【素形材産業分野】特定技能人材を雇用するまでの流れとビザ申請について

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金属部品等の加工を行う素形材産業分野では、著しい人手不足に陥っています。この分野では、従来は技能実習生が活躍している分野でしたが、2019年5月に創設された「特定技能」でも受入れが可能となりました。一方で、素形材産業分野で特定技能人材を受け入れるために確認すべき「事業所要件」の判断が難しく、受入が難航している分野でもあります。本編では、特定技能・素形材産業分野における特定技能人材の雇用方法について解説します。

素形材産業分野で特定技能人材を雇用する

まずは、在留資格や特定技能について、また採用活動~就業開始までの流れを確認してみましょう。

在留資格『特定技能1号』とは

特定技能とは
  • 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けと在留資格
  • 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定産業分野(14分野):介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食
※特定技能2号は下線部の2分野のみ受入可

特定技能は、冒頭にも説明したように一定水準以上の技能や知識を持ち、最低限生活や業務に必要な日本語能力を持った外国人を対象に、決められた産業で限定された業務内容を行うことができる在留資格です。

よく比較をされる在留資格『技能実習』での実績や反省をもとに、様々な工夫がされた制度になっています。そのため、他の在留資格よりも求められる要件は細かく、当然、すべてを満たさなければなりません。
特に他の在留資格と異なる部分として、『特定技能』では受入前に特定技能人材の公私の生活を支える「支援計画」を作成し、それをもとにサポートを行うことが挙げられます。「支援計画」では、具体的には入国から就業までの私生活のサポートや、また日本語学習の機会や日本文化になじむための補助、定期的な面談や相談・苦情の対応などを行います。このため、自社でできないと判断した場合は「支援計画」を行うための別機関である「登録支援機関」(全国にある民間企業)に実行を委託することもできます。

「特定技能」が複雑と言われる理由で「支援計画」以外の部分としては、入管に関する法令(出入国管理及び難民認定法)以外にも、労働関係法令、租税関係の法令など遵守できているか確認すべき法令の範囲が広く、そのため申請時の提出書類が多いことも挙げられます。
具体的には、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。

特定技能人材を雇用するために満たすべき基準
  • 特定技能外国人が満たすべき基準
  • 受入機関自体が満たすべき基準
  • 特定技能雇用契約が満たすべき基準
  • 支援計画が満たすべき基準

在留期間は、『特定技能1号』の場合は「4か月」「6ヶ月」「1年」で通算で上限5年の在留となります。一方、『特定技能2号』は「6ヶ月」「1年」「3年」が与えられ、更新をし続ければ「永住者」ビザの申請も将来的には可能です。

また、家族の帯同は『特定技能2号』の場合は認められます。『特定技能1号』はもともと『家族滞在』ビザなどで在留していたご家族がいるような場合を除き、基本的には認められません。

在留資格『特定技能1号』を申請するまでの流れ

特定技能人材を雇用するまでの流れ、また雇用後の流れは下記の通りになります。他の在留資格と異なり特定技能特有のステップもあります。特定技能の場合、他の在留資格(特に就労ビザ)と異なる点としては、「業務内容」「働く場所」「人材」の要件をきちんと満たしていることが確認するだけでなく、「協議会への入会」「支援計画書の作成」・「事前ガイダンス」を行いこれから特定技能人材として日本で生活するためのフォローを含めた準備を行います。ビザ申請後も、定期・随時報告を行わなければならないのも特徴です。

特定技能の中でも、経済産業省管轄の製造3分野は特に注意が必要で、「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」は、他の分野と異なりビザ申請前に協議会への入会手続きが完了していなければなりません。(他分野は在留資格の許可後4か月以内の入会で可)これは、入会するための要件を満たさないことによるトラブルが多発したためになります。このため、2021年10月現在、入会手続きのための審査は3か月待ちとなっており、スムーズな在留資格の申請が実現できておりません。
特に、技能実習生の場合は、在留期限があることに加え、習得した技能を以て特定技能へ移行できるかの判断が非常に難しくなっています。よって、素形材産業分野では受入れを検討する場合には、計画的に動き出す必要があります。

