【ビザは許可出る!?】新設会社の外国人の雇用について

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新設会社であっても、語学力や優れた能力が必要なために外交籍人材の雇用を検討する企業はあると思います。特に、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「技能」ではそのような機会も多いのではないでしょうか。新設会社であっても条件さえ満たせば雇用は可能です。ただし、在留資格の申請は新設企業でない場合と比較して難易度は上がります。本編では、新設会社の在留資格(ビザ)申請について解説をします。
※本記事の新設企業は「会社設立から1年以内」を想定しています。

新設会社の就労ビザを難しくさせているポイントは?

条件が揃えば、新設会社でも就労ビザの許可は得られます。

「新設会社では外国人の就労ビザは許可されないのでは?」と不安に思われている方、大丈夫です。条件さえそろえば就労ビザは取得が可能です。そもそも、入管の法律にもガイドラインのどこにも「新設会社では就労ビザは許可が出ない」というルールはありません。
ただし、新設会社の場合、親切でない場合と比較して難しい申請になるのは事実です。これは、確認すべきポイント・審査されるポイントが増えるという意味であり、新設であるということだけを以て「不許可」になるという意味ではありません。

大前提、在留カードには「期間」がある。

在留には期限・満了日があります。
在留資格に関する審査は、在留期限到来の度に行われます。「在留資格」は活動目的に合わせて取得をしますが、就労ビザの場合は就業先を申告したうえで許可を得ます。在留期間の更新の申請をすると、納税状況や業務内容について審査を受けます。(転職先)での活動をしっかりと審査をされることになります。

在留期間として定められる「1年」「3年」「5年」の間、申請書に記載をした企業の存続することが前提に、在留資格の許可の決定がなされています。

新設会社の場合、安定性・継続性がポイント

外国籍の方が日本で就労ビザを取得して在留する前提として、「安定的・継続的」な在留をすることが求められます。新設会社の就労ビザが「不利」と言われる大きな理由は、一般的に見て「安定的・継続的」が長く続いている企業よりも説得性に欠けるという点になります。

つまり、新設会社であっても、事業運営に必要な許認可を取得し適法に運営できる状態であり、既に取引が始まっているなど企業の継続性に不安が少しでも解消できている状態であれば、就労ビザの取得できる可能性は高まるということになります。

稼働前は雇用はできない?稼働準備に従事させることは可能なのか?

とは言え、会社を設立させてからビジネスを本格稼働させるためにはそれなりに期間も時間もかかる場合があります。許認可によっては数年単位で取得に時間がかかるものもあります。このような場合の外国人雇用について検討をします。

雇用した外国人が従事する業務内容は確保されているか?

「会社設立をして、給料をその外国籍人材に支払えば、仕事が無くても雇用できるのか?」という質問には回答は「No」となります。雇用契約書に記載された就業時間は予定されていた業務を行わなければなりません。在留資格を維持するために、「形式上、雇用していることにする」ということは望ましくなく、もしそうするのであれば、在留期間満了時に帰国をし、企業の稼働が可能になった段階で改めて招聘をすることが正規のルートと言えます。

では、稼働準備を外国籍従業員にさせることができるのかというと、それはケースバイケースとなります。

外国人が従事する業務内容は「在留資格」の範囲内で認められた活動か?

外国籍人材が従事できる業務内容は、「在留資格の範囲内の活動」となります。例えば、「技能(コック)」の場合は、料理が主たる業務内容となります。つまり、テナントの契約や内装工事も済んでおらず飲食店営業許可も取れていない状態では、「料理」ができる状態とは言えず、不許可になる可能性が高いと言えます。
一方、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、貿易を行う新設会社に採用された場合に、貿易業が本格稼働する前であったとしても、仕入先との通訳や取引先への営業活動を行うことが予定されている場合は、許可される可能性はあると言えます。ただし、準備の段階次第によります。営業のリストや仕入先選定がより具体的であればあるほど説得性は増していきます。

一方で、稼働準備の段階で注意をしなければならないのは、その準備活動自体が「経営活動」とみなされる場合は、在留資格「経営・管理」を取得することが求められます。活動内容が、稼働準備であったとしても在留資格「経営・管理」の活動内容に該当しないように注意が必要です。

新設会社の場合、組織体制が未熟な場合もあります。外国籍人材は、あくまでも在留資格に定められた活動内容の範囲内の業務内容に従事しなければなりません。組織体制からそのことから読み取れない場合や在留資格の範囲外の活動をすることが想像できる場合には、不許可のリスクが発生します。「役割分担」を明確にする必要があります。

新設会社で複数人の外国人を雇用することは難しい?

新設会社で外国人を雇用するうえで、就労ビザの審査を難しくしているポイントを挙げました。一度整理をしてみましょう。

①企業の安定性、継続性
②在留資格で認められた活動範囲内の業務内容が十分にあるか

要約をすると上記2点になります。複数人で雇用をする場合、審査の過程で最も焦点があたるのは「 ②在留資格で認められた活動範囲内の業務内容が十分にあるか 」になります。通常の審査であっても、在留資格の審査の過程でよく焦点があたりがちなのが「業務量が十分にあるか」です。新設会社の規模感次第では当然に、念入りに審査するポイントとも言えます。
例えば、外国人プログラマー1人によって月間500万円のシステム開発をしていた企業が、新設3ヶ月目にして取引先増加に伴い予測売上が月間1000万円となる場合、1人では対応不可能であることを説明すれば、就労ビザが許可される見込みがあると言えます。

「① 企業の安定性、継続性」については、規模の小さい新設会社の場合には「従業員を増やしても事業の継続性は維持できますか?」という疑問を持たれる場合があります。これは既存企業でも、業績不振が続いている場合は聞かれる内容でもあります。①の疑問を持たれないためにも②をしっかり説明を行うことで企業の安定性をアピールする必要があります。

在留資格の申請はいつ行うべき?

