【ケース別解説】特定技能1号から特定技能2号への変更手続きについて

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特定技能2号の分野が拡大し、特定技能2号の試験実施を行う分野が増え、「特定技能1号」から「特定技能2号」へ在留資格変更を検討している方は増えているのではないでしょうか。「特定技能2号」は「特定技能1号」と異なり、在留期限5年の上限は無く、家族の帯同が認められています。また、1号では10の項目も義務的支援が必要でしたが、2号では必須ではなくなります。
本編では、特定技能1号から特定技能2号に在留資格を変更する手続きについて解説をします。

特定技能2号に変更するための要件について

「特定技能2号」への変更を検討される外国人・企業の多くは、「特定技能1号」からすることがほとんどかと思います。「特定技能1号」は最長で5年間の在留が認められますが、「特定技能2号」へ変更したい場合には、特定技能外国人は実務経験要件や、試験合格要件を満たす必要があります。

「特定技能2号」へ変更するために必要な条件とは

特定技能1号外国人を雇用されたことがある企業はすでにご存じかと思いますが、特定技能1号を初めて雇用したときには、各種保険料や税金の支払いに未納が無いことを証明する書類を集め、また協議会への入会が義務付けられていたかと思います。実は、特定技能2号においてもこれらの要件は同じく満たさなければならないものになります。一方で、特定技能1号と特定技能2号の雇用での最も大きな違いとしては、支援計画に則った支援が不要になります。

特定技能2号の在留資格に変更し、維持・更新していくためには、以下のカードが全てそろった状態であることが受入の要件となります。

特定技能2号に変更することで変わること

  • 支援計画に則った、生活・就業支援の義務的支援が必須ではなくなる。
  • 従事する業務内容が変わる。

特定技能2号で従事する業務についてはこちらをご確認ください。各分野を見ると分かる通り、「複数のスタッフ・技能者を指導(・命令・管理)しながら、業務にあたる」ということが分かります。リーダーポジションになることが要件になります。これは、特に転職して「特定技能2号」になる場合に注意が必要になるかと思います。

「特定技能2号」へ変更するために必要な実務経験・試験合格について

特定
産業分野
試験実務経験
ビルクリーニング「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」
又は「技能検定1級」
建物の清掃業務に複数の作業員を指導、現場を管理する者として、2年以上。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業「製造分野特定技能2号評価試験」
及び「ビジネス・キャリア検定3級」
又は「技能検定1級」
日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験、3年以上
建設「建設分野特定技2号評価試験」、「技能検定1級」
又は「技能検定単一等級」
能力評価基準のレベル3に対応する必要な就業日数(職⾧及び班⾧)、0.5年~3年(職種による)
※詳しくはこちら p.57
造船・舶用工業「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」
又は「技能検定1級」
監督者として複数の作業員を指揮・命令・管理しながら、造船・舶用工業における実務経験、2年以上
自動車整備「自動車整備分野特定技能評価2号試験」
又は「自動車整備士技能検定試験2級」
道路運送車両法第 78 条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場の実務経験(分解、点検、調整等の整備作業)、3年以上
航空「航空分野特定技能2号評価試験」
又は「航空従事者技能証明」
・空港グランドハンドリング:
空港グランドハンドリングの現場において技能者を指導しながら作業に従事した実務経験

・航空機整備区分:
国家資格整備士等の指導・監督の下、ドック整備や材料・部品等の領収検査等、機体、装備品等の専門的・技術的な整備業務の実務経験、 3 年以上
宿泊「宿泊分野特定技能2号評価試験」国内外の宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に従事した実務経験、2年以上
農業「2号農業技能測定試験」耕種農業若しくは畜産農業の現場において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者と
しての実務経験、2年以上
又は、耕種農業若しくは畜産農業の現場における実務経験、3年以上
漁業「2号漁業技能測定試験」
及び「日本語能力試験N3以上」
・漁業区分:漁船法上の登録を受けた漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者
又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上

・業務区分:養殖業
漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上
飲食料品製造業「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験、2年以上
※1号特定技能外国人を「工程を管理する者」として従事させる際は、客観的に証明する書類、例えば辞令や職務命令書等をもって、上記に例示した役職を命じ、業務に従事させることが必要
外食業「外食業特定技能2号技能測定試験」
及び「日本語能力試験N3以上」
飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外
国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験、2年以上

※“実務経験”の定義や細かい条件は、それぞれの分野別の要綱に記載があります。「特定技能2号」を考えている場合には、まずはそれぞれの分野の運用要領のご確認をお願いします。
▶参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」

誤解されがちですが、「特定技能1号」は丸5年経験しなければ「特定技能2号」に変更できないわけではありません。要点を満たした時点で変更することができます。もっといえば、「特定技能2号」の要件を満たしていれば、「特定技能1号」を経ることなくいきなり「特定技能2号」を取得することも可能ということになります。また、同じ会社でなければ「1号」から「2号」に変更できない、といったこともありません。

【パターン別】特定技能2号へ変更するために必要な準備

「特定技能2号」外国人を雇用する場合、在留資格を1号から2号に変えるケースと、他社の特定技能外国人を雇用するケースの主に2パターンがあるかと思います。特に他社で働いていた方を特定技能2号外国人として迎い入れる場合、就業開始日前までに在留資格変更許可申請を行って、「特定技能2号」の新しい在留カードをもらってからの就業になります。これは、同じ分野で「特定技能2号」として働いていた場合でも同じで、転職のたびに在留資格申請は必ず必要になります。