やること説明
①業務内容の要件確認「特定技能」で認められる業務内容であるかを確認
②事業所の要件確認就業場所が①で確認した業務内容を行うことができることを確認
③協議会入会 分野別に設けられた協議会に入会
④人材の要件確認「特定技能」人材に必要になる資格などを確認
⑤求人票の作成①~③で確認した要件を満たすように求人票を作成
⑥内定内定出し・内定承諾を行い、雇入れる人材を確定
⑦支援計画の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑧事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑨ビザ申請必要書類を収集、申請書の作成、入管へ申請
⑩雇用後の届け出日本人と同様に、雇用保険・社会保険等の手続き
⑪四半期毎の報告入管に対し、四半期ごとに特定技能人材に関する報告
⑫ビザの更新在留期限前にビザの更新手続き
⑬支援計画の実施
※随時
「支援計画」に則って、特定技能人材をサポートを行う

素形材産業分野で特定技能人材を雇用するためのポイント

在留資格『特定技能』は他の就労ビザと比較して、受入企業が整備すべき・満たすべきポイントが多いのが特徴です。 特定技能人材を雇用するためには、様々な要件を満たす必要があります。特定技能の場合、満たすべき要件は「受入企業」「業務内容」「人材」「雇用契約」などでそれぞれ定められています。ここでは、大きなポイントについて説明します。

受入企業側のポイント

受入企業側のポイントとして、「受入れ可能な事業所」であるか、またそこで就業させたい業務内容が「従事可能な業務内容であるか」の見極めを行わなければなりません。

ポイントまとめ

特に、素形材産業分野の特徴として業種が受け入れ可能な業種かどうか・求めている職種・職能の人材がその事業所での受け入れが可能であるかの判断が難しいことが挙げられます。
次に大きな特徴としては、適切な特定技能人材の雇用を継続するためのサポート体制の構築をしなくてはなりません。支援体制の履行が難しい場合は「登録支援機関」と呼ばれる第三の機関に委託する必要もあります。

その他には、入管法だけでなく労働関係法令、社会保険や租税法の遵守が求められることや、人手不足を前提とした制度のため過去1年以内に解雇などを行っている場合には受入れができない場合もあります。

項目ポイント
業種事業所で下記の日本標準産業分類に該当する製品の製造を扱っていること
2194 鋳型製造業(中子を含む)、225 鉄素形材製造業、235 非鉄金属素形材製造業、
2424 作業工具製造業、2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)、
245金属素形材製品製造業、2465 金属熱処理業、2534 工業窯炉製造業、
2592 弁・同附属品製造業、2651 鋳造装置製造業、
2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業、2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業、
2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)、3295 工業用模型製造業
※詳細については後で解説
待遇・日本人と同等以上の給与
・希望があった場合の休暇取得許可
・雇用契約終了時の帰国費用の支弁(特定技能外国人が負担できない場合) 等
法令順守・労働、社保、租税ほか関係法令順守
・非自発的離職や行方不明を発生させていないこと
・支援体制の整備(登録支援機関へ委託も可)等
協議会経済産業省が組織する「協議・連絡会」への加入
※詳細については後で解説
雇用形態直接雇用のみ
※受け入れ人数素形材産業:21,500人

受入れ可能な事業所について ~事業所の要件について~

素形材産業分野の運用要領には、下記の通り定められております。

1号特定技能外国人が業務に従事する事業場において、直近1年間で素形材産業分類として掲げた下表の産業について、「製造品出荷額等」が発生していることを指します。
※製造品出荷額等とは、直近1年間における製造品出荷額、加工賃収入額、くず廃物の出荷額及びその他収入額の合計であり、消費税及び酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含んだ額のことを指します、

①製造品の出荷とは、その事業所の所有に属する原材料によって製造されたもの(原材料を他企業の国内事業所にし支給して製造させたものを含む)を、直近1年間中にその事業所から出荷した場合をいいます。また、次のものも製造品出荷に含みます。
 ア 同一企業に属する他の事業所へ引き渡したもの
 イ 自家使用されたもの(その事業所において最終製品として使用されたもの)
 ウ 委託販売に出したもの(販売済みでない者を含み、直近1年間中に返品されたものを除く)
②加工賃収入額とは、直近1年間中に他企業の所有に属する主要原材料によって製造し、あるいは他企業の所有に属する製品又は半製品に加工、処理を加えた場合、これに対して受け取った又は受け取るべき加工賃を言います。
③その他収入額とは、上記①、②及びくず廃物の出荷額以外(例えば、転売収入(仕入れて又は受け入れてそのまま販売したもの)修理料収入額、冷蔵保管料及び自家発電の余剰電力の販売収入額等)の収入額をいいます。

