外国人留学生の新卒採用!面接で絶対に聞いておくべき「ビザの質問」3つ

記事更新日:

優秀な外国人留学生を採用したい。しかし、内定を出した後に「就労ビザが下りず、採用が白紙になってしまった…」という事態は絶対に避けたいですよね。
新卒の外国人採用において、ビザ(在留資格)の要件を満たしているかの確認は不可欠です。しかしここで、多くの人事担当者が「面接のジレンマ」に直面します。実は厚生労働省の指針では、採用選考時に在留カードの提示を求めたり、国籍や経歴について過度に根掘り葉掘り聞くことは「就職差別につながるおそれがある」と注意喚起されています。

「コンプライアンス(差別防止)は守りたい。でも、不法就労やビザ不許可のリスクも事前に見抜きたい…」
本記事では、就労ビザ専門の行政書士が、このジレンマを解決するための「コンプラを守りながらビザのNGフラグを自然に引き出す、面接でのプロの質問術」を解説します。

人事が抱える「面接のジレンマ」と厚労省の指針

厚生労働省が定める『公正な採用選考の基本』では、採用はあくまで応募者の「適性と能力」のみを基準に行うべきとされています。国籍や出生地による就職差別を防ぐため、選考段階(内定前)において以下のような行為は原則として不適切とされています。

  • 在留カードの提示を求めたり、コピーを提出させること
  • 本人の適性・能力に関係のない生活状況等を根掘り葉掘り聞くこと

つまり、企業が在留カードの本格的な確認(不法就労にならないかのチェック)を行うのは、「採用内定後」が基本ルールなのです。「コンプライアンス(差別防止)は守りたい。でも、内定後にいざ確認して『ビザの要件を満たしていなかった(不許可)』となれば、自社も学生も取り返しのつかないダメージを受ける…」

本記事では、就労ビザ専門の行政書士が、このジレンマを解決するための「コンプラを守りながら在留資格の審査におけるNGフラグを自然に引き出す、面接でのプロの質問術」を解説します。

▶厚生労働省:「公正な採用選考をめざして」

留学生のビザ変更(留学から“就労ビザ”)でつまずく「2大原因」

本ページにおける“就労ビザ”は在留資格「技術・人文知識・国際業務」を前提としております。

そもそも、留学生が新卒で入社する際(「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更時)に申請が不許可になる理由のなかでも、特に多いものに以下の2つが挙げられます。

  1. 本人の在留状況(留学生活の実態)
    出席率の低さや成績不良、そして「週28時間のアルバイト制限以上の就労(オーバーワーク)」など、候補者自身の日本での行いが原因となるケース。
  2. 自社が任せる「業務内容」とのミスマッチ
    本人の経歴に問題はなくても、企業側が任せる仕事内容が「技術・人文知識・国際業務」で認められている範囲外の就労と判断されたり、学校で学んだ専攻内容と合っていないケース。

本記事では、特に学生自身の『在留状況』と、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の大切な要件の一つである「学校で学んだこと」と「従事する業務内容の関連性」について解説をします。

【深掘り解説】ビザ不許可を防ぐための法的要件とは?

なぜ上記の2つが原因になるのでしょうか? 実は、法務省が公表している『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』では、就職先での「これからの活動(業務内容等)」だけでなく、日本に入国してからの「今までの在留状況」が適正であったかが極めて厳しく審査されます。

人事担当者が押さえておくべき法的要件を深掘りします。

▶出入国在留管理庁:在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
▶出入国在留管理庁:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

「在留不良」というレッドカード

いくら就職先の条件が良くても、留学生時代の「今までの行い」がブラックであれば許可は出ません。実務上、不許可の原因となる「在留不良」は主に以下の4パターンです。

本来活動の不履行(学業の怠慢)

留学生の本来の目的は「学業」です。出席率の低迷(一般的に80%未満は厳格審査の対象となります)、単位取得不足、著しい成績不良などがある場合、「学生としての本分を果たしていない」とみなされマイナス評価となります。

資格外活動違反(オーバーワーク)

原則「週28時間以内(長期休業期間は週40時間以内)」というアルバイトの制限時間を超えて働いていた場合です。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合はすべての労働時間が合算されます。発覚すれば一発不許可になるリスクが非常に高い、最も多い不許可理由の一つです。

素行不良(法令違反)

窃盗や傷害などの刑事事件はもちろんですが、実務上見落とされがちなのが交通違反です。無免許運転や飲酒運転などの重大な違反がある場合、素行不良と判断されます。

公的義務の不履行(税金・保険・届出)

アルバイト収入に対する税金(住民税など)の未納や、国民健康保険料・国民年金保険料の滞納です。また、引越しをした際の市区町村への届出を怠っている場合も義務違反となります。

「勉強との関連性」〜大卒と専門卒の決定的な違い〜(これからの状況)

次に、自社での業務内容とのミスマッチを防ぐ上で、人事が最も注意すべきなのが「大卒」と「専門学校卒」の審査基準の違いです。

  • 大学卒:
    大学は「広い教養を身につける場所」とされているため、専攻と業務内容の関連性は「比較的ゆるやか」に審査されます。(例:文系の学部からITエンジニアへの就職も、一定の条件を満たせば十分に可能です)
  • 専門学校卒(厳格審査):
    大卒者が比較的緩やかに審査されるのに対して、専門学校は「特定の職業に必要な技術を学ぶ場所」とされるため、学校で学んだ内容と実際の業務内容に「完全な一致(強い関連性)」が求められます。ここの見極めが甘いと、不許可に直結します。

