特定技能2号がこれまで2分野のみであったのが11分野に拡大し、1号として在留できる最長期間5年の到来を目前にして、特定技能2号評価試験の実施が始まりました。在留資格「特定技能2号」はより高度な業務に従事する人材として期待されています。外国人は「特定技能2号」になるためには、分野ごとに設定された試験の合格と決められた業務についての実務経験が必要です。
本編では、「特定技能2号」になるための条件や試験、手続きについて解説します。
▶参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」
特定技能1号と2号の違いについて
「特定技能2号」は、「特定技能1号」よりもより熟練した技能が求められ、マネジメントや管理業務を行う活動を行うための在留資格(ビザ)になります。「技能実習生」よりも「特定技能1号」の方が熟練した人材、という位置づけでしたがさらに業務に精通し管理業務まで担うことができるのが「特定技能2号」になります。
・特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 通算で上限5年まで | 3年、1年または6か月ごとの更新 |
技能水準 | 試験等で確認 (技能実習2号修了者は試験免除) | 試験等で確認 |
日本語能力水準 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号修了者は試験免除) | 分野による |
家族の帯同 | 基本的に認められない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
支援 | 支援の対象 | 支援の対象外 |
特定技能2号を申請するための条件
「特定技能2号」の在留資格(ビザ)になるためには、外国人・雇用主・契約内容等それぞれが満たさなければならない要件・基準があります。これらの基準は「特定技能1号」と同じぐらい多くの項目を確認されることになります。特定技能は、「誰」でも「どの事業所」でも雇用することができる在留資格ではありません。
外国人についての要件(技能レベル、納税義務、技能移転について)
「特定技能2号」人材が満たす必要のある基準について、特定技能外国人受入に関する運用要領において下記の通り書かれています。
① 18歳以上であること
特定技能外国人受入れに関する運用要領
② 健康状態が良好であること
③従事しようとする業務に必要な熟練した技能を有していることが試験その他の評価方法により証明されていること。
④ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
⑤ 保証金の徴収等をされていないこと
⑥ 費用負担のについて合意を得ていること
⑦ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
⑧元技能実習生であった場合には、本国への技能移転に努めるものと認められるもの
⑨分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
① 18歳以上であること
入国予定日を基準に18歳以上でなければなりません。申請日は18歳未満でも問題ありませんが、申請書から入国予定日が18歳未満となることが読み取れる場合は不許可になる可能性があるため注意が必要です。
② 健康状態が良好であること
申請日の3ヵ月前に遡って健康診断を受診します。日本で問題なく就労ができることの診断書を申請時に提出することになります。結核が流行っている地域から入国する場合には、健康診断のほかに結核スクリーニング検査が必要になる場合もあるので、最新の情報を確認するようにして下さい。
健康診断で診断しなくてはならない項目は「参考様式1-3 健康診断個人票」(ダウンロードはこちら)の全てになります。フォーマットはこれでなくても問題ありませんが、全ての項目の診断がされていなければなりません。
③従事しようとする業務に必要な熟練した技能を有していることが試験その他の評価方法により証明されていること。
特定 産業分野 | 試験 | 実務経験 |
---|---|---|
ビルクリーニング | 「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」 又は「技能検定1級」 | 建物の清掃業務に複数の作業員を指導、現場を管理する者として、2年以上。 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 「製造分野特定技能2号評価試験」 及び「ビジネス・キャリア検定3級」 又は「技能検定1級」 | 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験、3年以上 |
建設 | 「建設分野特定技2号評価試験」、「技能検定1級」 又は「技能検定単一等級」 | 能力評価基準のレベル3に対応する必要な就業日数(職⾧及び班⾧)、0.5年~3年(職種による) ※詳しくはこちら p.57 |
造船・舶用工業 | 「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」 又は「技能検定1級」 | 監督者として複数の作業員を指揮・命令・管理しながら、造船・舶用工業における実務経験、2年以上 |
自動車整備 | 「自動車整備分野特定技能評価2号試験」 又は「自動車整備士技能検定試験2級」 | 道路運送車両法第 78 条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場の実務経験(分解、点検、調整等の整備作業)、3年以上 |
航空 | 「航空分野特定技能2号評価試験」 又は「航空従事者技能証明」 | ・空港グランドハンドリング: 空港グランドハンドリングの現場において技能者を指導しながら作業に従事した実務経験 ・航空機整備区分: 国家資格整備士等の指導・監督の下、ドック整備や材料・部品等の領収検査等、機体、装備品等の専門的・技術的な整備業務の実務経験、 3 年以上 |
宿泊 | 「宿泊分野特定技能2号評価試験」 | 国内外の宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に従事した実務経験、2年以上 |
農業 | 「2号農業技能測定試験」 | 耕種農業若しくは畜産農業の現場において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者と しての実務経験、2年以上 又は、耕種農業若しくは畜産農業の現場における実務経験、3年以上 |