運用要領別冊

素形材産業で受入れ可能な事業所は、以下の表内に掲げるものについて製造品出荷額等が1年以内に発生している事業所になります。

分類No項目詳細
2194鋳型製造業(中子を含む)2194 鋳型製造業(中子を含む)
225鉄素形材製造業2251 銑鉄鋳物製造業(鋳鉄管,可鍛鋳鉄を除く)
2252 可鍛鋳鉄製造業
2253 鋳鋼製造業
235非鉄金属素形材製造業2351 銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)
2352 非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)
2353 アルミニウム・同合金ダイカスト製造業
2354 非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)
2355 非鉄金属鍛造品製造業
2424作業工具製造業2424 作業工具製造業
2431配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)2431 配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)
245金属素形材製品製造業2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業
2452 金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)
2453 粉末や金製品製造業
2465金属熱処理業2465 金属熱処理業
2534工業窯炉製造業2534 工業窯炉製造業
2592弁・同附属品製造業2592 弁・同附属品製造業
2651鋳造装置製造業2651 鋳造装置製造業
2691金属用金型・同部分品・附属品
製造業
2691 金属用金型・同部分品・附属品
製造業
2692非金属用金型・同部分品・附属品製造業2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
2929その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用,船舶用を含む)
3295工業用模型製造業3295 工業用模型製造業

協議会への入会について

素形材産業分野で特定技能人材を雇用する場合には、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に入会しなければなりません。
ほかの分野と異なり、入会申請のための申請書のボリュームが多くなっています。前項の条件を満たしていることを示すために下記の書類を提出することになります。

  1. 製造品及びその用途が確認できる画像と説明文
  2. 製造品を生産するために用いた設備(工作機械、鋳造機、鍛造機、プレス機等)の画像および説明文
  3. 事業実態を確認できる直近の証跡画像(上記①の製造品の納品書、出荷指示書、仕入れ書等)

▶参考:特定技能外国人制度(製造3分野ポータルサイト)『受入れ機関向け入会手続き申込み前の準備
▶参考:総務省『日本標準産業分類 製造業

外国人側のポイント

特定技能人材は基本的に最低限の知識・技能を既に習得している人材であることが求められます。また日常会話レベルの日本語能力が必要です。技能のレベルは、特定技能1号評価試験(関連のある作業の技能実習修了生であれば免除)ではかります。また、日本語についても既定の試験の結果で判断されます。

項目ポイント
業務鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、アルミニウム、仕上げ、機械検査、機械保全、塗装、溶接
技能水準・日本語試験及び当該業務区分の技能試験の合格者であること
(技能実習2号修了者は、その修得した技能と関連性が認められる業務区分の試験及び日本語試験が免除)

▶参考:経済産業省『特定技能外国人材制度(製造3分野)

試験合格ルートについて(技能実習修了者でない場合)

特定技能人材になるためには、「技能レベル」「日本語能力検定」2種類の試験に合格していなければなりません。

●技能レベル:各分野で定められている「特定技能1号評価試験」に合格していること
      ▶特定技能1号評価試験について:「製造分野特定技能1号評価試験

●日本語レベル:日本語能力試験のN4以上に合格 or 国際交流基金日本語基礎テスト A2以上
       ※技能実習2号修了者は分野を問わず日本語能力試験の受験の必要無し

『技能実習』からの移行について

在留資格『技能実習2号』を良好に修了した人材は、試験は免除となり在留資格『特定技能』に移行可能です。
ただし、どんな職種でも対象になるわけではありません。以下の職種・作業名の場合は特定技能の素形材産業分野へ移行可能です。

特定技能業務区分技能実習2号・職種名技能実習2号・作業名
鋳造鋳造鋳鉄鋳物鋳造
非鉄金属鋳物鋳造
鍛造鍛造ハンマ型鍛造
プレス型鍛造
ダイカスト ダイカストホットチャンバダイカスト
コールドチャンバダイカスト
機械加工 機械加工普通旋盤
フライス盤
数値制御旋盤
マシニングセンタ
金属プレス加工 金属プレス加工金属プレス
工場板金 工場板金機械板金
めっき めっき電気めっき
溶融亜鉛めっき
アルミニウム陽極酸化処理アルミニウム陽極酸化処理陽極酸化処理
仕上げ 仕上げ治工具仕上げ
金型仕上げ
機械組立仕上げ
機械検査 機械検査機械検査
機械保全 機械保全機械系保全
塗装 塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
溶接溶接手溶接、半自動溶接

