【親の帯同も可能な場合あり】高度専門職の家族のビザと手続きについて

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「高度専門職」で在留する方の家族の場合、配偶者(妻・夫)や子ども、親を日本に呼ぶことができます。この場合、在留資格『家族滞在』、在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』や在留資格『特定活動(34号・高度専門職外国人又はその配偶者の親』と言った在留資格で申請をすることになります。
本編では、それぞれの在留資格(ビザ)の特徴や要件、また在留資格の手続き方法について解説致します。

「高度専門職」の家族で帯同が認められる範囲について

「高度専門職」はより優秀な人材が取得することができる在留資格になるため、日本に積極的に呼ぶために優遇措置が設けられています。この優遇措置によって、他の在留資格では認められない範囲の家族の在留や就労が可能になります。在留資格『高度専門職1号・2号』についてや優遇措置について解説します。

そもそも在留資格『高度専門職1号・2号』とは

「高度専門職」は、高度外国人材の受入れを促進するためにポイント制を活用した優遇措置になります。日本で積極的に受け入れるべき「高度外国人材」とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することができない良質な人材」と位置付けられています。こういった優秀な人材に日本で働いてもらうために、優遇措置が設けられています。

高度専門職には1号・2号とあり、1号はさらにイ・ロ・ハと分かれます。

高度専門職1号とは
  • 高度専門職1号(イ):本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動
    →主に「教授」「研究」又は「教育」の在留資格に相当する活動と重複する
  • 高度専門職1号(ロ):本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技実を要する業務に従事する活動
    →主に「技術・人文知識・国際業務(※国際業務のは除く)」「企業内転勤」「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」「法律・会計」「医療」「研究」「教育」「介護」「興行」の在留資格に対応する活動を行う場合も重複し得る。
  • 高度専門職1号(ハ):本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
    →主に「経営・管理」に相当する活動
高度専門職2号とは
  • 1号のように(イ)(ロ)(ハ)に分かれておらず、1号の内容に加えてほぼすべての就労資格の活動を行うことができる。
  • 1号で3年以上活動していた人に与えられる

このサイトをご覧になられる多くの方が「高度専門職1号(ロ)」に該当するのではないでしょうか。「高度専門職1号(ロ)」のイメージとしては『技術・人文知識・国際業務』の在留資格における、「技術」・「人文知識」の業務内容を行う方で、ポイント制の条件を満たしている方になります通訳翻訳が主たる業務の方は『高度専門職1号』は取得できないため注意が必要です。

高度専門職はポイント制を満たせば、どんな活動や業務内容でも認められるものではありません。
「ポイント評価で70点以上」+「いずれかの在留資格の要件を満たす必要がある」ということになります。

参考:出入国在留管理庁『高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度について

高度専門職の「優遇措置制度」とは

「高度専門職」は積極的に日本に呼びたい人材であるため、他の在留資格と比較しても優遇されます。主な優遇ポイントは、付与される在留期間、永住許可申請の要件緩和、家族や家事使用人の在留資格についてなどがあります。

「高度専門職」の優遇措置について
1,複合的な在留活動の許容
⇒通常は許可された1つの在留資格で認められている活動しかできませんが、高度外国人材は例えば大学での研究活動と併せて関連する事業を経営する活動を行うなど複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができます。
2,在留期間「5年」の付与
⇒一律「5年」が付与され、更新も可能です
3,在留歴に係る永住要件の緩和
⇒70点以上の方:高度人材として引き続き3年以上の場合に永住許可の対象となる
⇒80点以上の方:高度人材として引き続き1年以上の場合に永住許可の対象となる
4,配偶者の就労
⇒在留資格「教育」、「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行う場合でも学歴職歴要件を満たさなくても取得可能
⇒就労制限のある在留資格『家族滞在』のほかにも、在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』が認められる場合があります。
5,一定の条件の下での親の帯同許容
6,一定の条件の下での家事使用人の帯同許容
7,入国・在留手続きの優先処理
⇒認定申請の場合は10日以内
⇒変更・更新の場合は5日以内

上記の優遇措置の中には、配偶者(妻・夫)には在留資格『家族滞在』のほかに、就労可能な在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』を選択することができます。また、他の在留資格では、帯同可能な家族の範囲は原則、配偶者(妻・夫)と子どもですが、条件次第では親の帯同が認められる場合があります。

