【質問⑩】外国籍従業員が増えてきました。どのように管理をするのがよいでしょうか。

記事更新日:
外国籍従業員の人数が20人を超えました。いよいよきちんと仕組みを作って管理をしたいところですが、どのような仕組みを整えればよいか分かりません
管理の基本は現状を把握するところから始まります。まずは、外国籍従業員のリストを作成します。その次にルールを決めます。

今回は入社から退職までのポイントを説明します。

「在留管理」の全体像

外国籍従業員の在留管理は、徹底的に進めようと思えばかなり広範囲になります。広くとらえようと思えば、家族の在留資格や在留期限まで影響するものになります。管理の目的を設定してそれに合わせた管理方法を選択するのがベストにはなります。
入社から退職までに「外国籍」を理由にした管理ポイントをまとめました。まずは全体を把握してみましょう。

「在留管理」の目的は何ですか?

在留管理を行う目的は「不法就労」を防ぐため、という企業が多いかと思います。「不法就労」というのは該当する事例が思っている以上に幅広く、「在留期限が切れている」「業務内容が在留資格で認められた範囲外である」「(留学生など)規定時間以上に働くオーバーワークになってしまった」といったこともすべて「不法就労」に該当します。
これらを防ぐ仕組みが「在留管理」ということになります。

しかし、上記のとおり、「在留管理」は幅広く奥が深いです。すべてに取り組もうと思うと時間もコストも、また専門知識も必要になります。ですので、まずは「在留管理」をする/したい目的を設定すべきです。そしてその目的に合うように“管理メニュー”を設定することをお勧めします。

在留管理の基本として、管理する対象は“就労ビザ”で働く外国籍従業員に限りません。永住者や日本人の配偶者など、就労制限が無い人でも、アルバイトや派遣社員、業務委託といった正社員でない従業員であっても、所属する外国籍従業員についてはすべて管理を行います。
また、“就労ビザ”の変更や更新手続きを外国人本人主導で行う場合であっても管理は行うべきです。

次章では、「在留管理」をするうえで最も基本的な内容を紹介します。

在留管理をするうえで必ず実行したいこと ~まずはここから~

外国人雇用・在留管理を徹底的に行おうと思えばどこまでもやることはありますが、管理をするうえで必ず行うべきこと・把握しておくべきポイントを3つ挙げます。まずはこの3つから実践してみてください。

1、在留カードの確認と記録(リスト化) ~在留資格と在留期間の把握~

在留管理は、外国籍従業員の方の在留資格、在留期間を把握することから始まります。これらの情報を把握しリストアップすることが、在留管理の基本になります。

外国籍従業員リストで記録を取る項目
1,名前
2,生年月日
3,住所
4,国籍
5,住所
6,在留資格
7,在留期間満了日
8,就労制限について
※必要に応じて項目を増やしてください

これらの「在留資格」や「在留期間」の情報はどのように把握するかというと、「在留カード」を見ることでわかります。在留カードには以下のような情報が書かれています。

特に、在留カードを見るべきポイントは以下の3つです。またこれは、リスト管理をする際に必ず記録を取る項目になります。

①在留期限

在留期限を超過して日本に在留することはルール違反です。永住者の場合でも在留カードには有効期限がありますので、すべての従業員の期限については確認するようにしましょう。

在留期限の更新は、在留期限当日までに行います(実際は前もって申請するようにしましょう)。もし在留期限当日に、在留期限に気がついたらとにかく手ぶらでも入管に行って相談・申請をしなくてはなりません。
申請日から翌日以降どうなるのかというと2か月間の「特例期間」に入ります。特例期間中は、引き続き申請前の在留資格の活動を行うことができます。

在留資格の申請を行ったかどうかは、在留カードの裏面を見ればわかります。右下に「在留資格変更許可申請中」や「在留期間更新許可申請中」の記載があれば、表面の在留期限が到来していても、特例期間に入っているためオーバーステイではありません。

②在留資格

在留カードには「在留資格」があり、在留資格はそれぞれ活動範囲が決められています。
日本には“就労ビザ”という在留資格はありません。例えば「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職1号」のような在留資格があり、それぞれに活動ができる範囲が決められています。その従業員のポジションが在留資格で認められている活動の範囲内かどうかは注意をしなければなりません。

③就労制限の有無

また、同じように表面には「就労制限の有無」が記載されていますので、その部分も必ず確認します。
「就労制限の有無」の項目には、下記のような文言の記載があります。

  1. 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
  2. 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
  3. 「指定書により指定された就労活動のみ可」
  4. 「就労制限なし」
  5. 「就労不可」

1-3の場合は、「在留資格」で定められた範囲内で報酬を得る活動が可能です。また、4の場合は就労制限は無いため仕事は自由にできます。
なお、2,3に出てくる「指定書」というものはパスポートに貼付されるものになります。

5の場合は、「資格外活動許可」を得ていれば就労ができる場合があります。

就労制限がない在留カード

就労制限がある在留カード

2、適切なタイミングで更新をし、その情報を記録する仕組みづくり

「うちで働く外国人は就労制限のない身分系(永住者や日本人の配偶者等など)だから、更新は会社に関係ないよ」
と、いうことにはなりません。
身分系の方であっても、在留期限が来てしまっていて更新せずに日本に在留、就労する場合は「不法就労」に該当します。企業は「不法就労助長」となってしまうので、どんな方でも在留期間の更新については、企業は関心を持たなければなりません。