漁業 | 「2号漁業技能測定試験」 及び「日本語能力試験N3以上」 | ・漁業区分:漁船法上の登録を受けた漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者 又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上 ・業務区分:養殖業 漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上 |
飲食料品製造業 | 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」 | 飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験、2年以上 ※1号特定技能外国人を「工程を管理する者」として従事させる際は、客観的に証明する書類、例えば辞令や職務命令書等をもって、上記に例示した役職を命じ、業務に従事させることが必要 |
外食業 | 「外食業特定技能2号技能測定試験」 及び「日本語能力試験N3以上」 | 飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外 国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験、2年以上 |
※“実務経験”の定義や細かい条件は、それぞれの分野別の要綱に記載があります。「特定技能2号」を考えている場合には、まずはそれぞれの分野の運用要領のご確認をお願いします。
▶参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」
④ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
「退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域」は告示で定められています。2023年11月時点で、特定技能として雇用することができない国・地域は、以下の通りです。
- イラン・イスラム共和国
⑤ 保証金の徴収等をされていないこと
日本で特定技能人材として就労するために、外国人本人やその親族が「保証金」の徴収や財産の管理、違約金の契約をさせられることはあってはなりません。これは、雇用主となる受入機関だけでなく、登録支援機関、人材紹介会社、その他仲介事業者・ブローカー等を含め、母国・日本どちらも問わずに禁止されています。
また、「保証金」や「違約金」というった名目でなくても、財産を管理するような行為全般が禁止されています。
⑥ 費用負担のについて合意を得ていること
在留中に給料から「家賃」や「水道光熱費」等、特定技能人材が負担すべき内容を天引きする場合には、本人の分かる言語で説明し理解・合意を得たうえで、労働基準法に則って対応する必要があります。
これらの費用負担については、社会通念上合理的な金額であれば問題ありませんが、不当に儲けが出る場合などは認められません。基本的に、実費や社内規則に則った金額である場合には問題ありません。
※天引きする金額が社会通念上合理的であることの説明は、申請時に申請書類内で説明をする項目になってきます。
⑦ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
悪質な仲介事業者・ブローカーの排除を目的として、外国政府との情報共有の枠組みの構築を目的に、二国間の取り決めを送出し国政府との間で「遵守すべき手続き」があります。
国によって手続きをするタイミングは異なりますが、2022年1月現在で事前に手続きを行い、申請書類の一部として提出が求められる国籍は「ベトナム」「タイ」「カンボジア」の3か国になります。
▶国別の情報についてはこちらで確認することができます。
⑧元技能実習生であった場合には、本国への技能移転に努めるものと認められるもの
「技能実習」という制度は、実習制度を通じて習得した技能を本国へ移転することを目的に来日しています。現状、「技能実習」を終えたあと、技能移転をすることなく「特定技能1号」「特定技能2号」へ移行することが可能ですが、「技能を本国へ移転する義務」が無くなるわけではありません。
「特定技能2号」に変更するにあたり、技能実習において習得した技能を本国へ移転することに努めていることが求められますが、このことについて運用要領では下記のように書かれています。
「努めるものと認められること」とは、本邦で修得等した技能等の本国への移転に努めるこ
特定技能外国人受入れに関する運用要領
とが見込まれることをいい、実際に本国への移転を行い成果を挙げることまでを求めるもので
はありません。
⑨分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
特定産業分野ごとの特有の事情にかんがみて個別に定める基準に適合していることが求められます。
▶特定産業分野ごとの運用要領はこちらで確認することができます。
就業先についての要件
『特定技能』で雇入れることができるのは、11分野の業種と決められております。まずは、これらの業種に当てはまる必要があります。
※介護分野については、介護福祉士を取ることで在留資格「介護」に変更が可能です。
従事可能な事業所の要件を満たしていること
特定 産業分野 | 従事可能な事業所の要件について |
---|---|
ビルクリーニング | 建築物清掃業又は建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所において受け入れること |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 事業所で下記の日本標準産業分類に該当する製品の製造を扱っていること 2194 鋳型製造業(中子を含む)、225 鉄素形材製造業、235 非鉄金属素形材製造業、 2424 作業工具製造業、2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)、 245金属素形材製品製造業、2465 金属熱処理業、2534 工業窯炉製造業、 2592 弁・同附属品製造業、2651 鋳造装置製造業、 2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業、2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業、 2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)、3295 工業用模型製造業 2422 機械刃物製造業、248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業、 25 はん用機械器具製造業(ただし、2534工業窯戸製造業、2591消火器具・消火装置製造業及び 2592弁・同附属品製造業を除く)、26 生産用機械器具製造業(ただし、 2651鋳造装置製造業、2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業及び 2692非金属用金型・同部分品・附属品製造業を除く)、 270 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)、 271 事務用機械器具製造業、272 サービス用・娯楽用機械器具製造業、 273 計量器・測定器・分析機器・試験 機・測量機械器具・理化学機械器具製造業、275 光学機械器具・レンズ製造業 28 電子部品・デバイス・電子回路製造業、29 電気機械器具製造業(ただし、2922内燃機関 電装品製造業及び2929その他の産業用電気機械器具製造業 (車両用、船舶用を含む)を除く)、30 情報通信機械器具製造業 |