高度専門職の家族の在留資格は他の就労ビザよりも幅が広い。

「高度専門職」の場合、優遇措置により通常は在留資格『家族滞在』以外にも、在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』在留資格『特定活動(34号・高度専門職外国人又はその配偶者の親)』を検討することが可能です。

在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』は、一定の要件を満たすことができれば配偶者(妻・夫)もフルタイムで就労が可能な在留資格になります。資格外活動(包括許可)では、週28時間の制限や扶養の範囲内でなければならないルールがありますが、この在留資格を取得することで制限無く就労が可能になります。

また、在留資格『特定活動(34号・高度専門職外国人又はその配偶者の親)については、「高度専門職」本人や配偶者(妻・夫)が妊娠中の場合や7歳未満の子どもがいる家庭の場合、子育てを支援する親が取得することができる在留資格です。高い世帯年収の要件がありますが、告示外の特定活動を除き、親を招へいできる数少ない在留資格になります。

高度専門職の家族として申請できる在留資格について

高度専門職の家族はそれぞれが選ぶことができる在留資格や要件が異なります。

配偶者(妻・夫)の場合

配偶者(妻・夫)の場合は、在留資格『家族滞在』と在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』の2つの選択肢があります。

在留資格『家族滞在』について

婚姻関係が法律上有効に存続し、扶養する能力がある場合には、配偶者(妻・夫)は在留資格『家族滞在』を取得することができます。
配偶者は婚姻中である必要があります。離婚した場合や死去した場合は含まれません。また内縁の配偶者も認められません。

在留資格『家族滞在』では、就労ビザで働く方の“扶養”を受けることが要件となります。つまり、「扶養する能力がある」ことと、「扶養を受ける意思がありその状態で在留する」ことが必要です。そして、夫婦として扶養を受けて生活するという点で同居をしていたほうが望ましいと言えます。
在留資格『家族滞在』では、資格外活動許可を取得することでアルバイトなども可能ですが、週28時間までの就労制限があります。

在留資格「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」について

「高度専門職」の優遇措置の一つに、配偶者の就労が挙げられます。もし、企業に就職する場合などでフルタイムで働くことを検討している場合には在留資格『特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)』を取得することでフルタイムの就労が可能になります。この在留資格では、無制限に職種を選べるわけではありませんが、1週間の週28時間の資格外活動許可の制限無くフルタイムで就労することが可能です。在留資格『家族滞在』のように、扶養の範囲内であることも求められません。

就労が可能な活動の範囲は、在留資格『研究』、『教育』、『技術・人文知識・国際業務』、『興行』に該当する業務になります。ただし、業務内容だけがそれぞれの在留資格で定める活動の範囲内であればよく、学歴・職歴を満たさない場合でも、一定の要件のもと活動を行うことができます。

『高度専門職』で在留する者の就労する配偶者として許可を受けるための要件
  1. 『高度専門職』で在留する者と同居をしていること
  2. 日本人と同等額以上の報酬を受けること
  3. 以下の活動のいずれかであること。
    1. 研究を行い業務に従事する活動
    2. 日本の教育機関において語学教育その他の教育をする活動
    3. 自然科学若しくは人文科学の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務又は外国のぶんっかに基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動
    4. 興行に係る活動以外の芸能活動で次に掲げるもの
      1. 商品または事業の宣伝に係る活動
      2. 放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動
      3. 商業用写真の撮影に係る活動
      4. 商業用のレコード、ビデオテープや他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

※同居をしない場合は、 在留資格『研究』、『教育』、『技術・人文知識・国際業務』、『興行』 を検討します。また、配偶者も転職をする場合はその都度、在留資格変更許可申請が必要になります。このため、別居や転職(頻繁に職が変わる可能性がある場合)などは、要件を満たしている場合は通常の就労ビザの取得のほうが使い勝手がよい場合もあります。

子どもの場合

この場合は、在留資格『家族滞在』を取得します。「子」については養子(普通養子及びと特別養子)も認められます。また、婚姻する前に生まれた子どもや、婚姻後まもなくの間に生まれた子(非嫡出子といいます)も認知をしていれば「子」として認められます。
また、成年していても認められますが、扶養されていることが前提となります。このため、在留資格『家族滞在』を取得していた方が学校卒業を機に就職する場合などは、通常は基本的には就労が可能な在留資格に変更することになります。