在留資格の申請のフローは、外国籍人材が既に日本にいるか海外にいるかによっても異なってきます。それに加え、新設会社の注意ポイントを加味しなければなりません。

通常のルール

外国籍人材が日本にいる場合と海外にいる場合で考え方は異なりますが、基本的なルールとして「就業を開始する前」までに在留資格の「取得」が完了していなければなりません。申請から許可まで数か月に審査期間が及ぶ場合もありますが、「許可」を得て新しい在留カードを得るまでは活動はできません。

※既に今後活動を予定している業務内容の従事が可能な就労ビザを持っている場合には、在留資格の変更を改めて行う必要はありません。

新設会社の場合に気にするべきポイント

新設会社の場合、「企業の安定性」がどうしても問われてきます。設立したばかりの状態よりも、ある程度軌道に乗っている方が許可は得られやすいと言えます。

「箱(会社)を設立しただけ」⇒「内装工事が終わった」⇒「営業に必要な許認可を得た」⇒「仕入れ業者と契約した」⇒「販売先と契約した」⇒「事業を開始した」⇒「経営が軌道に乗った」⇒「会社設立から1年経過した」⇒・・・

というように、段階を踏めば踏むほど不許可のリスクは下がると言えます。この不許可のリスクを少しでも減らすためには、就労ビザの申請時に具体的な計画を詳細に説明をする必要があります。企業の段階に合わせて、アピールする内容の工夫を行います(未熟であればあるほど、たくさんの説明が必要)。

在留資格の申請のフローについて

新設会社で外国人を雇用する場合の、在留資格の申請の流れや必要書類について解説します。

在留資格の申請準備~就業開始までの流れ

国内在住人材が就労ビザを新たに取得する場合は「在留資格変更許可申請」を行います。海外在住人材を呼び寄せる場合には「在留資格認定証明書交付申請」を行います。どちらの申請も審査期間が数か月に及ぶ場合があるため注意が必要です。

在留資格変更許可申請の場合(国内在住人材の採用の場合)

国内在住の人材の場合は、内定出し・合意した段階から申請が可能です。就労ビザの場合は「雇用条件」が重要になるためしっかりと内容が定まった後に申請を行います。在留資格に関する申請は、必要な書類が多くあります。まずはこちらの書類を集め、申請書類を作成してから最寄りの出入国在留管理庁に申請に行きます。基本的には、外国人本人が申請に行くことになります。

在留資格認定証明書交付申請の場合(海外在住人材の採用の場合)

海外在住の場合は、就職先企業が代理人となって申請を行います。こちらの場合も、内定に合意し雇用契約の内容が確定した後から申請が可能です。許可がされると「在留資格認定証明書」が交付されます。それを本人に国際郵便等で送り、本人が査証に替えて入国を行います。在留カードは入国時・空港で本人に渡されます。

創業1年未満の企業が必要になる書類について ~「技術・人文知識・国際業務」編~

新設企業の場合で、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の場合の申請で必要になる書類は以下の通りです。

ケース必要書類
新卒で入社をする場合
(留学ビザからの変更)

・海外からの招聘の場合
・在留資格変更許可申請書/在留資格認定証明書交付申請
・写真(4cm×3cm)
・パスポート
・在留カード
・労働条件通知書
・採用理由書(業務内容を説明した書類)
・登記事項証明書
・申請人の学歴・職歴を示す書類
(履歴書、学校の卒業証明書、成績証明書等)
事業計画書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
 ー国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
 ー給与支払事務所等の開設届出書の写し・直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書or納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料
他の就労ビザからの変更・在留資格変更許可申請書
・写真(4cm×3cm)
・パスポート
・在留カード
・労働条件通知書
・採用理由書(業務内容を説明した書類)
・登記事項証明書
・申請人の学歴・職歴を示す書類
(履歴書、学校の卒業証明書、成績証明書等)※必須ではない
・申請人の住民税の課税証明書、納税証明書 ※場合によって
・前の企業の退職証明書 ※場合によって
事業計画書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
 ー国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
 ー給与支払事務所等の開設届出書の写し・直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書or納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料

▶出入国在留管理庁『日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請】
※新設会社の場合、「カテゴリー4」に該当します。

まとめ

以上、新設会社で外国人雇用をする場合の就労ビザについて解説しました。
新設会社であっても、就労ビザは許可されます。ただし、しっかりと企業の安定性が確保され、外国籍人材の業務量が確保されていることが前提となります。また、新設会社の場合には、決算書の替わりに「事業計画書」が求められます。事業の安定性についてはここでしっかりとアピールをすることになります。

【行政書士からのアドバイス】
新設会社の場合、企業の成熟度合いによって申請書に添付する書類の工夫が必要です。また、申請のタイミングも受入企業・人材双方にとってベストなタイミングに申請をします。
当事務所では、新設会社の就労ビザの申請サポートも行っております。お気軽にお問合せ下さい。

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