【本当に週28時間!?】資格外活動許可の注意点について

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よく聞く留学生アルバイトの「週28時間」ルール。正しい内容を把握されていますか?
「資格外活動許可」を取っていても当然に「週28時間」の労働が認められる訳ではありません。また、誰しもが「資格外活動許可」を得られる訳でもありません。本編では、資格外活動許可について解説します。

「資格外活動許可」とは

まず、「資格外活動許可」の単語の中の「資格」とは「在留資格」のことです。在留資格は大きく分けて2種類にあり、1つは「活動内容が決められているもの(活動制限があるもの)」、もう1つは「身分・地位に基づくもの(活動制限ながないもの)」です。
活動制限のある「在留資格」で定められた範囲外の活動を行うことを「資格外活動」と言い、収入や報酬を得る活動を行おうためには「資格外活動許可」が必要になります。

資格外活動許可を受けることができる在留資格は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法と言います)別表第一に記載されているものになります。身分系(「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」)についてはそもそも活動内容に制限が無いため取得はできません。

一般原則

資格外活動許可については、(7つの)条件を満たせば許可を得られます。その根拠については本章の最後に掲載をしますが少し分かりにくいため、先に解説をします。

大前提、今持っている「在留資格」の活動が妨げられるようなものでは認められません。これは「時間数」や「収入の多さ」は関係ありません。現在の「在留資格」を申請した際の活動内容を縮小して資格外活動をする可能性がある場合は、慎重に審査される対象になります。
例えば、在留資格「留学」で滞在する人が学校を休み、また勉強もあまりせずアルバイトを熱心に取り組んでいる場合は、資格外活動許可が取り消されるだけでなく、本体の「留学」ビザの更新時に不許可になる原因となる場合があります。

次に、「包括許可」(後述します)ではなく「個別許可」を受ける場合は、入管法 別表第一の一や二の表(いわゆる就労を目的とした在留資格で「特定技能」及び「技能実習」を除く)に該当する在留資格で認められている活動が認められます。
つまりこれは反対を言うと、平日に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で活動し、夜間や土日に「コンビニで接客のアルバイト」をするようなことは認められないということになります。何故なら、「コンビニで接客」ができる在留資格は無いからです。
また、法令違反の活動や風営法で規制のある業務を行う場合も認められません。

最後に、素行不良である場合も許可は得られません。素行不良というのは、納税を怠っている場合なども含みます。収容令書の発布又は意見聴取通知書の送達もしくは通知を受けている場合も認められません。当然ですが、現在の所属機関が資格外活動を行うことについて同意を得ていることも条件になります。特にサラリーマンの方は、隠れて副業すると会社で定められている就業規則違反になる場合があるので確認はしっかりしましょう。

注意しなければならないこととしてこととして、資格外活動許可で違反をすると「資格外活動許可」が取り消されるだけでなく、「本体の在留資格」も危うくなる(例えば、次の更新で不許可になって帰国せざるを得なくなる)ので注意をして下さい。

以上が、資格外活動許可を得るための条件となります。

【参考】出入国在留管理庁『資格外活動許可について』では、下記のように書かれています。

(1) 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。
(2) 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。
(3) 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること。
(注)「包括許可」については当該要件は求められません。
(4) 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。
 ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
 イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動
(5) 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。
(6) 素行が不良ではないこと。
(7) 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。

出入国在留管理庁『資格外活動許可について

包括許可

おそらく馴染みがあるのは「包括許可」ではないでしょうか。これは、「週28時間」までであればアルバイトのような活動をしてもよい、という許可になります。
前章で説明したように、「資格外活動許可」で許可され得る活動は、「在留資格」のいずれかで認められている活動に限られます。しかし、「留学」や「家族滞在」、「文化活動」、扶養を受ける配偶者や子などの方の「特定活動」の方の場合でパートやアルバイトを行う場合などは、28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動について「包括許可」として認められます。
「包括許可」では、「週28時間」というルールがある限り、タイムカード等で管理できる仕事に限られます。学生の場合は、教育機関の長期休業期間(夏季休業、冬季休業および春季休業として在学する教育機関の学則等により定められる者)にあっては、1日について8時間以内まで認められます(労基法の関係で上限週40時間です)。
ただし、日本の高等学校、中学校、小学校に通う場合は基本的には資格外活動許可は馴染まず、事情を徴収したうえで包括許可ではなく個別許可となります。

※上記以外の場合にも「包括許可」がされ得る特殊な事例はあります。従業員の方やご自身が該当するかどうか気になる場合はお問合せ下さい。

【資格外活動許可欄】
この欄には下記のような文言がかかれているので確認しましょう。

①「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」
②「許可(資格外活動許可所に記載された範囲内の活動)」
※②については、資格外活動許可所を確認してください。