建設 | ・建設業法第3条第1項の許可を受けていること ・建設キャリアアップシステムに登録していること ・告示第10条の登録を受けた法人又は当該法人を構成する建設業者団体に所属し、同条第1号イに規定する行動規範を遵守すること |
造船・舶用工業 | 造船・舶用工業を営むことを国土交通省より確認された事業所において受け入れること |
自動車整備 | 道路運送車両法に基づき地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること |
航空 | ・空港グランドハンドリング区分: 承認や営業を認められて、空港グランドハンドリングを営む者 において受け入れること ・航空機整備区分: 航空法による認定を受けた事業者もしくはその事業者から業務の委託を受けた事業者 |
宿泊 | 旅館・ホテル営業の形態かつ以下の条件を満たすこと ・ 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること ・ 風俗営業法に規定する「施設」(ラブホテル等)に該当しないこと ・ 特定技能外国人に対して風俗営業法に規定する「接待」を行わせな いこと |
農業 | 過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6ヶ月以上継続して雇用した経験があること |
漁業 | 漁業・養殖業の業務を扱っている事業所 |
飲食料品製造業 | 下記のいずれかの分類を主たる業務として行っている事業所であること ・中分類09 食料品製造業 ・小分類101 清涼飲料製造業 ・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く) ・小分類104 製氷業 ・細分類5861 菓子小売業(製造小売) ・細分類5863 パン小売業(製造小売) ・細分類5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(*製造小売に限る) |
外食業 | 下記のいずれかの飲食サービスを提供している事業所であり、保健所長の営業許可を受けているか、営業許可が必要ない場合は届出を行っている。 ・客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業 ・飲食することを目的とした設備を事業所内を有さず、客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業 ・客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業 ・客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業 |
受入企業が満たしていなければならないその他の要件
特定技能外国人を適切に受入れるためには、最低限、受け入れ企業が満たしていなければならない条件・基準があります。下記の内、どれか一つでも満たさない基準がある場合には、特定技能人材を雇用することはできません。
① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
特定技能外国人受入れに関する運用要領
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
上記の詳細な解説については以下の記事で説明しています。
雇用契約についての要件
特定技能では就業場所や業務内容、雇用条件に含まなければならない内容などの決まりがあります。
特定技能2号で従事する業務内容について
「特定技能2号」では、従事可能な業務が分野ごとに決められています。「特定技能1号」よりレベルが上がった業務に従事することになります。注意点として、実務要件を満たして「特定技能2号」になった場合、当然ですが「特定技能1号」と同じ業務内容では不適切です。必ずレベルアップした業務(下記に記載された業務内容。詳しくは運用要領の分野別の冊子をご確認ください)に従事をさせてください。
特定 産業分野 | 業務内容 |
---|---|
ビルクリーニング | 建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務及び同業務の計画作成、進行管理その他のマネジメント業務 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 複数の技能者を指導しながら、素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事し、工程を管理 |
建設 | 複数の建設技能者を指導しながら、土木施設や建築物、ライフライン設備の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事し、工程を管理 |
造船・舶用工業 | 塗装区分:複数の作業員を指揮・命令・管理しながら塗装作業(金属塗装作業、噴霧塗装作業)に従事 ※他区分も同等の業務内容 |
自動車整備 | 他の要員への指導を行いながら従事する自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する一般的な業務 |
航空 | 空港グランドハンドリング:社内資格等を有する指導者やチームリーダーとして、地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等に従事し、工程を管理 航空機整備:自らの判断により行う、機体、装備品等の専門的・技術的な整備業務等 |
宿泊 | 複数の従業員を指導しながら、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務 |
農業 | 耕種農業区分(耕種農業全般、栽培管理、農産物の集出荷・選別等)及び当該業務に関する管理業務 |
