【特定技能】スーパーマーケットでそう菜部門で外国人の就労は可能?

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2024年7月よりスーパーマーケットのバックヤードにおいて、そう菜製造や青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造などが特定技能・飲食料品製造分野の対象になりました。それまでは、スーパーマーケットでは、プロセスセンターやセントラルキッチンの食品工場や、魚屋、肉屋、パン屋などはテナント(別事業者)であれば雇用が可能でしたが、これらの形態に加えてバックヤードにおける食料品加工であれば、スーパーマーケットでも特定技能外国人を雇用することができるようになりました。本編では、スーパーマーケットにおける特定技能外国人の雇用について解説します。

スーパーマーケットの食料品加工部門で働くことがでスーパーマーケットで

スーパーマーケットで食料品加工ができる在留資格は特定技能以外にもあります。まずは、どのような在留資格であれば食料品加工に従事できるのか見てみましょう。

そもそも在留資格(ビザ)とは

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年6月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。

在留資格の切替のイメージ

例えば、上記の方の場合、日本語学校の学生の間は「留学」ビザで活動します。その後、料理人になった場合は「技能」というビザに切り替えなければなりません。また、独立開業してレストランの経営者になった場合は「経営・管理」ビザを取得します。もし、将来、日本への永住を決意し一定の要件を満たしているようであれば、「永住者」ビザを取得することもできます。

在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

上記の表のとおり、現状、スーパーのバックヤード等で、総菜を作ったり、肉や魚の加工等を行う食品製造・加工を行うことができる在留資格は限定されています。特に“就労ビザ”ではかなり限定されていると言えます。

食料品加工ができる在留資格(ビザ)について

スーパーマーケットのバックヤードで総菜を作ったり肉や魚の加工を行う食品製造・加工を行うことができる在留資格は、身分系の在留資格や一部の特定活動、また新たに追加された特定技能の飲食料品製造分野が該当します。

身分系の在留資格

身分系の在留資格の方は、活動内容に制限がありませんのでどのようなお仕事にも従事できます。つまり、スーパーマーケットのバッグヤードにおける食品製造・加工の業務をすることは可能です。この身分系の在留資格は次の4つです。『永住者』『日本人の配偶者』『永住者の配偶者等』『定住者』があります。ちなみに、この4つの在留資格であれば、品出しやレジ打ち、掃除などの業務も可能です。

一部の特定活動

活動内容が特別制限されていない特定活動の方の場合も、食品製造・加工の業務が可能です。一部だけ挙げると、特定活動(46号・本邦の大学卒業者)や日本の高校を卒業した元家族滞在者の方が変更できる特定活動などが該当します。
これらの特定活動の場合、身分系の在留資格の方同様に品出しやレジ打ち、掃除などの業務も可能です。

(新たに追加)特定技能・食品製造業分野

2024年7月に、それまでは受入ができなかった総合スーパーマーケット及び食料品スーパーマーケットの青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造等の食料品製造が行われている事業所に飲食料品製造業分野で特定技能外国人(在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」)を受け入れることができるようになりました。

(補足)留学生や家族滞在者の「資格外活動許可」

在留資格「留学」や「家族滞在」の方は「資格外活動許可」(包括許可)を取ることで、週28時間までアルバイトをすることができ、その範囲内であればスーパーのバックヤードで食品製造や加工を行うことができます。
「資格外活動許可」(包括許可)を得ている方であれば、身分系の在留資格の方同様に品出しやレジ打ち、掃除などの業務も可能です。

スーパーの食料品加工部門で活用できる特定技能人材

在留資格「特定技能」では、受入機関の要件、外国人の要件、行うことができる業務内容に決まりがあります。ここでは、スーパーマーケットで特定技能外国人を雇用する場合の要件について説明します。

受入企業側のポイント

スーパーマーケット内の青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造等の食料品製造が行われている事業所については飲食料品製造業分野の対象となります。これまでは、スーパーとは別のテナントとして入っている別企業(別事業者)であれば食品製造業分野で特定技能外国人を受け入れることはできましたが、これからはテナントではなくても受入ができます。また、スーパーマーケットとは別にあるプロセスセンターやセントラルキッチン等の食品工場についても従来通り飲食料品製造業の対象であることに変わりはありません。

その他の要件として、雇用契約の内容や労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令など法令順守の体制が整っていること、特定技能1号外国人を雇用する場合には私生活を含めたサポート体制(支援計画の遂行)なども求められます。

この他にも特定技能は受入ができない事業者について、欠格要件が定められています。特に特定技能で特徴的なものに、過去1年以内に非自発的離職者(解雇やリストラ等)を行っていないことや、特定技能人材・技能実習生の行方不明者を会社の責任で発生させている場合は受け入れることができません。

また、飲食料品製造分野に関しては直雇用に限定されます。

項目ポイント
受入機関の条件下記のいずれかの分類を主たる業務として行っている事業所であること
・中分類09 食料品製造業
・小分類101 清涼飲料製造業
・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
・小分類104 製氷業
・細分類5621-総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行う
ものに限る。)
・ 細分類5811-食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行
うものに限る。)