「技能実習2号を良好に修了した」の良好の判断方法について

「技能実習2号を良好に修了したか」どうかの判断については下記の通りです。

「技能実習2号を良好に修了している者」とは、技能実習を2年10か月1以上終了した者であって、技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格者又は実習実施者等が作成した技能実習実施中の出勤状況や技能の習得状況等を総合的に考慮し、欠勤がないなど、良好に実習を終了した者をいう

特定技能審査要領より

もし、技能実習評価試験の実技試験に不合格であった場合でも、評価調書の記載から勤務状況などが良好であった場合には、良好に技能実習を修了したものとされます。

※技能実習法施行前の技能実習2号修了者や在留資格『特定活動」(技能実習)をもって在留していた技能実習生(「研修」及び「特定活動」で在留した期間が2年10ヵ月以上の者)も含みます。
技能実習3号の実習中の特定技能への変更は原則として認められません。

『特定技能1号』ビザの申請準備 ~支援体制を整える~

在留資格『特定技能1号』が他の就労ビザと異なる特徴の一つに、特定技能外国人の日本での生活をサポートをする必要があることが挙げられます。これを『支援計画』と呼びます、

『支援計画』とは

『特定技能』人材を雇用する際には、特定技能人材の日本での生活をサポートするために法令で定められた支援を行わなければなりません。これを「1号特定技能外国人支援計画」といい、特定技能人材が活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上、社会生活上においてサポートをするものです。この「支援計画」の実行は、「支援責任者」「支援担当者」によって行います。

出入国在留管理庁『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』より抜粋

支援計画で策定することは以下の10項目です。これらの内容を決め「支援計画書」を作成します。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

これらの支援計画は受入企業が主導で作成し、特定技能外国人毎に調整しすることになります。場合によっては、日本での生活が長く支援は必要ないと感じられる場合もあるかもしれませんが、『特定技能1号』人材を雇用する場合には必ず策定する必要があります。

支援責任者と支援担当者について

『支援計画』は支援責任者支援担当者が中心となって特定技能人材のサポートをすることになります。

支援責任者とは

「支援責任者」とは、受入機関の役員または職員で、『支援計画』の実施に関する責任者著して、支援担当者を監督する立場にある人のことを言います。
常勤である必要はありません。または、支援担当者を兼任しても問題ありません。

支援担当者とは

「支援担当者」とは、受入機関の役員または職員で、『支援計画』に基づく支援を担当する人のことを言います。
常勤であることが求められ、複数人の特定技能人材のサポートをすることができます。
支援担当者は、特定技能人材が就業する事業所ごとに1名以上選任される必要があります。

※支援担当者、支援責任者ともに特定技能基準省令2条1項4号イないしルにある欠格事由に該当しないことが前提です。

支援を行うための体制・要件について

策定した支援計画は自社もしくは登録支援機関が実施をします。実行は要件を満たせば自社で行うことも可能ですし、要件を満たしている場合でも自社で支援することが難しい場合やそもそも要件を満たしていない場合には、「登録支援機関」に支援を委託をすることができます。

自社で支援を行える場合の条件について

前章の内容を読んで、「こんな支援、自社でできるかな?」と不安に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、特定技能外国人の公私をサポートすることになる『支援計画』は当然に誰でもが行えるものではありません。『支援計画』を行うことができる事業所には一定の要件があります。「支援計画」を自社で実施するための条件①中長期在留者の受入実績がある
②十分に理解できる言語による支援体制が可能
③支援の実施状況に係る文書の作成が可能
④支援の中立性等に関するもの
⑤支援実施義務の不履行に関するもの
⑥定期面談の実施に関するもの
⑦分野に特有の事情にかんがみて定められた基準に関するもの

特に自社支援ができない要因となり得るのが「①中長期在留者の受入実績がある」「②十分に理解できる言語による支援体制が可能」「④支援の中立性等に関するもの」ではないでしょうか。『支援計画』は申請時に申告した「支援責任者」「支援担当者」が実施をすることになりますが、誰でもなれるということではなく一定の条件があります。
次章より『支援計画』を実施できる条件について説明をします。
また5年以内に、支援計画の支援を怠ったような場合には支援体制があるとは言えず、要件を満たさないことになります。

※補足
自社で支援ができる体制(要件を満たしている)場合は、支援の一部を外部に委託することも可能です。全部を委託する場合には登録支援機関に委託しますが、一部の場合は登録支援機関でなくてもその専門の業者に委託することができるということになります。