できれば、就労ビザで働く従業員については会社で更新手続きを主導することがベストですが、本記事はそこまでを求めているものではありません。会社で主導しない場合でも在留資格の更新後の情報管理をしっかりできていれば十分です。

在留期間の更新は、在留期限の3か月前から手続きをすることができます。②③で把握した情報をもとに従業員に声掛けし、何より大事なことは更新が完了したらリストに記載している情報も更新することです。更新が終わるとホッとしますが、会社に報告することを義務付ける、提出するルールそのものをつくることがポイントになります。

在留期間の更新を漏れなく進める“仕組みづくり”
1,外国籍従業員のリストを作る
→「名前」「生年月日」の他、「在留資格」「在留期間」「就労制限」についてリストにする

2,在留期間の3か月前から更新が可能になるので、アナウンスをするルールを作り実行する

3,従業員が更新をしたら、在留カードの情報を提出するルールを作る

4,提示された在留カード情報を確認し、リストを更新する

3,日本人にはない外国人特有の「手続き」を把握する

「外国人特有の手続き」というと、どうしても在留資格・期間についての入管への手続きに着目しがちですが、それ以外にもいろいろあります。

社会保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金)などは国籍問わず同じ手続きになりますが、在留資格申請以外で会社として行わなければならない外国人特有の手続きがもあります。

【雇用した企業が行う手続き】外国人雇用状況届出書の提出

外国人を雇用をしたら「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。

外国人(在留資格「外交」「公用」以外の場合)を雇い入れる場合には、①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域 ⑦資格外活動許可の有無 ⑧在留カード番号 ⑨雇入れに係る事業所の名前および所在地について、ハローワークに届け出を行います。

ただし、雇用保険の適用となる方は、『雇用保険被保険者資格取得届』を提出することでこの手続きを兼ねるため、別途の手続きは不要です(一つの手続きで雇用保険の資格取得と外国人雇用条件と外国人雇用状況届出書を兼ねます。)。
アルバイトなどで雇用保険の被保険者とならない場合は『外国人雇用状況届出書』をハローワークに提出しなければなりません。また、雇用保険の適用事業でない場合(個人経営の5人未満の農林水産業者)や、被保険者とならない場合(学生アルバイトや短時間労働のパート)の場合は、『外国人雇用状況届出書』を提出しなければなりません。

『外国人雇用状況届出』はインターネットからでも提出できます。留学生アルバイトを頻繁に雇用する事業所の場合はインターネットで届け出をする仕組みづくりをしてしまうと便利です。

▶外国人雇用状況届出書についてはこちら
▶「外国人雇用状況届出システム」についてはこちら

※離職後も手続きが必要です。

また、“就労ビザ”を持つ人を受け入れた場合(転職の場合)には、外国人の方がやらなければならない手続きがあります。

【外国人本人が行う手続き】転職した場合や勤務地が変わった場合に必要な手続き

すでに就労ビザを持っている場合で、在留資格の変更が必要が無い場合(代表例:技術・人文知識・国際業務。変更手続きが必要かどうかはこちらをご確認下さい)は、会社側が入管に対して行う手続きはありません。
外国人本人は、「所属(契約)機関に関する届出」を入管に対して提出する必要があります。これは、転職前に退職時と入社時の両方が必要です(いずれも14日以内)。
▶所属(契約)期間に関する届出についてはこちら

この手続きは「転職した」際に行う手続きと思われがちですが、転職時以外にも「異動をして勤務地が変わった場合」や「会社名が変わった場合」など、外国人本人の都合によらない場合であっても外国人本人が届け出を行わなければならないものになります。
転職時以外の場合、見落としがちですので、こういった手続きがあるということを把握しておくことが大切になります。

転職をした際に在留資格の変更が必要な場合もあります。そのケースについては下記の記事にまとめましたので参考にしてください。

まとめ

以上、外国籍従業員の管理についてまとめました。
管理において大事なことは現状把握から始まります。外国籍従業員の在留管理を行う場合は、まずは外国籍の特有の情報をリストアップをします。在留資格、在留期間などを把握し、問題なく就労できる状態か確認をしましょう。
その次に、その問題のない状態を維持するために在留期間の更新についてのルールを定めます。更新をしたら必ず会社に報告することを促す仕組みをつくり、うっかり在留期限が切れてしまうといったことを防ぎましょう。
また、外国籍特有の手続きもあるので、その内容についても把握しておくことも管理の上で重要になります。

就労ビザの申請代行や外国人雇用でお困りの方、ご相談下さい。

当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

お問い合わせには1営業日以内に回答致します。

  • まずは、じっくりお話をお伺いさせていただきます。初回は基本無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
  • ご相談はご来所もしくはZoom等を利用したビデオ会議システムで行います。
  • お問合せ時の注意点
メールでのお問い合わせ





    【ご確認ください】

    ページトップへ戻る