デザイナー・CGクリエイター等のビザ申請、内製化は損?プロに頼むべき?判断基準を解説

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デザインやゲーム、映像制作といったクリエイティブ業界において、外国人材の活用は事業成長に不可欠な要素となっています。しかし、優秀なデザイナーやクリエイターの採用が決定した後、多くの企業が直面するのが在留資格(ビザ)申請という実務的な課題です。
申請手続きを自社で行う「内製化」はコスト削減の点で魅力的ですが、専門知識の不足から申請が長期化、あるいは不許可となり、事業計画に影響を及ぼすリスクも内包しています。
本記事では、ビザ申請を内製化する場合と専門家に依頼する場合、それぞれのメリット・デメリットを比較し、貴社にとって最適な選択をするための判断基準を具体的に解説します。

ビザ申請の「内製化」そのメリットと“隠れた”デメリット

外国人デザイナー等を雇用する際、在留資格申請を自社で行う「内製化」は、多くの企業にとって選択肢の一つとなります。これは、直接的な外部委託費用を抑制できる点で、経営上のメリットがあると判断されるためです。しかし、その判断にはデメリットと潜在的リスクの検討も不可欠です。

内製化のメリット

内製化を選択する主なメリットは、以下の2点に集約されます。

外部委託費用の削減

行政書士等の専門家へ支払う外部委託費用が直接的に発生しないため、短期的なコストを圧縮できる点が最大の利点です。特に設立間もない企業や、採用コストを厳密に管理したい場合、この初期費用の削減は大きな魅力となります。捻出できた予算を、採用した人材の給与や開発環境の整備といった、事業の根幹に関わる部分に充てることも可能です。

社内へのノウハウ蓄積

一度、申請プロセスを自社で完遂すれば、その経験は将来の資産となります。手続きの流れや必要書類に関する知見が社内に蓄積されることで、二人目以降の外国人材採用をより迅速かつ主体的に進められるようになります。担当者が社内の専門家として成長し、組織全体の対応力を高めるきっかけにもなり得ます。

内製化のデメリットと潜在的リスク

一方で、内製化には表面的なコスト削減効果を上回る可能性のある、以下のデメリットとリスクが存在します。

担当者の工数という「間接コスト」の発生

在留資格申請には、関連法規の調査、書類の収集・作成、入管との折衝など、専門知識がない場合には相応の工数を要します。初めての申請の場合は、担当者が本来のコア業務に充てるべき時間をこれに費やすことになりかねません。

煩雑な「追加資料提出通知」への対応

申請内容の専門性について立証が不十分な場合や、そもそも申請時点で提出すべき書類が不足している場合、入管から「追加資料提出通知」が届くことがあります。この通知への対応は、専門家でなければ非常に困難です。通知書に記載された要求の意図を正確に読み取り、審査官が抱く懸念を払拭できる的確な資料を、定められた期限内に準備・提出する必要があります。この対応を誤ると、申請不許可に直結します。

「不許可」による事業計画への影響

事業継続における最大のリスクは、書類の不備や専門性の立証不足による申請不許可です。一度不許可となると再申請の難易度は格段に上がり、予定していた人材の投入が不可能になることで、事業計画そのものに遅延や変更を強いることになります。

専門家(行政書士)に依頼するメリット・デメリット

内製化と対をなす選択肢が、行政書士などの専門家への外部委託です。ここでは、そのメリットとデメリットを客観的に分析します。

専門家へ依頼するメリット

専門家への依頼は、単なる「代行」以上の価値があると言えます。

手続きの確実性と精神的安心感

専門家は、最新の出入国管理法や審査実務に精通しており、審査官が求めるポイントを的確に押さえた申請書類を作成します。これにより、申請不許可のリスクを最小限に抑え、手続きがスムーズに進む可能性が高まります。また、「この書類で本当に十分だろうか」といった手続き上の不安から解放され、担当者が精神的な負担なく業務に臨めることも大きなメリットです。

担当者の負担軽減と本業への集中

煩雑な申請業務をすべて外部委託することで、社内の担当者は本来のコア業務にリソースを集中させることができます。これは、内製化で発生しうる「見えないコスト」を削減し、組織全体の生産性を向上させることに直結します。

専門家へ依頼するデメリット

デメリットは、以下の1点に集約されます。
当然ながら、専門家への依頼には報酬という直接的な費用が発生します。これを事業上の必要経費と捉えるか、削減すべきコストと捉えるかが、企業にとっての判断の分かれ目となります。

【判断基準】あなたの会社はどっち?専門家への依頼を検討すべきケース

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、最終的に自社はどちらの選択をすべきか。その判断基準は、企業の状況や許容できるリスクの度合いによって異なります。ここでは、特に専門家への依頼を強く推奨する4つのケースを具体的に解説します。一つでも当てはまる場合は、内製化のリスクを慎重に検討すべきでしょう。

ケース①:初めて外国人を採用する場合

何事も、最初が最も時間と労力がかかります。申請全体の流れや必要書類、入管とのやり取りなど、手探りで進めることによる時間的コストと不許可リスクは計り知れません。まずは専門家と共に一度成功体験を積むことが、将来のノウハウ蓄積への最も確実な近道です。

ケース②:設立して間もないスタートアップ企業の場合

設立間もない企業は、事業の安定性・継続性の面でより慎重な審査を受ける傾向にあります。提出する書類も場合によっては新設でない企業と比較して多くなっていることから、スムーズな申請のためにも、専門家のサポートは心強いものになるかと思います。

ケース③:採用担当者が他の業務と兼任している場合

多くの中小・ベンチャー企業では、人事担当者が総務や経理などを兼任しています。コア業務が多忙な中で、複雑なビザ申請に時間を割くのは現実的ではありません。業務効率と本業への集中の観点から、外部委託が賢明な判断と言えます。

ケース④:とにかくリスクを避け、確実性と速度を優先する場合

「このプロジェクトに、この人材は絶対に必要だ」という重要な採用であれば、不許可というリスクは絶対に避けたいはずです。費用をかけてでも、確実性とスピードを最優先したい場合は、迷わず専門家を頼るべきでしょう。

さいごに 専門家選びのポイント

外国人デザイナーやクリエイターのビザ申請を内製化するか、専門家に委託するか。この判断は、企業の状況やリスク許容度によって変わります。表面的な費用だけでなく、担当者の時間という「見えないコスト」や不許可リスクも考慮し、総合的に判断することが重要です。
そして、もし専門家への依頼を選択された場合に、最も重要なのが専門家選びです。行政書士と一言で言っても、その専門分野は相続、建設業許可など多岐にわたります。外国人雇用に関わる入管業務は、その中でも特に専門性が高い分野です。

依頼を検討する際は、必ずウェブサイトなどで実績を確認し、「就労ビザ」や「入管業務」を専門的に取り扱っている行政書士を選ばれるようにされてください。

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