【語学スクール】外国人講師の雇用・業務委託時に必要な手続きは?

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民間の英会話スクールなどの語学学校の開業が増えています。外国講師の雇用を検討される企業様も増えている中、当事務所には多くの“手続き”に関するご質問をいただいております。外国人雇用の手続きの基本的な考え方は、「日本人に必要な手続き」+「外国人に必要な手続き」になります。「外国人に必要な手続き」については主に在留資格の手続きになります。
本編では、外国人講師の雇用・業務委託時に必要な手続きについて解説しました。

外国人講師の雇用・業務委託時に必要な手続きのアウトライン

外国人を雇用後の手続きは、「日本人に必要な手続き」+「外国人に必要な手続き」になります。外国人だから不要な手続きというものは、基本的にはありません。
例えば、労働保険や社会保険は雇用形態的に被保険者となる場合には適用されます。また、税金(例えば所得税や住民税)も日本に定住(就労ビザをもって在留)する場合には同様に課税されます。

外国人講師の雇用を検討される場合、真っ先に気になることとして在留資格のことがあると思います。特に語学講師の場合、フルタイム雇用の他に週1・2回などの短時間(外国人にとっては副業程度)の場合も少なくありません。在留資格については、フルタイム/パートタイム、社員/アルバイト/業務委託などの雇用形態に関係なく、会社には一定の責任があります。正しく手続きをしていなければ不法就労になりかねませんので、よく確認する必要があります。

在留資格の手続きの必要・不要の判断について

雇用契約が締結したら、本人の許可を得て必ず在留カードを目視確認してください。外国人の中には、ご自身の在留資格や在留期限を正しく認識していない方もいらっしゃり、少なくありません。
なかには、業務委託だから関係ないと考える企業様もいらっしゃるようですが、ひとしく在留カードの確認は必要です。

まずは必ず在留カードを確認し、現在の在留資格が何かを知る

在留カードの確認時には、まずは在留資格・在留期間満了日を見ます。在留期間満了日がすでに到来している状態はオーバーステイ状態であり、そのような方を雇用・業務委託することは不法就労の助長に値します。

在留資格欄の横には「就労制限の有無」とあります。「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」(以降、「身分系の在留資格」といいます)の場合は、「就労制限なし」と書かれており、日本人と同様に雇用・業務委託することが可能です。在留資格に関する手続きは不要です。
もし、これらの在留資格でない場合は、多くのケースでいわゆる就労ビザの場合か、「留学」や「家族滞在」の方だと思います。これらの方の場合は、さらに確認が必要になります。

就労制限がない在留カード

就労制限がある在留カード

語学スクールの講師の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」

在留カードを確認した結果、身分系の在留資格でない場合、お持ちの在留資格が「技術・人文知識・国際業務」であるかどうか確認します。
就労ビザの中には、語学を教えることができる就労ビザは一つではありません。「技術・人文知識・国際業務」の他に、「教育」「教授」なども該当します。教育機関ではなく、私塾(民間企業)で語学講師ができる在留資格は基本的には「技術・人文知識・国際業務」になります。
もしかすると外国人本人に在留資格のことを確認すると「今も語学を教えており、問題なく在留できている。手続きはいらないはず」とおっしゃるかもしれません。しかし、在留資格が複数ある限り確認は必ず必要ということになります。

前章で説明している限り、身分系の在留資格(「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」「定住者」)の方は就労制限はありません。日本人と同様に制限なく働けます。
以降の説明は身分系の在留資格以外の就労制限がある人について説明をします。

「技術・人文知識・国際業務」でない人をフルタイムで雇用・業務委託したい

在留カードを確認した結果、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」ではなかった場合、その方をフルタイムで雇用もしくはフルタイムに相当する業務委託をする場合は、在留資格の変更が必要になります。現在の在留期限がまだ残っている場合でも、就業開始日までに「在留資格変更許可申請」を行います。

「技術・人文知識・国際業務」でない人を週1・2程度、雇用・業務委託したい

別の在留資格を持っている人を語学講師として週1・2程度雇用する場合(外国人にとっては副業やパート・アルバイトの場合)、今お持ちの在留資格の活動+語学講師をしたい場合には、「資格外活動許可」が必要です。
活動制限のある「在留資格」で定められた範囲外の活動を行うことを「資格外活動」と言い、収入や報酬を得る活動を行おうために行う申請を「資格外活動許可」と言います。

現在の在留資格が「留学」や「家族滞在」の場合

「留学」や「家族滞在」、「文化活動」、扶養を受ける配偶者や子などの方の「特定活動」の方がパートやアルバイトを行いたい場合、「資格外活動許可」の“包括許可”を受けます。この包括許可では、週28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動について「包括許可」として認められます。この許可があれば、週28時間まで語学講師として雇用することが可能です。