個別許可

現在お持ちの在留資格とは別の就労資格に該当する活動を行う際には、当該活動を行う本邦の名称及び事業内容その他必要な事項を定めて個々に許可されます。
この場合は、「一般原則」の7つの条件を全て満たす必要があります。

許可の対象となる具体的な例として出入国在留管理庁HPで以下のように書かれています。

許可の対象となる方の例:

・留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事するとして週28時間を超える資格外活動に従事する場合
・大学で稼働する「教授」の在留資格の方が民間企業で語学講師として稼働する場合(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行う場合)
・個人事業主として活動する場合や客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合

出入国在留管理庁『資格外活動許可について

上記以外にも個別許可を受けられる事例はありますが、上記は代表的な事例になります。
特に、注意しなければならないのは3つ目の「個人事業主」として活動する場合です。「包括許可」はタイムカードで管理される仕事に限られているので、例えば業務委託契約による仕事は「個別許可」を受ける必要があります。(業務委託として受ける)「システム開発」、「翻訳・通訳」、「家庭教師」や、「日本で起業を目的とした準備活動」などが挙げられます。

審査要領によると、個別許可と包括許可はどちらかでなければならないとされていません。このため、元の在留資格に影響が無い限りは、例えばコンビニでアルバイト(包括許可)をしながら1枚〇円のような翻訳業務(個人事業主・個別許可)をすることも不可能ではありません。

本当に「週28時間」働いていい?

週28時間の考え方

「週28時間」については、どのよう日から1週間を起算した場合でも常に1週間について28時間以内でなければなりません。

これは、月間を通しての平均でもなく、「年収÷時給÷12(か月)÷4.3(週)」で算出した結果でもありません。「どこを切り取っても週28時間」である必要があります。
学生の長期休業中のアルバイトについても同様に、学則で定められた期間に限り「1日あたり上限8時間」(+労基法の遵守が必要です)働いてよいことになります。

次に、1人の労働時間で見て「週28時間」であり、1つの就業先で「週28時間」ではありません。雇用側としては、自社のシフトだけ見て時間を厳守しているつもりでも、気づかず内に「不法就労」を助長している可能性もあります。
「不法就労助長罪」は知らなかった・気づかなかったではすまされないため、外国籍従業員を雇用する場合にはしっかりとコミュニケーションをとり、シフトを管理する必要があります。

「週28時間」までなら働いてもいいのか

答えは「No」です。

現在持っている在留資格で認められた活動をしっかりと行えていない場合は、当然認められません。
よくある例を挙げます。

  • 留学生で出席率が著しく低い場合や成績が悪い場合
  • 「家族滞在」で在留する人が扶養の範囲を超えて働く場合。
    →実務レベルだと年収130万円を超えると扶養の範囲を超えているとして不許可となる場合があります。

では、どこまでなら認められるのかと、よくご相談をいただきますが、しっかりとご家族・会社・学校の先生と相談の上、状況に合わせて決めなければなりません。

資格外活動許可の再確認すべきポイント

①「在留資格外」なのか「在留資格内」なのか

資格外活動許可はどのような活動であっても、また誰にでも認められる者でもありません。まずは、持っている在留資格で活動できる範囲を確認し、行いたい報酬を得る活動が資格外活動許可で許可され得るものなのかを確認しましょう。

留学生の場合は学業に支障があってはなりませんし、家族滞在の場合は例え28時間以内であっても扶養の範囲内を超える活動は許可されません。その他の在留資格でも現在の在留資格の活動に大きな影響があるような活動はできないことを注意しなければなりません。

②「個別許可」なのか「包括許可」なのか

特に注意が必要なものは、「業務委託契約」などで活動を行う場合です。基本的にタイムカードで就業時間を管理されない場合は「包括許可」で認められる活動ではなく、「個別許可」を取得する必要があります。

③資格外活動許可の期間

原則、在留期限までになります。期間の定められた雇用の場合はその期間が終了するまで認められます。
ただし、忘れてはならないのが「資格外活動許可」の一般原則(2)「現に有する在留資格に係る活動を行っていること。」です。審査要領にも書かれているように、特に留学生の場合は学校を卒業や退学したら在留期限が残っていても「資格外活動」はできません。

まとめ

以上、資格外活動許可について解説しました。
よく聞く留学生アルバイトの「週28時間」の決まりは、「包括許可」によるものでタイムカードで管理できる場合のみ認められるものになります。また、「週28時間」の決まりを守っていても、本体の「在留資格」の活動に影響が出る場合には認められません。
外国人従業員を雇用する際には、しっかりとコミュニケーションを取って状況を確認するようにしましょう。

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