自社での支援が難しい場合 ~登録支援機関とは~

特定技能1号人材に対する義務的支援を受入企業から委託を受けて実施する機関です。技能実習制度の監理団体や、人材紹介会社、行政書士が登録を受けています。2021年10月現在、約6500事業者の登録があります。

▶参考:出入国在留管理庁『登録支援機関登録簿

※繰り返しになりますが、必ず利用をしなければならない機関であるという訳ではありません。

在留資格の申請について

在留資格『特定技能1号』を取得するための手続きについて説明します。

在留資格の申請の流れ

特定技能の場合、申請準備は主に4つのパート「支援計画書作成・事前ガイダンスの実行」「必要書類の収集」「書類作成」「申請」に分かれます。 「支援計画書作成・事前ガイダンスの実行」 については前章で説明済みですので、 それ以降について説明します。

申請準備が整ったら、いよいよ在留資格(ビザ)の申請の準備を行います。

海外から人材を招聘する場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。一方、留学生からの新卒採用や転職人材の雇用や技能実習生からの切替の場合には「在留資格変更許可申請」を行います。
どちらも就業開示時点には許可を得て、在留カードを受け取った後から就業可能です。

やること説明
⑦ 支援計画の作成特定技能人材の公私の生活をサポートするための計画を策定
⑧ 事前ガイダンス特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
⑨-1 書類収集入管のHPに記載されている必要書類を収取する
⑨-2 申請書類の作成 入管のHPからフォーマットをダウンロードして書類を作成する
⑨-3 申請書類への押印対応不備がないか確認し押印対応
⑨-4 入管へ申請管轄の入管へ出向き、申請を行う
⑨-5 結果の受取(国内・変更の場合)在留カードを受け取る
(海外・認定の場合)在留資格認定証明書を受け取る

必要書類・申請書類について

在留資格の申請は、申請書類だけでなく添付する必要書類を集めなければなりません。特定技能では、他の就労ビザと比較して申請書類の数も多いのが特徴です。

必要書類について

必要書類は、特定技能1号共通の書類と14分野それぞれで定められた分野別必要書類があります。
主に、企業に係る書類、申請人本人に係る書類の2種類があります。内容としては、会社の情報、雇用条件について、社会保険や税金の支払いについて、本人が特定技能人材としての要件を満たしていることを示す書類などになります。

分野ごとの必要書類も合わせて、こちらのページから必要書類を確認することができます。

▶海外人材:在留資格認定証明書交付申請「特定技能」(これから日本に入国される外国人の方)
▶国内の留学生・転職人材:在留資格変更許可申請「特定技能」(すでに日本に在留している外国人の方で,特定技能への移行を希望している方)

申請書類について

申請書類についても、特定技能の場合は他の就労ビザと比較してボリュームは多めになっています。
雇用条件についてや、受入企業の状況について、給料から天引きされる内容や雇用の経緯などの書類を作成しなければなりません。特に注意が必要な点、書類によっては申請人が十分で理解できる言語での作成が必要です(ただし、母国語には限られません)。
また、必要書類と同様に分野ごとに別途作成が必要な書類もあります。

入管のHPに外国語のテンプレートもあります。こちらを利用すると便利です。
※外国語のフォーマットは、英語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語、カンボジア語、モンゴル語、ネパール語、中国語があります。

在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

申請について

申請は誰でもどこでもできるわけではなく、一定のルールがあります。

どこで申請するのか

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは受入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。

【原則】申請先の決まり
【原則】申請先の決まり 【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署

【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰が申請をするのか

基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者が、代理人として申請を行うことができます。
この場合、代理人は申請書に名前を記載する代表取締役などに限らず、受け入れる機関の「職員」であれば問題ありません。また、グループ会社の人事関連業務を行う会社の職員も含みます。

一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。
「取次者」の例として、雇用されている・所属している機関の職員、行政書士、弁護士、 登録支援機関の職員がなることができますが、一定の研修を受けて登録された人のみになります。

【取次の人が申請する場合~ルールが変わりました~】

今までは、原則「申請人の居住地を管轄する住所を管轄する入管」でしか申請は認められていませんでした。
しかし、ルールが変更となり申請人(外国人)が受け入れられている又は受け入れられようとしている機関の所在地を管轄又は分担する出入国在留管理官署においても認められるようになりました。

例えば、福岡に住む留学生が東京の会社に内定をもらった場合、以前は、福岡入管(もしくは管轄する出張所)のみでしか申請できませんでしたが、今後は内定先のある東京出入国在留管理局での申請も認められます。