親の場合

「高度専門職」の”親”は一定の条件の下で、在留資格『特定活動(34号・高度専門職外国人又はその配偶者の親)を取得することで日本で一緒に暮らすことができる場合があります。
この在留資格で親を招へいすることができる場合は、「高度専門職」で在留する者又はその配偶者の7歳未満の子(連れ子や養子を含む)を養育する場合や、「高度専門職」で在留する者の妊娠中の配偶者又は妊娠中の「高度専門職」で在留する者本人の介助、家事その他の必要な支援を行う場合になります。また加えて、下記の要件をクリアしている必要があります。

【親の帯同が認められる場合の要件】
1,「高度専門職」で在留する者の世帯年収が800万円以上であること
2,「高度専門職」で在留する者と同居する者
3,「高度専門職」で在留する者又はその配偶者のどちらかの親に限ること

「高度専門職」で在留する人やその配偶者(妻・夫)の両親を、子どもが7歳になるまで子育てを支援してもらうために日本に呼ぶことができます。この制度の注意点として、子どもが7歳になった場合には親は帰国することになります。

世帯年収は、基本的には就職している企業や、経営している企業から得る報酬(給料)が対象となります。報酬には、ボーナスや役職手当などの労働に対する対価にあたる内容は含みますが、通勤手当や住宅手当、扶養手当などは含みません。配偶者の給料は、就労資格等を取得して就労する場合に受ける報酬の年額を合算したになります。
一方で、投資などで得た利益は世帯年収には含めないため注意が必要です。

▶参考:法務省『高度人材ポイント制 Q&A

在留資格の手続きについて

在留資格(ビザ)の申請の流れや必要書類について説明します。

在留資格(ビザ)の申請について

家族滞在は申請できる人やタイミングがあります。また、家族全員が海外にいる場合でも、扶養者の所属予定の企業が代理人になることで家族全員を呼び寄せることが可能です。

いつから申請できるのか

申請のタイミングは、国内にいる場合は、夫婦であれば結婚成立後、子どもであれば出生後速やかに行います。現在、海外にいる場合は、結婚成立・出生後~入国までに行います。

ちなみに、扶養者も海外にいて家族全員で同時入国するような場合でも申請は可能です。日本での就労実績がなくても、扶養者の就労ビザが許可が出ていて、予定の収入から生活が十分に可能と見込まれる場合には許可は出ます。

どこでする申請なのか

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは扶養者がまだ海外にいて家族同時に入国する場合には、受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。

【原則】申請先の決まり
【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰がする申請なのか

基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
呼び寄せたい家族が海外にいる場合には、扶養者が扶養者の住居地を管轄する入管に申請に行くことで申請が可能です。また、申請人と扶養者が両方とも海外にいる場合には、扶養者を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことになります。

届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。
「取次者」の例として、雇用されている・所属している機関の職員、行政書士、弁護士、 登録支援機関の職員がなることができますが、一定の研修を受けて登録された人のみになります。

申請書類・必要書類について

申請書類については、入管のホームページにも記載されています。申請書類についてもそこでダウンロードすることが可能です。

申請書類について

申請書類はこちら(認定申請変更申請)からダウンロードできます。

必要書類について

『家族滞在』の在留資格の申請する際の添付資料は以下になります。
ただし、在留状況によっていかに追加して別の書類を提出したほうがよい場合もあるため、参考程度にして下さい。

必要書類
1 在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請
2 写真(縦4cm×横3cm)
※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
※写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼付して下さい。
3 次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書
(1) 戸籍謄本
(2) 婚姻届受理証明書
(3) 結婚証明書(写し)
(4) 出生証明書(写し)
(5) 上記(1)~(4)までに準ずる文書 適宜
4 扶養者の在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む。)又は旅券の写し
5 扶養者の職業及び収入を証する文書
(1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合
a. 在職証明書又は営業許可書の写し等
※扶養者の職業がわかる証明書を提出してください。
b. 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
(2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合
a. 扶養者名義の預金残高証明書又は給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書 適宜
b. 上記aに準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの

【在留資格認定証明書の場合】
返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 

▶参考:出入国在留管理局のHPはこちら

まとめ

以上、在留資格『高度専門職1号・2号』の方の家族が取得できる在留資格について解説しました。「高度専門職」の場合は、在留資格『家族滞在』以外にも選択できる在留資格があります。配偶者の就労が認められたり、親の帯同が認められる場合があります。それぞれに特徴や要件が異なるため、検討をする際には注意が必要です。

【行政書士からのアドバイス
当事務所では、働く方の就労ビザだけでなくその家族の在留資格の申請も行っております。
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