漁業 | ・漁業区分:漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)、操業を指揮監督する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理。 ・養殖区分:養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収穫(穫)・処理、安全衛生の確保等)、養殖を管理する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理 |
飲食料品製造業 | 飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工及び安全衛生の確保)及び当該業務に関する管理業務 |
外食業 | 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)及び店舗経営 |
「特定技能2号」で求められる雇用条件について
特定技能に限らず人材を雇用する際には雇用契約を結びます。これは、特定技能人材も同じです。そして、“外国人だから”・“特定技能人材だから”といった不当な理由で差別をすることは許されません。下記は、雇用契約に記載する内容になります。
これらの内容は「特定技能1号」でもあった要件にはなりますが、「特定技能2号」でも同じように満たさなければならない条件になりますが、「特定技能だから」といった特殊な要件はありません。
① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること(※前項で説明した内容)
特定技能外国人受入れに関する運用要領
② 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
④ 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
特に注意が必要なポイントとして給料の決め方が挙げられますが、そちらについては下記の記事で詳しく解説しておりますので、是非参考にしてください。
「特定技能2号」を申請するための手続きについて
在留資格の手続きは、「特定技能1号」から変更する場合や、別の会社で「特定技能2号」で働いている人が転職する場合は「在留資格変更許可申請」、海外にいる人材を呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。必要な書類、申請場所等について説明します。
手続きの種類について
外国籍人材が日本にいる場合と海外にいる場合で考え方は異なりますが、基本的なルールとして「就業を開始する前」までに在留資格の「取得」が完了していなければなりません。申請から許可まで数か月に審査期間が及ぶ場合もありますが、「許可」を得て新しい在留カードを得るまでは活動はできません。
「特定技能2号」の場合で、在留資格の手続きが必要になる場合は主に3パターンです。
- 内定者が海外にいる場合
- 自社もしくは他社で「特定技能1号」であった人を「特定技能2号」に変更する場合
- すでに「特定技能2号」の人が転職をして「特定技能2号」で働く場合
1の場合は、「在留資格認定書交付申請」を行います。就職先の会社の人が代理人となって申請をします。認定証明書が発行されたら母国にいる本人に郵送し、本人が査証に変えて入国することになります。
2の場合は、「特定技能1号」から切り替えを行うために「在留資格変更許可申請」をします。注意点としては、他社で働いている人が転職をする場合は、申請結果の許可が下りて在留カードの切替が完了してからでないと就労できないことです。審査期間も半年に及ぶ場合があります。間違っても見切りで入社することが無いようにしてください。
3の場合は、他社で「特定技能2号」で働いていて転職をした際には、転職後も同じ業務をする場合であっても、「在留資格変更許可申請」を行います。転職の場合には、新しい在留カードをもらうまでは新しい職場で働けませんので注意が必要です。
必要書類について
必要書類については分野ごとに異なります。
出入国在留管理庁のこちらのページに掲載がありますので、こちらをご確認ください。
また、必要書類や参考様式はこちらのページからダウンロードできます。
どこで申請するのか
基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。
申請先については下記の通り 決まりがあります。
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署 | 管轄する区域 |
---|---|
札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県 |
東京出入国在留管理局 | 東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、 群馬県、山梨県、長野県、新潟県 |
名古屋出入国在留管理局 | 愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県 |
大阪出入国在留管理局 | 大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県 |
広島出入国在留管理局 | 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、 沖縄県(那覇支局が管轄) |
分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。
▶出入国在留管理庁:管轄について
誰が申請をするのか
基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことができます。
この場合、代理人は申請書に名前を記載する代表取締役などに限らず、受け入れる機関の「職員」であれば問題ありません。また、グループ会社の人事関連業務を行う会社の職員も含みます。
一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。
特定技能2号の試験実施状況について
特定技能2号の試験の実施状況についてはこちらでまとめております。
月に1回更新をしています。
まとめ
以上、「特定技能2号」の条件や試験について解説しました。
「特定技能2号」では「特定技能1号」と同様に、業務内容や就業できる事業所の要件があり、技能レベルの確認も試験合格のみならず、各分野で決められた期間の実務経験が必要です。中には「指導する立場になってから●年」といったように「特定技能2号」を検討する場合には、事前に把握をして5年経過をするまでに要件を達成するようなキャリアプランが必要な場合もあります。
「特定技能2号」人材は、人手不足が著しい分野では必ず戦力になります。是非、検討されるのがよいのではないでしょうか。