生から内定者のための特定活動への変更もできる

“準備が間に合わない”というのとは性質が違いますが、内定から入社までに時間が必要な場合は、一時帰国をしなくても、内定者のための特定活動を利用することで継続して在留が可能になる場合もあります。
大学等の在学中に就職先が内定した方や、大学等を卒業後、継続就職活動中に就職先が内定した方が、企業に採用されるまでの間本邦に滞在することを希望される場合に一定の要件を満たした場合に変更ができます。この場合は“つなぎ”というよりも、会社都合ですぐに就労ビザへの変更手続きができない場合に活用する意味合いになります。この在留資格では、「資格外活動許可」を取ることで一定時間内のアルバイトが可能です。内定先でアルバイトをすることも可能です。

▶出入国在留管理庁『大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ

そもそも在留期限が間近に迫っていて、何をしたらよいか分からない場合

準備をどうしたらよいか分からない場合には、最寄りの入管に相談されるか、在留資格の申請手続きを行っている行政書士事務所等へご相談ください。弊所でも申請代行を行っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

まとめ

在留資格の申請中に在留期限が来てしまっても、自動的に「特例期間」に入るので問題ありません。特例期間は、申請の結果がでるまでもしくは、最大で2か月間あります。
基本的には、在留は問題無く継続できますが、働ける場合とそうでない場合がありますので注意が必要です。在留資格の申請は「審査期間」があるため手続きが必要な場合には、スケジュールを確認して余裕を持って準備を行いましょう。

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