4月・10月入社の新卒の留学生の就労ビザへの変更手続きは、卒業を待つことなく申請をすることができますが、例年春卒業の場合は12月1日から受け付けてもらえます。この場合、「卒業見込み」として申請し、実際に卒業してから入社までの間に新しい在留カードを受取ることになります。
しかし、春時期は入管が一番混雑している時期で、どうしても思い通りのスケジュールにならないこともあります。早めに申請することをお勧めします。
3月卒業の留学生のビザ申請の受付はだいたい12月1日から
留学生の変更申請は、内定を出してから入社までの間に行いますが、春卒業の学生の場合は例年12月1日から申請ができます。
新卒留学生の申請は早めにすることができます
春卒業(3月卒業)の留学生の在留資格変更の受付は、入管や年にもよりますが12月1日から受理されます。在留資格申請の準備は、だいたい2,3週間程度でできますので、予め内定者が確定している場合には11月に入ったら準備を始めて、12月になったらすぐに申請をすることをお勧めします。
もし、12月以降に内定が決まった場合には、内定と同時に在留資格申請の変更準備を始めてください。
一方で、秋卒業(10月1日)入社の方の申請については、入管に問い合わせた際には「卒業の代替1か月前ぐらいに申請に来てください」と言われましたが、特に混雑している入管では1ヶ月では許可が出ないことが多いので、入管に相談しながら早めに申請するのがよいでしょう。
「卒業見込み」で申請をしても問題ない?
12月に申請するとなると、当然ステータスは「卒業見込み」です。在留資格「技術・人文知識・国際業務」の学歴要件には、「大卒相当以上、もしくは日本の専門学校卒業」とあります。しかし、「卒業見込み」のステータスで申請をすることはできますので、卒業式を待つ必要はありません。
ただし、これは国内の留学生の場合です。海外の学校を卒業した場合、「卒業見込み」で申請をすること自体は可能ですが、許可の連絡(はがき)は実際に卒業をして、卒業証明書を入管に提出した後に届きます(当事務所の過去の経験上。入管や時期によっては違う運用があるかもしれません)。
新卒者の在留資格の手続きから入社までの流れ
新卒採用(来春・3月卒業生)の場合は、例年12月から申請の受理が開始され、実際に在留カードを受け取るのは、卒業式が終わってから入社までの間になります。
先ほども説明した通り、「技術・人文知識・国際業務」の学歴要件は「大卒相当以上、もしくは日本の専門学校卒業」ですので、単位不足で卒業できなかった場合は、やはり「技術・人文知識・国際業務」は許可されませんので、申請は取り下げることになります。
在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更する手続きは、内定をもらってから(雇用契約を交わしてから)入社するまでの間に行います。在留資格申請のためには、必要書類を集めて、申請書類や理由書を作らなければなりません。準備期間は2~3週間を見ておきましょう。準備が整ったら、入管に申請をします。
「卒業見込み」で申請をすると、「学校を卒業すれば在留カードを渡します」という状態になれば(イメージとしては“許可の内定”)、右のようなはがきが届きます。卒業証明書を在留カード受取カウンターで見せることで、「技術・人文知識・国際業務」の在留カードをもらえるという流れになります。
※繰り返しですが、この流れは国内の新卒の場合です。海外の大学卒業者の場合にはこの流れにはなりません。
このはがきが届いて、学校を卒業したら、入社日までに在留カードを取りに行きます。「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを受取った日から働くことができます。
一方で、既に就労ビザの要件を満たしている場合には、上記のような赤字の注意書きはありません。基本的には学校を卒業してから入社日の間までに受け取ることになります。
「すでに就労ビザの要件を満たしている場合」とは、母国で大学を卒業した後に、日本で大学院や専門学校、日本語学校に通っている場合です。
入社日(4月1日まで)に許可が出ない場合は?
新卒の入社日は4月1日と決まっている会社は少なくありません。しかし、留学生の場合、4月1日に入社するためには新しい在留カードを受取ってからになりますが、近年、申請件数が急増していることが理由に、審査期間が長くなっていて、4月1日に入社が間に合わない場合があります。
例年の新卒者の審査期間の傾向は?
申請は基本的には申請した順番に審査が始まりますが、案件によっては優先処理されたり(例えば、在留期間満了日が近いものや「高度専門職」、上場企業の申請の場合)、慎重に審査されることになり余計に時間がかかる場合もあります。同じ「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への申請であっても、時期や内容によって3週間~7か月と審査期間に幅があります。
出入国在留管理庁が発表している統計資料
出入国在留管理庁ホームページに「在留審査処理期間」が公表されています。
以下は、2024年1月~3月の統計データです。
▶出典:出入国在留管理庁「在留審査処理期間」
上記だけ見ると、「技術・人文知識・国際業務」への変更申請は概ね2か月のように見えますが、この統計でーたは全国の入管の平均日数であることに注意が必要です。入管によっては比較的すいている入管と、混雑をしている入管があります。例えば、東京入管は比較的混雑している入管になりますが、この表の日数が平均と考えると、2か月以上かかることを想定したほうがよいでしょう。
当事務所の傾向
審査期間は、提出先の入管の混雑状況以外に、申請の内容にも左右されるので一概には言えないところがありますが、春時期は最も入管が混雑している時期ですので、2023年までは新卒者の申請の審査期間は大体1~2か月程度でした。2月に出せばギリギリ4月1日入社に間に合うか、間に合わないかというような状況でした。しかし、2024年については、審査期間は2~3ヶ月程度の印象です。つまり、4月1日入社に間に合わせるのであれば、12月中(年内)に申請をしたいところとも言えます。注意書きになりますが、12月1日に申請をしても4月1日入社が絶対に間に合うとも限りません。
入社予定日までに許可が出ない場合はどうなる?
入社予定日までに就労ビザの許可が出ない場合には、残念ながら待機するほかありません。
留学生の時に資格外活動許可を得て行っていたアルバイトは、学校を卒業すると効力が無くなるため、週28時間以内でも働くことはできません。
時々、「研修を無給で行い、許可後に“お祝い金”のような形で還元することは可能か」とおと言わせいただきますが、答えがたい質問になりますので、入管に直接お問い合わせをされるのがよろしいかと思います。
いつ内定が出るかにもよりますが、12月より前に出ている場合には、計画的に準備をして12月になったらすぐに申請されることをおすすめします。
特に2024年については、2月上旬にした申請も4月1日に間に合わなかったケースが散見されました。可能な限り早めに申請するに越したことは無い、と言えます。
まとめ
以上、留学生の在留資格変更の流れについて説明しました。
春と秋の卒業シーズンはとにかくも入管は混雑します。春卒業の場合は12月から申請ができますので、それよりも前に内定が出ている場合は、早めに準備を始めて12月に申請をすることをお勧めします。内定の時期によっては、4月1日入社に間に合わないこともあります。許可が出てから(新しい在留カードを受取ってから)入社になりますので、そのことも考慮してスケジュールを立てる必要があります。
当事務所では在留資格のお手続きをサポートしておりますので、お気軽にお問い合わせください。