同じ会社・同じ分野・業務区分で特定技能1号から特定技能2号へ変更する(転職無し)

同じ会社で同じ分野・業務区分のまま、「特定技能2号」に変更したい場合は、多くのケースで特定技能外国人が「2号」の要件を満たすことを待っているケースが多いかと思います。
特定技能外国人が実務要件、試験合格要件、分野によっては日本語能力要件を満たしていることを確認できたら、「在留資格変更許可申請」を行います。手続きの流れについては次章をご確認ください。

転職者を特定技能2号として受け入れる(転職有り)

「特定技能2号」へは誰しもが変更できるものではありません。もし、新しく募集をかける場合には、内定を出す前に要件を満たしているかを確認する必要があります。また、初めて特定技能外国人を受け入れる場合には、在留資格申請をする前に事前に協議会への入会をしなければなりません(24年6月15日以降。すでに事前加入が必須の分野もあります)。
これらの準備が整ったら、在留資格申請の準備を行い、入管に申請をすることになります。新しい在留カードをもらってから、新しい会社で就業することができるようになりますので、時間に余裕をもって準備を進めましょう。

※補足:初めて特定技能外国人を雇用することはできる?

特定技能1号外国人を雇用したことが無くても、要件さえ満たしていれば「特定技能2号」へ在留資格を変更し、特定技能2号外国人を雇用することはできます。

この場合は、求職者(外国人)が特定技能2号に変更するために必要になる試験や実務要件を満たしているだけでなく、企業自体も要件を満たしているかしっかりと確認する必要があります。
初めて特定技能外国人を雇用する場合は、在留資格申請前に協議会への入会が必要ですので、先にそちらの手続きを済ませてから申請することになります(24年6月15日から)。

「特定技能2号」へ変更する手続きについて

要件が整ったら、入管で在留資格の手続きを行います。必要な書類を集め、申請書類を作成し、入管に提出をすることになります。

必要書類について

「特定技能2号」の申請では、申請人(外国人)が集める書類(納税関係や技能要件を満たしていることを示す書類等)、企業が集める書類(納税関係の書類等)、作成した書類(申請書、雇用条件書等)の準備を準備します。

会社が準備をする書類

必要書類については分野ごとに異なります。以下は一例です。イメージを把握するための参考にしてください。また、下記の収集する書類の他に、作成しなければならない書類が複数あります。

会社が準備をする書類(一例)
1,登記事項証明書
2,業務執行に関与する役員の住民票
3,労働保険料等の納付証明書
4,社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(申請する月の前々月まで24ヶ月分)
5,法人住民税の納税証明書(直近1年分)
6,税務署発行の納税証明書(その3)
7,事業所が要件を満たしていることを示す許認可等(分野による)
8,協議会の構成員であることの

※注意:必要書類は会社の状況や分野によって異なります。下記は一例になりますので、実際に必要な書類は出入国在留管理庁のこちらのページに掲載がありますので、こちらをご確認ください。

外国人が準備をする書類

必要書類については分野ごとに異なります。以下は一例です。イメージを把握するための参考にしてください。下記の収集する書類の他に、作成しなければならない書類が複数あります。

外国人が準備をする書類(一例)
1,健康診断の結果票
2,住民税の課税証明書(直近1年分)
3,住民税の納税証明書(未納が無いもの)
4,源泉徴収票の写し(課税証明書の所得と同じ年度のもの)
5,国民健康保険証(直近1年分)
6,国民健康保険の納付証明書
7,国民年金の領収書、納付状況が分かる書類(直近2年分)
8,証明写真
9,技能試験の合格証(特定技能2号評価試験や技能検定1級等の定められている試験)
10,日本語能力検定の合格証(分野による)
11,パスポート(申請時に提示)
12,在留カード(申請時に提示)

※5~7については社会保険(厚生年金、健康保険)加入の場合は提出不要

※注意:必要書類は外国人の状況や分野によって異なります。下記は一例になりますので、実際に必要な書類は出入国在留管理庁のこちらのページに掲載がありますので、こちらをご確認ください。

どこで申請するのか

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。

【原則】申請先の決まり
【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰が申請をするのか

基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことができます。
この場合、代理人は申請書に名前を記載する代表取締役などに限らず、受け入れる機関の「職員」であれば問題ありません。また、グループ会社の人事関連業務を行う会社の職員も含みます。

一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。

まとめ

以上、特定技能2号の在留資格の申請手続きについての解説をしました。
「特定技能2号」に変更するためには、試験合格や実務要件を満たしている必要があります。また、企業が初めて特定技能外国人を雇用するためには、協議会への入会を事前に済ませていなければなりません。これらの準備が整ったら、入管に提出をする申請書類を準備していくことになります。転職をする場合には、必ず新しい受入企業で働くための「在留資格変更許可申請」が必要になり、新しい在留カードを受取ってから就業することができます。審査期間は数か月に及ぶこともありますので、在留資格申請は計画的に行ってください。

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