資格外活動許可の取得状況を確認のためには、在留カードの裏面を見ます。

【資格外活動許可欄】
この欄には下記のような文言が書かれており、①の場合は「包括許可」になりますので、このスタンプがあれば手続きは不要です。

①「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」
②「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」

就労ビザの場合

「技術・人文知識・国際業務」以外の就労ビザの方(例えば「教授」「教育」「技能」など)が、副業程度に語学講師をする場合は、「技術・人文知識・国際業務」の「資格外活動許可」の“個別許可”を受けます。
注意点としては、あくまで本業に影響が出ない程度の就業でなければなりません。また、審査時に確認をされている点として、本業の契約機関が副業を認めているかどうかも挙げられます。基本的には、本業が副業を認めて、日本人と同等以上の報酬を受けて、無理のない範囲の副業であれば、この「資格外活動許可」の“個別許可”は難しい申請ではありません。

許可後は必ず、在留カードの裏面と資格外活動許可書(パスポートに貼付されていることが多いです)を確認して、自社で雇用しても問題ないことを確認してください。
業務委託契約の場合も同じです。

在留資格以外の手続きについて

在留資格以外の手続きについては、日本人と同様です。違う点としては、外国人の雇用をした場合には「外国人雇用状況届出書」を出さなければなりません。雇用保険の適用者の場合は、雇用保険の手続きが「外国人雇用状況」を兼ねます。

社会保険関係の考え方は日本人と同じ

基本的には、日本人と同様に「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金」の適用条件を満たしている場合には適用されることになります。在留資格や在留期間、将来的な日本への永住の意思が気になるかもしれませんが、基本的には雇用形態によって加入するかどうかを判断することになります。また、「外国人だから加入しない」という選択肢はありません。時には、ご本人の理解を得るように努めなければならない時もあるかもしれません。

雇用保険の適用者でない場合は「外国人雇用状況届出書」の提出

外国人を雇用をしたら「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。

外国人(在留資格「外交」「公用」以外の場合)を雇い入れる場合には、①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域 ⑦資格外活動許可の有無 ⑧在留カード番号 ⑨雇入れに係る事業所の名前および所在地について、ハローワークに届け出を行います。

雇用保険の適用となる方の場合は、『雇用保険被保険者資格取得届』を提出することでこの手続きを兼ねるため、別途の手続きは不要です(一つの手続きで雇用保険の資格取得と外国人雇用条件と外国人雇用状況届出書を兼ねます。)。

▶外国人雇用状況届出書についてはこちら
▶「外国人雇用状況届出システム」についてはこちら

※離職後も手続きが必要です。

外国人本人が行う手続きについて

転職をした場合、副業先として語学スクールと契約した場合には、外国人本人は入管に対して「契約機関に関する届出」を事由が生じた日から14日以内に提出をします。これは「届出」ですので審査はありませんし、入管に報告をするだけのものです。

▶出入国在留管理庁:契約機関に関する届出

この手続きは「転職をしたとき」にするものと思われておりますが、副業を始めた場合に契約機関が増えた場合でも提出が必要なものになります。

在留資格別手続きまとめ・一覧

結論として、語学学校で外国人講の雇用・業務委託をする場合には、在留資格別・雇用形態によって必要な手続きが変わってきます。以下に一覧をまとめましたので、参考にしてください。

現在の在留資格/雇用形態会社が行う手続き外国人が行う手続き
「技術・人文知識・国際業務」/
フルタイム
社会保険「契約機関に関する届出」
「技術・人文知識・国際業務」/
週1,2回の副業
社会保険or
「外国人雇用状況届出書」
「契約機関に関する届出」
「技術・人文知識・国際業務」以外の就労ビザ/
フルタイム
・在留資格変更許可申請
・社会保険
在留資格変更許可申請
「技術・人文知識・国際業務」以外の就労ビザ/
週1,2回の副業
・資格外活動許可
・社会保険or
「外国人雇用状況届出書」
・資格外活動許可(個別許可)
・「契約機関に関する届出」
「留学」や「家族滞在」、「文化活動」、扶養を受ける配偶者や子などの方の「特定活動」・社会保険or
「外国人雇用状況届出書」
・資格外活動許可(包括許可)

※会社=民間企業の私塾・語学学校(個人事業主も含む)

語学講師の雇用・業務委託に関するご相談について

ネクステップ行政書士事務所では、語学講師の在留資格の手続きを行っております。また、初めて外国人講師を雇用される企業様のサポートをしております。
本記事は、語学学校からよくいただく質問からまとめました。この記事をより深く知りたい場合や個別の状況におけるご相談をされたい場合は、有料相談(60分5,500円)で承っております。
なお、ご相談後に手続きが実際に発生した場合は、着手金に充当致します(実質無料)。

ご相談 60分 5,500円(税込)

就労ビザの申請代行や外国人雇用でお困りの方、ご相談下さい。

当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

お問い合わせには1営業日以内に回答致します。

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