※このルールは取次者証明書が交付された人(公益法人の職員や弁護士や行政書士等)についても認められます。

雇用後の手続きの流れ

特定技能人材の雇用後には、「国籍問わず必要な手続き」「外国人従業員特有の手続き」「特定技能特有の手続き」の手続きが発生します。

国籍問わず必要な手続き

特定技能人材は基本的にはフルタイムでの就業になるため、適用事業所である場合は「社会保険」「労働保険」の加入は必須となります。

社会保険(厚生年金・健康保険)について

社会保険(厚生年金・健康保険)は、建設業の場合は1人以上の従業員を使用する法人と、常時5人以上の従業員を雇用する事業主(個人事業主)は加入は必須となります。

労働保険(雇用保険・労災保険)について

労働保険(雇用保険、労災保険)は、素形材産業分野の場合は1人以上の従業員を使用する場合は加入は必須となります。

外国人従業員特有の手続き

外国人従業員の場合、在留期限が到来する前に「在留期間更新許可申請」を行わなければなりません。
在留カード記載の「在留期限」の日の3ヶ月前から申請することが可能で、在留期限の満了日までに申請を行います。例えば、2021年9月1日在留期限の方の場合、2021年9月1日までに申請を行わなければなりません。

また、2021年6月15日に申請を行い2021年7月15日に「1年」延長の許可が出て新しい在留カードの交付を受けた場合、在留期限は「2022年9月1日」になります(2022年7月15にではありません)。つまり、早めに申請をして在留期限到来前に許可が出た場合でも、在留期限が短くなって損をするということはありません。余裕を持った対応が可能ですし、損をすることは無いため余裕を持った申請をお勧めします。

なお、申請中に在留期限が到来した場合、自動的に「特例期間」に入ります。特例期間中は今まで通りの在留が可能です。この期間内に審査の結果は出ます。

特定技能特有の手続き

外国人従業員の雇用の中でも、特定技能人材は受入後にも特有の手続きが発生します。

協議会への入会(在留資格申請前)

前述の通り、在留資格の申請前に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への入会申請を行います。

協議会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行うことが目的です。

入管に対する定期報告・随時報告

特定技能人材を受け入れている場合、支援計画の実行状況の定期報告や雇用契約や支援体制に変更があった場合などに随時報告を行うことが義務付けられています。定期報告は4半期に一度、随時報告はその都度、それぞれ期日から14日以内に入管に対して報告書を提出します。

在留期限までに在留資格の申請手続きが完了しない場合の対応方法

もし、準備を始めたタイミングで内定者・移行予定の技能実習生の在留期限が迫っている場合には、「特定活動(特定技能移行準備)」に変更をするという方法もあります。
この在留資格は4か月与えられ、特定技能人材と同様の業務内容に従事しながら並行して特定技能の移行準備を行うことができます。素形材産業分野では在留期限までに切替が間に合わないケースが多いため、まずはこちらの特定活動への変更を検討してください。

この「特定活動(特定技能移行準備)」に変更するための条件は以下の通りです。

・申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
・申請に係る受入れ機関において特定技能外国人として在留資格「特定技能1号」に該当する業務に従事するために同在留資格への在留資格変更許可申請を予定していること
・申請人が特定技能外国人として就労する場合に支払われる予定の報酬と同額であり、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
・申請人が特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること
 ※技能実習2号良好修了者等として試験免除となる場合も含む。
・申請に係る受入れ機関又は支援委託予定先が申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること
・申請に係る受入れ機関が,申請人を適正に受け入れることが見込まれること

出入国在留管理庁『「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について』

在留期間満了日までに協議会への入会手続きや在留資格の申請手続きが完了しそうにない場合には、こちらの在留資格「特定活動」に変更した上で、働きながら準備を整えることも検討されてください。
※基本的には在留期限日当日までに特定技能の申請が完了していれば在留状況的には問題ありません。

▶参考:出入国在留管理庁『「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について

まとめ

以上、素形材産業分野における特定技能人材の雇用までの流れについて説明しました。素形材産業分野では、ビザ申請の前に協議会へ入会をしなければなりません。協議会への入会手続きは、他分野と比較して説明書類をが多く提出しなければならず、審査期間も長くなっております。もし、在留期限までに準備が間に合わない場合には、特定活動に1度変更するなどの対策も必要です。

【行政書士からのアドバイス】
素形材産業分野は申請までに時間がかかる傾向があります。スケジュール感のご質問や、協議会への入会手続きのご質問も承っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

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