・細分類5861 菓子小売業(製造小売)
・細分類5863 パン小売業(製造小売)
・細分類5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る)
待遇・日本人と同等以上の給与
・希望があった場合の休暇取得許可
・雇用契約終了時の帰国費用の支弁(特定技能外国人が負担できない場合) 等
法令順守・労働、社保、租税ほか関係法令順守
・1年以内に非自発的離職や行方不明者を発生させていないこと
・過去5年以内に出入国管理及び難民認定法や労働関係法令に違反していないこと(行政処分の有無を問わない)
・過去5年以内に 禁錮以上の刑に処せられていないこと
・過去5年以内に、暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられていないこと
・過去5年以内に 社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられていないこと
・入国前/在留中に関して不当な費用徴収や財産管理に関する契約を特定技能人材と交わしていないこと
・支援体制の整備(登録支援機関へ委託も可)等
協議会農林水産省が組織する「協議・連絡会」への加入
雇用形態直接雇用のみ

外国人側のポイント

特定技能人材になるためには、技能水準は日本語レベル及び定められた技能試験に合格するなど技能レベルが一定以上である必要があります。食料品製造業で決められた範囲内の業務を行う必要があります。
また、特定技能人材の健康状態や年齢、国籍、特定技能人材になるために社会通念上合理的な手数料を支払っているような場合には特定技能は許可されません。

項目ポイント
状態について・健康で18歳以上
・イラン・イスラム共和国籍は申請不可
渡航まで/滞在期間中の契約内容について・「保証金」の徴収や財産の管理、違約金の契約をさせられていないこと
・渡航費用や滞在中の費用を徴収される場合には、内訳や理由を知っていること
・二国間の取り決めがある場合にはその内容を遵守していること
技能水準日本語試験及び当該業務区分の技能試験の合格者であること
(技能実習2号修了者は、その修得した技能と関連性が認められる業務区分の試験及び日本語試験が免除)

業務内容について

特定技能は試験に合格し技能を有することが確認され人材が取得できる在留資格です。その際に試験で確認された技能や知識を要する業務に従事することになります。

項目ポイント
業務・試験により確認された技能を要する業務
・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
・当該業務に従事する日本人が通常従事している関連業務に付随的に従事することは差し支えない
<知識や技能を要する業務のイメージ>
・主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能
・食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能
・施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能

また、食料品製造業全般の業務というのは下記の工程が該当します。

原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等
スーパーマーケットの食品製造加工の場合は、青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造等が対象となります。
※単なる選別、包装(梱包)の作業は製造・加工にはあたりません

同様の業務内容に従事する日本人が従事する関連業務に付随的に従事することも認められます。

<関連業務にあたりえる業務の例>
・原料の調達、受入
・製品の納品
・清掃
・事務所の管理の作業

スーパーマーケットで飲食料品製造に従事する場合でも、関連業務として販売業務に従事することはできません(販売業務に従事しないことは誓約をすることになります)。

▶参考:農林水産省『食料品製造業分野における外国人の受入れ拡大について

在留資格『特定技能1号』を申請するまでの流れ

『特定技能』人材を雇用するまでの流れ、また雇用後の流れは下記の通りになります。他の在留資格と異なり『特定技能』特有のステップもあります。

やること説明
①業務内容の要件確認「特定技能」で認められる業務内容であるかを確認
②事業所の要件確認就業場所が①で確認した業務内容を行うことができることを確認
③人材の要件確認「特定技能」人材に必要になる資格などを確認
④求人票の作成①~③で確認した要件を満たすように求人票を作成
⑤内定内定出し・内定承諾を行い、雇入れる人材を確定
⑥支援計画書の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑦事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑧協議会入会ビザ申請前に分野別に設けられた協議会に入会
⑨ビザ申請必要書類を収集、申請書の作成、入管へ申請
⑩雇用後の届け出日本人と同様に、雇用保険・社会保険等の手続き
⑪四半期毎の報告入管に対し、四半期ごとに特定技能人材に関する報告
⑫ビザの更新在留期限前にビザの更新手続き
⑬支援計画の実施
※随時
「支援計画」に則って、特定技能人材をサポートを行う

人材の選定が終わってから、在留資格の手続きなどを行って実際に入社をするまでに、3、4か月(場合によってはもっとかかります)は最低でもかかります。特に初めての受入の場合には時間がかかりがちですので、計画的に準備を進めてください。

まとめ

以上、スーパーマーケットのバックヤード等における食料品製造・加工について解説しました。
この分野は2024年7月に多くの声を受けてようやく解禁された業務になります。今まで従事できなかったスーパーマーケットでの青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造等を在留資格「特定技能(飲食料品製造分野)」で雇用することができるようになりました。
特定技能外国人を雇用するためには、在留資格の申請が必要で、許可をもらうためには様々な要件を満たしている必要があります(就労開始は許可後になります)。また、手続きには数か月の時間が必要ですのでご注意ください。

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