コンプラを守りながらリスクを見抜く「プロの代替質問3つ」

【大前提】まずは「現在の在留資格」と「在留期限」の把握を

具体的な質問に入る前に、人事担当者が内定を出す時点で絶対に把握しておくべき基本情報があります。それは候補者の「現在の在留資格の種類(例:留学)」と「在留期限」です。

前述のとおり、厚労省の指針では「面接の場で在留カードの提示(物理的な確認)を求めること」は推奨されていませんが、現在のビザの種類や有効期限を口頭や履歴書等で確認すること自体は問題ありません。在留期限が切れていないか、そもそも就労ビザへ変更可能な資格を持っているかの確認は、採用プロセスのスタートラインです。(※在留カードの原本確認は、内定後や入社手続きの際に必ず実施してください)

よくある事ですが、「留学生」だと思っていたら、既に卒業をしていて「特定活動(就職活動)」で在留する“元留学生”だった、ということは割とあります。留学生の中には秋卒業の方もいて、翌年の春に入社していただこうと計画していたけれども、実は在留期限満了が1か月後だった、ということは珍しくありません。

「法的要件」を自然に引き出す3つの質問

基本情報を把握した上で、直接的な尋問(「在留カードを見せて」「28時間守ってた?」)を避け、一般的な面接の質問の中にビザの確認要素を紛れ込ませる「代替質問」をご紹介します。

質問① 専攻一致の確認(これからの状況への対策)

❌ NG:「ビザを取るために、学校でITを勉強していたことを証明できますか?」
⭕️ OK:「卒業制作(またはゼミの研究)のテーマは何でしたか? その経験は、当社の〇〇という業務でどう活かせそうですか?」

【プロの視点】※主に専門卒の場合
単なる学歴確認ではなく、入管が求める「専門性の関連度」を本人の口から具体的に説明させる質問です。ここで「御社で任されるプログラミング業務と、卒業制作で使った言語が同じです」と明確に語れる候補者は、許可率も高くなります。

前述の通り、大卒の場合は勉強内容と従事する業務内容の関連性は比較的緩やかに審査されます。

質問② オーバーワークをしていないかの確認

❌ NG:「アルバイトは週28時間以内におさめていますか?出席率は大丈夫ですか?」
⭕️ OK:「学業とアルバイトの両立は大変だったと思います。一番忙しかった時期は、どのようにタイムマネジメントをして乗り越えましたか?」

【プロの視点】
苦労話や自己PRとして語らせる中で、「稼ぐために夜勤に週5日入って…」「実は学校にあまり行けず…」といった、前述の「在留不良」に該当する危険な発言が出ないか、生活実態を自然にスクリーニングします。

「オーバーワーク」は留学から「技術・人文知識・国際業務」への切り替えで不許可理由として多いものになります。この理由で不許可になれば、基本的には再申請できず、帰国するしかありません。

質問③ 出席率・成績の確認(本来活動の不履行リスクの対策)

❌ NG:「学校には毎日ちゃんと通っていましたか?出席率は何パーセントですか?」
⭕️ OK:「学生生活で、学業において『最も継続して頑張った』と胸を張れることは何ですか?例えば、得意科目の成績や、日々の出席率など、客観的にアピールできるものがあれば教えてください。」

【プロの視点】
入管の審査において、「出席率」や「成績」は、留学生が学生としての本分を果たしているか(本来活動の不履行がないか)を判断する最重要指標です。自己PRを促すこの質問に対し、出席率について言葉を濁したり、具体的な実績をアピールできない候補者は、出席率が著しく低い(80%未満など)「在留不良」のリスクが潜んでいる可能性があります。後日、成績証明書や出席証明書を正式に提出してもらう前の、自然な初期スクリーニングとして非常に有効です。

質問する際の必須の「クッション言葉」

最後に、これらの質問をする前に必ず伝えていただきたい「前置き(クッション言葉)」があります。

「これから伺う内容は、選考の合否を決めるためのものではありません。もしご縁があって当社に入社していただく際、私たちが責任を持って確実なビザ申請サポートを行うために、いくつか現在の状況を確認させてください」

この一言を添えるだけで、厚労省の指針(差別防止)に配慮している姿勢が伝わり、候補者も「自分のために聞いてくれているんだな」と安心して正直に答えてくれます。

まとめ

面接での見極めには限界があります。「この専攻で、うちの業務内容のビザは下りるのだろうか?」「少し過去のアルバイト状況がグレーかもしれない…」など、少しでも不安を感じる候補者がいた場合は、必ず「内定を出す前」に専門家へご相談ください。内定を出してからの発覚では、企業も候補者も大きなダメージを負ってしまいます。
当事務所では、企業様向けに外国人雇用の事前のビザ診断や、確実な申請サポートを行っております。新卒採用でお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

就労ビザの申請代行や外国人雇用でお困りの方、ご相談下さい。

当事務所は、出入国在留管理庁(入管)に対する、海外在住者の招へいのための手続きや、国内在留者の就労ビザへの変更の申請代行を行なっております。初回相談無料。

お問い合わせには1営業日以内に回答致します。

  • まずは、じっくりお話をお伺いさせていただきます。初回は基本無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
  • ご相談はご来所もしくはZoom等を利用したビデオ会議システムで行います。
  • お問合せ時の注意点
メールでのお問い合わせ





    【ご確認ください】

    ページトップへ戻る